変異種殲滅戦2
遅れてすいませんでした!
今回の回で結構な設定が出てきます。……後悔はしていない。
(´・ω・`)
「やぁっ!」
ズガァンッ!
「とおーっ!」
ズドォォオンッ!
ミューナが大剣を振るう度に、森が、地面が、魔物が、無差別に蹂躙されていく。
魔物と自然が破壊されていく量がほぼトントンという事態。
「これは止めた方が良いですね……」
「あ、うん……」
確かにヘリスの言う通り、流石にこのままではまずいだろう。こんなに破壊音が響いていれば、冒険者も魔物も集まってくる。
ここは保護者として、しっかりと注意しなければならない。
「ミューナ、ちょっと話がある」
「んー?」
ぐぬぬぬ……。そんなに満面の笑みで来られたら怒るに怒れない。これが娘を怒るパパの気持ちなのか!?俺も前世で親にやっておけば……っ!
……いや、「キモい」の一言で終わるな。
とりあえず、今は前世を悔やんでいる場合じゃない。
「ミューナ、ええと、だなぁ……」
「なにー?」
まずい……ミューナがまるで良いことをしたのを誉められる犬みたいになってる……。
「ミューナ、あまり関係の無いものまで斬ってはいけませんよ?じゃないと誰かに見つかってしまいます」
「うんっ!」
ヘリス、GJだ!
いや、俺としても、うん、注意はしようとしていたよ?後10秒後くらいに……。
ちょーっとヘリスが早かっただけ、みたいな?
…………すんませんヘタレてました。
「とりあえず後始末をしよう」
この世界ではゲームみたいに倒した敵が消えるなんて事は無いので、しっかりと後片付けをしなければいけない。敵が雑魚の場合、後始末の方がしんどいなんて事はざらにある。
だが、俺達はそんな心配が無い。当たり前だ、倒した敵を生け贄にするか、アイテムボックスにとりあえず入れておけば、実質ゲームみたいに敵がその場から『消える』のだから。
「むー……」
「どうした?」
珍しくミューナ不機嫌そうだゴブリンからスキルを吸収しに行ったようだけど何かあったのかな?
「スキルが取れない!」
「「え?」」
おっと、ヘリスとハモってしまった。それにしてもスキルが取れない?そういえばゴブリン兄貴(笑)との戦いの時も取れない個体がいたな……。
「取れるときと取れないときがあるんじゃないのか?」
「多分そうでしょう……でなければ私達と同じように神々から狙われるくらい強力なスキルですからね」
確かにそうだ。『万物之贄』は色んなスキルを自由に取れるけどある程度の敵を倒さなければいけない。だが、ミューナの『吸収』はスキルは選べないが一体倒すにつきスキル1つだ。そりゃ、制限がなければ万物之贄と並ぶだろう。
まあ、万物之贄は"この世界に存在しない"ようなスキルも取れるという利点があるがな。
「まあ、スキルくらい、いつでも取れるって」
ここはミューナを慰めるべきだろう。
「……違うの」
「ん?何が違うんだ?」
「段々取れなくなってるっ!」
えー。俺程度のコミュ力じゃフォロー出来ない。
「使う度にスキルを取れる確率が下がる、という事ですね」
「そういうことだな……。問題は、"確率が下がり続けていつか0になる"のか、"ある一定まで下がった後にそれを保持それかまた元の確率に戻り出すか"だなぁ」
前者ならいつか『吸収』が無くなるかもしれない。いや、別に俺の『眷属化』と、『万物之贄』を使えばミューナにスキルをあげるくらいなら出来ると思うけど、問題はミューナが落ち込むかもしれない事なんだよな~。
「それと、何らかの法則でスキルの取得確率に影響があり、その法則によっては確率を戻せる可能性もありますね……。使い捨てのスキルは確かにありますが、結構このように努力次第で使えるスキルもありますからね」
「かもしれないな。いや、絶対そうだろう」
「本当に!?」
ミューナが目に見えて明るくなるのを見てつい、かも、から絶対と言い換えてしまった。
でも、結果的にミューナは元に戻ったようで、よかったよかった。
この際、その"法則"を見つけなければ意味が無い事は黙っておこう……。
「よし、さっさと行こうか。冒険者は来ないだろうけど、魔物に囲まれるかもしれないからな」
後片付け……というほどでも無いが、それも終わったので俺達は先に進む事にした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「キアン博士、どうやら被験体が冒険者ギルドに見つかったようで、先程殲滅作戦を始めたようです」
ある研究室で白衣を着た者ばかりの所に、ここには似つかわしくない軍服姿の若い男性が一人の男性に報告をし始める。
「そうですか……まあ、あの研究に関してはもう終わっていましたからね、今さらどうでもいいです。
他に何かデータが取れないかとレルガン王国に放ってみましたが、こんなに早く見つけるとは。偶然か、それともスパイでしょうか……」
「スパイ……ですか?」
軍服の若者は思わず、という感じで質問をする。
「スパイ……はぁ……。こちらも向こうにスパイを送っているんですし、どうでも良いじゃありませんか?それくらい」
「全然良くありませんよ……」
博士はいつもこうだ。研究に関しては天才という言葉では足りないといえるほどの才能を持っているのだが、研究以外の事には全く興味が無く、今だって"自分達もしているから仕方ない"という子供のような理屈を国家単位のこの出来事に当てはめようとする。ただ博士はこの話を早く終わらせたいだけだ。
どうしてこんな人の報告係をさせられているのだろう、と若者は小さい溜め息をもらす。
「博士がこんなに、以前の研究を気にしないなんて、今している研究はそんなに凄いのですか?」
そう、博士は別に研究が終わったからといって、直ぐにその結果に興味を無くす人ではない。
博士が直ぐに興味を無くした場合は、今している研究以外が眼中に入らないくらい没頭している時だ。
今の博士の反応は、長年博士の世話係のような事をしている若者でも、戸惑うくらいに前の研究への関心が薄いので、そんな研究なら科学的な知識の無い自分でも少しは興味が出るものだと若者は思った。
「いやいや、別に前の研究はちゃんと意味がありましたよ?
私が今している研究のほんの1つのパーツ程度ですが役に立ちました。もっともっと色んなデータを取れれば、この大いなる研究も完成するでしょう!」
「……その大いなる研究とはどんな物なのですか?」
「そうですね……この国はとりあえず、この大陸中の国々を纏めて相手にしても互角程度の軍事力にはなるんじゃ無いでしょうか?」
「なっ……!?」
ーーーーあまりにもスケールがでかすぎる。
そんな研究を自分の知らない所、しかも手の届くような所で行っていたなんて。
若者は自分の体が震えているのに気づく。果たしてこれは自分の国がこの大陸の覇権を取れるかもしれないという喜びからか、その力を恐れるあまりか、若者にはわからない。
「どんな研究なんですか?」
若者はもう一度同じ質問をする。
「一言で言うなら、ある生命体を造りだす!ですかねぇ」
「まさか……その生命体で世界の覇権を取るのですか?」
「はい。あの子が完成すれば」
「あの子……?1人だけなのですか?」
「そうですよ?当たり前じゃないですか。まさか量産型だと思いましたか?私は大量にいないと使えないような物を造るような半端な事は嫌いでしてね。
まあ、今回は一体しか造れない理由もあったのですが」
研究者が変人ばかりなのか、キアン博士が変人なのか若者には分からなかった。
「それでですね、その生命体ですがあなたも知っている……いえ、聞いたことがあると思いますよ?子供の頃でしょうか?」
知っているはずが無い。この世界に今だに造られていない生物を自分が子供の頃に聞いたなど、それこそ両親が未来予知が出来るのなら別だが。
だが、次の言葉を聞いて若者はひどく納得すると共に思考が止まる。
「多分聞いた事があると思うんですがねぇ……『怠惰』の魔王を」
「は……?」
何を言っているんだこの人はと、ふざけるなと言いたかった。だが、この博士ならやりかねないと思ってしまう若者。
魔王とはこの世界の種族の一つ。
種族といっても、魔王の子が魔王と言うわけではない。人間でも、魔物でも、どんな種族でも生まれつきか、ある程度の強さを持っていれば職業に出る可能性がある。その職業につけば種族も魔王になるらしい。
魔王と言っても、別に勝てないわけではない。だが、大罪を持った魔王は別だ。
人間はどれ程強くなっても中級神程度しか倒せないが、大罪魔王ともなると、最上級神と互角だと聞いた事がある。
かの終末大戦では、大罪魔王が最上級神を一人討ち滅ぼしたと聞いた事がある。当然、御伽話にもなっており若者も子供の頃聞いた事がある。
そして、不幸中の幸いか、この世界には大罪魔王が2人しかいないらしい
後の5人は時代とともに増えていくと聞いた。
その内の1人をこの博士は造るというのだ!
「可能なのですか?」
「はい。強欲と色欲に次ぐ、3人目の魔王になるのです!っと……2人の大罪名は国家機密でしたね忘れて下さいな」
「ちょっ……!そんな事簡単に言わないで下さいよ!ばれたら僕の首が飛びます!物理的に!」
「その時は助けてあげますよ。私は君の事を気に入ってますから。殺せないならと案外、出世させてくれるかもしれませんね」
「ふざけないで下さい!」
若者の怒鳴り声を聞きながらもキアンと言う男は考える。
(後数年はかかるでしょうが、『怠惰』の魔王が完成したらギリアン王国に実験しに行くのでしょうか?あそこには『あの子』がいますからね……出来ればその前にまた逃げてほしいですね)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「戦いますか?」
「戦う?」
「うーん……多分勝てるとは思うけどなぁ」
俺達は暫く歩いた所でオーガ変異種を見つけた。ミューナも強くなったし、やれるだけやってみようかなぁ。
「ぐおぁぁあ?」
あれ?オーガがこっちを見ている?一応茂みに隠れているから大丈夫なはずなんだが……。
「見てるよな?」
「見ていますね」
「見てるねー……」
ですよねー。
そんなコントをしていると、オーガが武器ーー真新しい大剣を構えた。
「まずいっ!」
俺は咄嗟に『アイギスの盾』を目の前に展開する。
「『ウォーターランス』!」
ヘリスの魔法がオーガの死角から放たれる。
「ミューナ!オーガが怯んだ隙に叩き斬れっ!」
「らじゃーっ!」
オーガはウォーターランスの気配を感じたのか、そちらを見てしまう。
だが、ウォーターランスをはもう間近に迫っていたので、オーガの顔面に直撃する。
「とぉーっ!」
ガキィィィッ!
「なっ!?」
オーガはウォーターランスのせいで目を瞑っていたはずなのに、ミューナの攻撃を受け止める。
「にゃー!」
どうやらミューナもそのままだと危険だと思ったらしく、すぐさま後ろに下がる。
「多分こいつはスキル型の変異種だ!」
何かの感知系のスキルか?それなら楽なんだけどなぁ。
とりあえず俺も『アイギスの盾』を解いて戦闘に加わる事にする。
「っらぁ!」
オーガの足下を斬ってみる、が、やはりかわされる。
訂正、時間制限のある今は大分面倒くさい。ミューナと俺の攻撃は尽くバレているのかもしれない。……あれ?ヘリスの攻撃当たってね?
「ヘリス!何でも良いからもう一度魔法撃って!」
「はい!『アースボール』」
ヘリスからオーガへと土の塊が飛んでいく。
バキィッ!
「ごがぁぁぁ!?」
やっぱりそうだ。このオーガ、感知系のスキルで間違い無いだろうが、魔法は感知出来ないようだ。
初めに目眩まし、いや、どうやら完全に目が潰れているようだが、成功して良かった。
後は遠距離から攻撃しておけば……勝てる。
ミューナは残念ながら吸収したスキルの中に遠距離攻撃のスキルは無い。まあ、スキル型の変異種以外はスキルは普通のゴブリンと同じだったからな。そんな便利なスキルを覚えている個体はいなかっただろう。
「ヘリス!魔法をぶちこめ!」
俺は魔法ではなく銃にしておく。こっちの方が燃費が良い。
「ミューナは待機!」
「えぇーっ!」
すまないミューナ……っ!お願いだから俺の事は嫌わないでくれ!
緊張の糸が切れたせいでわりと自分でも自覚出来るくらいに変な事を考えながら遠距離攻撃を始めた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「ご苦労様」
「大丈夫ー?」
「大丈夫……ですっ」
20分くらい遠距離攻撃をし続けて、ようやくオーガを倒した。
最後の方は倒れて瀕死状態のオーガに延々と打ち続ける虐めと言うか、リンチというか、はたから見たら俺達が悪者に見える状態になっていたが気にしない。
幼竜の時に俺はちゃんと止めをさすことを学んだのだ。
オーガからしたら、当然抵抗くらいする。だから、抵抗する隙を与えないようにさっさと撃てる初級魔法をヘリスには撃ってもらったのだが、眼球と違って体の防御力が半端ない。俺みたいに異常なほど魔力があるわけでは無いヘリスは、魔力が無くなったせいで只今グロッキー状態なのだ。
ヘリスには魔力回復薬を飲ませた後暫く休んでもらい、俺達で後片付けをする事にした。
オーガの武器に関してだが、丁度良かったのでミューナに装備させた。
オーガの死体は万物之贄の糧になってもらう。
一瞬で後片付けを終わらせた。地球にこれがあれば親が襲来する前に自室の片付けや、エ……自家発電の書も隠し放題だ。
ヘリスが休んでいる間、俺達もついでに休んでおくことにした。森に入ってから休憩をしていなかったからな。
ヘリスが結構疲れていたようなので、俺の膝枕で寝かせる事にした。
反対なら美味しいシチュエーションなんだがなぁ。
ミューナも反対の膝を貸してやったが何て言うんだろう、ミューナも美少女だが、どうしても娘みたいな感覚で見てしまうせいで全然興奮しない。
何考えているんだ……俺は……。
二人の美少女を(膝に)侍らせながら、俺はそんな事を考えていた……。
一度プロットと言うものを本格的に作らないとヤバい気がしてきた……。
プロット作り中も小説を書くつもりですが、両立が難しい場合は少し更新に間が空くかもしれません……。
感想欄にて、プロット作りのアドバイスをくれたら作者は喜びます!♪ヽ(´▽`)/




