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変異種殲滅戦4

 昨日投稿すると活動報告に載せたのですが、間違えて今日になってしまいました。反省しております ( ノД`)…


 今回、主人公はヤ○チャ的立ち位置で終わります。……主人公なのに。


――無理だ


 ゴブリンキング対冒険者の戦いを見て、まず浮かぶ感想はこれだった。


 冒険者達もそれぞれパーティーで集まりながらもゴブリンキングを囲んでおり、時節飛んでくる斬撃を巧みな連携でかわし、反撃をしている。


 だが、ゴブリンキングは煩わしい蚊でも振り払うかのように、適当に大剣を振り回しているだけだ。


 冒険者の攻撃は確実に当たっているのにゴブリンキングの体に傷一つ負わせられない。

 魔力眼で見てみると、体から漏れだした魔力が攻撃を防いでいるようだ。


 ……初めは理性を無くしたせいで魔力のコントロールも失っていたのかと思ったが、どうやらこれはスキルだったようだ。


「このままじゃ……誰か死にますよ?」


 俺は、半ば確認のようにギルドマスターに聞いてみる。


「いや、今回は時間稼ぎをしてもらっている。お前が来る前にあいつらには話した。俺も昔はヒーラーをやっていたからな、即死じゃ無ければ助けてやれるさ」


 魔力眼を発動したままギルドマスターに振り向いて驚愕した。ギルドマスターの体の中に物凄い魔力が渦巻いている、多分回復魔法を組み立てたまま維持しているのだろう。


 それより、ギルドマスターってヒーラーだったのか……。


 ん?即死じゃ無ければ回復出来るって、回復速度にもよるが、かなり強いんじゃないか?……ギルドマスターだもんな、うん。


なんて話よりも、だ。


「時間稼ぎの理由は?」

「お前達に言うのは止めておこう。ただ、強力な助っ人が来るとだけ」



 ぐぬぬ……別に教えてくれても良いと思うんだけどな。こんな非常事態はホウレンソウが大切だと思うわけ。


「後方支援なんて何すれば良いんだ?」


俺が一人呟いていると、ヘリスが小さい声で話してくる。ちょっ、耳に息がかかってる、こしょばい!!


「(アル様、後方射撃も立派な後方支援ですよ?)」

「おお……!」

 

 確かにそうだ。


「ヘリス、そちも悪うのぉ……」

「えっ!?私は良かれと思って……」

「あっ、ごめんヘリス!!これは俺の前世ジョーク。ちょっとした冗談で深い意味は無い」


 どうやら悪代官ネタは通じなかったみたいだ。


「そうですか……アル様の前の世界の、地球?は不思議な世界なのですね」


 んー……、勘違いされているような、俺が悪いな。


「とりあえず遠距離射撃で様子見して、無理そうなら一度下がるか。もしかしたら……最悪俺達が戦う事になるんだし、さっき寝たけど休憩はしておいた方が良いだろ」


 まあ、ギルドマスターが何か秘策があるらしいし最悪の展開にはならない……だろう。


「アル様、魔法属性は風が良いかと」

「え?何でだ?」

「火は論外として……水も敵に当たった後に飛沫が飛び散ってしまえば冒険者の視界の邪魔になりますし、数分は魔力で生成された水は消えないので地面がぬかるんでしまいます。土も同様に地面に砂が溜まってしまえば冒険者が足をとられてしまいますから。……必然的に風になるかと」


 そ、そこまでは考えていなかった……。確かに、ゴブリンキングは動いていないから意味は無いだろうけど、必死に動き回っている冒険者なんかは少し足をすくわれたら一撃で殺られるだろう。

 考えて動かないといけないな。

  

「えーっと、ミューナは今回は留守番な?」


 ミューナは魔法を使えないからな。せめてゴブリンがそういうスキルを覚えていれば吸収出来たのだろうが、残念ながら出会ったゴブリンは皆脳筋ばかりだった。MPが高いやつは多かったけど……。 


「むー……石投げる!!」

「いや、ミューナの力で誤射したらわりと冗談じゃすまないから」


 多分貫通……冒険者という事と、この遠距離から投げる事を考えれば、体が抉れる程度ですむかもしれない。ヤバイな!!


「今回は休憩、な?後でスキル吸収してきて良いから」

「取れるかなー?」


 そういえば、スキルが取れなくなってきたとか言っていたな……。


「とりあえずそれで行こう――」

「いや、行かなくて良い」


 せっかく作戦も決まったし行こうと思ったら、ギルドマスターに止められた。

 

「援護射撃も後方支援のうちですよ?」

「いや……」


 やっぱり駄目か……と思ったが、ギルドマスターは予想外の言葉を放つ。


「どうやら、助っ人が来たようだ」

「え!?」


 もう着いたのか!!何時呼んだのかは分からないがかなり早かったな。

 

「ァ……ゥゥ……」

「ん?」


 何か聞こえたような、例の助っ人だろうか?王都から来ると思うから、その方向に俺が使える唯一の索的方法の魔力眼を使ってみる。


「うおっ!!」


 王都から、莫大な魔力の塊が此方に向かってきている。

 俺よりも魔力がでかい‼まるで父さんのような……父さんのような?


「嫌な予感がするんですが、ギルドマスター」    

「仕方ない。戦闘力が高く、直ぐに動ける者はアイツしかいなかったんだ。

 普段なら流石にあいつの役職だと色々な手続きをしないといけないのだが……アイツが親バカで助かった」

「はぁ……」


 そうこうしている内に、父さんの姿が見えてきた。


「アルゥゥゥ!!ヘリスゥゥゥ!!ミューナァァァ!!怪我は無いかぁぁい!?」

「無いよ父さん」

「大丈夫です‼」

「にゃーっ!!」

「あっ、ミューナ待て!!」


 突然ミューナが父さんに向かって走り出す。……あのスピードで当たったらヤバい!!一応、父さんが減速してくれたが……。


「とぉー!!」

「ぐはぁっ!?」


 ミューナが父さんにタックルをかましやがった。多分抱っこの要領で抱きついただけなのだろうが、父さんの腹に直撃したせいで父さんが悶絶している。

 あれ?ミューナあいつ【金剛化】使ってね?


 痛そ………


「何をしてるルイス、遊んでいないで早く来い。結構ギリギリだ」


 ギルドマスターが呆れた顔で父さんに話かける。あれ?父さんと知り合いなのか?

 というかギルドマスター、何気にこの距離から冒険者達に回復魔法をかけ続けている。やっぱりギルドマスターもチート野郎だったか。


「いや……ちょっと待って、鳩尾に入ったこれ……っと、ありがとうユゥリ」

「まったく、世話をかけるな」


 どうやら、腹を抑えて蹲っている父さんにギルドマスターが回復魔法をかけたようだ。

 ギルドマスターの名前ってユゥリと言うのか。少し変わった名前だな。


「それより、部下の伝言で俺の武器を持ってくるように伝えたはずだが、持っているようには見えないぞ?」

「君はバカかい?子供の命がかかっている状態でギルドによる暇があるはずが無いだろう」

「チッ、これだから親バカは……。あのゴブリンキングはお前が殺れよ」

「分かってるよ。アル、ヘリス、ミューナ、父さんの活躍を見ておいてね!!」


 俺達を置いてきぼりにして、話がどんどん進んでいく。

 そして、父さんは一切気負うこと無くゴブリンキングのもとに歩き始めた。


「全パーティー下がれ!!」


 ギルドマスターの号令で冒険者達は一斉に下がり始めた。

 ゴブリンキングは動かないが無理もない、圧倒的強者がそちらに向かっているのだ。冒険者を深追いすれば隙を疲れて一瞬で死ぬだろうし。


「君に恨みは無いけど、殺らせてもらうよ」


 父さんが立ち止まってゴブリンキングに言う。実際は話が通じていないだろうが雰囲気から殺気を感じたのだろう、剣を構え直す。

 

 スッと、父さんがゴブリンキングに手を向ける。


 ズドドドドドォォォンッ!!


 それだけでゴブリンキングの周りで幾つもの爆発がおこる。多分火魔法を幾つも使ったのだろう。

 

「ぶごぉぉ……」


 爆発による煙の中、ゴブリンキングが満身創痍で立っているのが僅かに見える。

 ……圧倒的過ぎだろう。此方にいる全員が口をぽかんと開けたまま父さんの戦い――蹂躙を見ている。……ギルドマスター以外。


 だが、流石はゴブリンキングと言った所か。まだ戦意は衰えていないらしい、けれども今にも倒れそうだ。


「……これで倒せないか。やっぱり強いね、かなり魔力を込めたんだけど」


 ……ん?あの程度の爆発でかなりの魔力を込めた?もっとでかい爆発になると思うんだけどな……。

 後で聞いてみるか。


「でも、流石にずっとここに居るわけにはいかなくてね。終わらさせてもらうよ」


 父さんがそういうと、ゴブリンキングも最後の力を振り絞り、父さんに向かって走り始める。そもそも、近接戦闘をする前にここまでダメージをくらっているのがおかしいのだ。


「見ておけ3人とも。ルイスが1から自分で作りだした魔法を。なかなかエグいがな」


 ギルドマスターそう言われる。 


「さようなら……『奈落の大鎌(ヘル・サイズ)』!!」


 父さんが詠唱を終えると、ゴブリンの足下の地面から大鎌の刃のような土でできた塊が次々と、まるでゴブリンキングを囲むように出てくる。


「グォォォォオッ!!」


 ガキンッ


 ゴブリンキングはそれを壊そうと大剣を振るうが、土の大鎌には少し罅がいっただけで、それも直ぐに修復される。

 そうこうしている内に大鎌がで終えたのか、ゴブリンキングを綺麗に囲いこみながら――寸分違わず一斉に振り抜かれた。


「ゲギャャャャャァッ!?……」


 段々と大量の大鎌が密集していくせいで、ゴブリンキングの姿が見えなくなっていく。大鎌どうしが当たると、一瞬だけ触れた面を元の土に戻すのか、抵抗無くゴブリンキングのみを切り裂いていく。


 そして、とうとう土の山になったところで攻撃は止まった。


「終わったな……」


 ポツリと、ギルドマスターが呟く。


 暫くすると、これも父さんの発動させた魔法の範囲なのか、砂が土が徐々に地面に吸い込まれていく。

 残されていたのは……原型を留めていないゴブリンキングの死体のみだった。


「我ながらエグい魔法だよ。地面にいるだけで大量の大鎌が過剰な斬撃を浴びせて来るしね」

「本当にやりすぎだ。お前達軍は気にしないだろうが、おかげでゴブリンキングの素材が一切取れないではないか」

「それならユゥリが出れば良かったじゃないか。どうせ、ユゥリなら武器が無くても、ゴブリンキングの首を一瞬で刈れたんじゃないのかい?」


なんだそりゃ……。ギルドマスターったら、ヒーラーなのにそんなこともできるのか?チート野郎どころか、軽く人外じゃないか。


「とりあえず、ルイスを勝手に引っ張ってきた手続きやら、こいつらの死体を国の研究所に運ばんといかんからな。さっさと後片付けを済ませよう」


未だに呆けている冒険者達にテキパキと指示を出していくギルドマスター。


「はぁ……。今回は肝心の部分で父さんに頼ってしまったなぁ」

「アル様はまだ6歳なんですから、焦って力を求めなくても良いんですよ?」

 

 ヘリスはそう言ってくれるが俺達がこの世界で生きるにしても、楓と大城を召喚した国から匿ったり、ヘリスが逃げ出したとバレれば神とやらとも戦わないといけない。まぁ、地球で言う神と違って、全知全能で無いだけましなんだけどなぁ。


「学園で何か掴めたら良いな……」


 ただレベルアップするだけじゃ駄目だろう。知識チートで何かするにしても、剣術や魔法を鍛えるのも学園は都合が良い。

 両方とも独学で学んだのだからまだまだ伸びる余地はあるだろう。


 とりあえず


「友達作りを頑張るか……」

「友達作り?」


 ヘリスが首をコテンと傾けて尋ねてくる。これを天然でやっているのだから恐ろしい。


「色んな知識を得たいからな。友達を作れれば何かと便利だろ……自信無いけど」


 何せ前世での友達は2人だけだったしな!!

ルイス「次回から暫くは僕のお話だよ!!」


アルギウス「止めろぉぉぉぉっ!!」


ヘリス「その次は私がアル様と会うまでの話ですね」


アルギウス「ちょっ!?ヘリスまでっ!!」


ユゥリ「ん?俺の話もか」


アルギウス「待ってくれ……俺の影が……」


ミューナ「アルー、大丈夫?」


アルギウス「ミューナ……そうだよな、ミューナの過去編とかまだ出来ないもんな」


ミューナ「最後は『ミューナの大食い伝説』だってー、美味しい物いっぱい食べたいねー」


アルギウス「ノォォォォォオッ!!」




 嘘です(笑)普通に本編だと思います。ただ、幕間とか入れるのに良い感じの所なので、ご意見があれば次回はそれを入れるかも‼

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