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独りが好きな回復職  作者: 昼熊
本編
85/145

光と闇の住人

 首都の南門を潜り抜け徒歩で二時間ほど進んだ場所に、イナドナミカイ教団は陣を張っていた。

 白銀の全身鎧で身を包んだ聖騎士がずらりと横一列に並んでいる。良く見ると聖騎士だけが許される白銀の鎧より、少し輝きが鈍く見える鎧を身に着けている者もいるようだ。


「今回の戦いで我々のやるべきことは守りを固めることだ! 攻撃は二の次で良い! 後衛に傷一つつけさせるな! よいか!」


「「「「「はっ!」」」」」


 兜を脇に抱え、白く立派なひげを蓄えた男性が大声を張り上げ、檄を飛ばす。


「特に神官戦士の諸君らは、無理に攻撃に参加せずひたすら耐えろ! 期待することはそれだけだ!」


「「「「「はい!」」」」」


 鈍い色の全身鎧を着た者たちから、緊張の色が隠せない若々しい声が上がる。

 聖騎士、神官戦士混合部隊の背後には、助祭アコライト司祭プリーストが控えている。彼らの役割は支援、回復、魔法による遠距離攻撃となっている。

だが、前衛の神官戦士、聖騎士は治癒程度の簡単な回復魔法は覚えているので、大きな怪我でない限り回復を必要としない。

 教団の言うところの神聖魔法。実際は聖属性魔法だが。それしか使えない面々が揃っているので、凡庸性はないが防衛能力に関しては他の軍を圧倒している。

 そして、今回の敵のように不死属性や闇属性とは相性が良い。

 敵五千に対し、自軍三千と数に倍近くの差はあるが、敵は駆け出し冒険者でも対応可能な低ランクの魔物ばかりという敵の戦力。神官魔法の使い手として無類の強さを発揮することができる筈だと思われていた――敵と遭遇するまでは。


「こいつら、ただのスケルトンじゃないぞ!」


「魔物が強化されている! 油断するな!」


 聖騎士や神官戦士が何とか敵の攻撃を防ぎ、魔法により少しずつ相手の戦力を削るという状況が続いている。

 戦闘開始時は楽勝の流れだった。前衛と魔物の群れが接触した序盤は、教団が有利に運んでいた。町の衛兵や軍の兵士と違い教団の戦闘員は、実戦経験が豊富で一般人なら恐怖する魔物が相手であっても、問題なく対応できていた。

 だが、戦いが長引くと徐々に敵の抵抗が激しくなり、聖滅弾で容易く消滅していた魔物が数発耐えるようになっている。

 動きも、始めは各自が本能の赴くままに攻撃を仕掛けているだけだったのだが、スケルトンは統率のとれた軍隊のような動きをし、ゾンビが振るう拳の一撃は盾をも陥没させる。ゴーストに至っては、闇の魔法を発動させ魔法の弾を聖職者へと放っている。


「ただのゴーストが攻撃魔法を使うなんて聞いたことがないぞ!」


「ゾンビとスケルトンも今までに前例がない動きをしている。皆、ただの魔物だと思うな! 心して掛かれ!」


 隊長クラスが懸命に声を上げ鼓舞するが、それに応える余裕すら失われていた。

 前衛は二列になっており、一列目の誰かが倒れるとその穴へ、後方で控えていた新たな神官戦士が補充される。傷つき倒れた者は素早く回収され治療部隊に渡される。

 押され気味だというのに教団側に死者の数があまり出ていないというのは、頻繁に掛けられる魔法で前衛の傷が見る見るうちに治っていくという、治癒能力の高さだろう。


「教皇様! 右翼が押され気味です! 今は何とか回復魔法で耐えてはいますが、魔力が尽きれば崩壊は間違いないかと」


「教皇様、報告に上がりました! 左翼の一部が間もなく落ちます! ご指示を!」


 教団率いる部隊を取り仕切っているのは聖騎士の一人なのだが、戦況の報告はその聖騎士の元へ届く前に、一度教皇へと届けられている。


「ご苦労様です。わかりました、こちらでも検討します。辛い状況ですが、我々には神がついています。決して諦めないでください」


 連絡係の神官戦士にファイリが微笑みを向けると、徐々に赤面していくのが目に見えてわかる。雲の上の存在である教皇から優しい言葉を掛けられ、笑顔まで見せられては舞い上がってしまうのも仕方ない。

 兵士が下がり、陣営の後方で戦場を見渡しているファイリの傍には、メイド長を含めたメイド五人衆が並んでいる。

 本来ならファイリが集めた精鋭部隊に護衛をさせるべきなのだが、このような戦況で戦力を遊ばせておく余裕がなく、精鋭部隊は十名ずつのチームに分かれ、不利な部隊の支援へ向かわせている。

 音もなくファイリの隣に進み出てきたメイド長は、無表情のまま耳元にそっと口を近づける。


「教皇様、戦況はどうなっているのでしょうか」


「問題だらけですね。序盤は押し気味に事が運んでいたのですが、中盤辺りから急に魔物が発する闇の魔力が増幅しました。それにより戦況が一転していますよ」


 目を凝らし前方を忌々しげに睨んでいる。神眼が発動しているファイリの目は白銀に輝き、人の目では見ることのできない戦場の隅々にまで視線を飛ばしている。

 忙しなく動いていた眼球がその動きを止め、敵陣営の中央に立つ悪魔を視線が捉える。


「あれが敵の司令官の様ですね。驚くべき闇の魔力量です。今までの上位悪魔はその魔力を内に秘めていたのですが……この敵は闇の魔力を周囲へ放出しているようです。それが魔物に影響を与え、能力が強化されているとみて間違いないでしょう」


「ということは、その者を倒しさえすれば、残りの魔物も容易く倒せるようになりますね。あと、その口調、少々気持ち悪うございます」


 丁寧な口調ではあるが、メイド長は眉根を寄せ、何か薄気味悪いもので見てしまったかのような表情を浮かべている。


「悪かったな! 一応誰が聞いているかわからんから、教皇モードを解くわけにはいかなかったんだよ! ったく、話し戻すぞ」


 澄ました顔を崩すと、表情も口調も一転させ、いつものファイリらしくなる。


「問題はその親玉なんだが、放出されている闇の魔力が尋常じゃなくてな。莫大な闇が炎のように全身を包み、相手の姿が全く見えやしねえ」


「それ程までに……ならば、かなりの強敵と見て間違いありませんね」


「いや、それが何とも言えなくてな。うーん、しかしなぁ」


 ファイリは言葉を濁すと、腕を組み二の腕を指先で叩きながら、目を細め凝視している。


「確かに上位悪魔に相応しい闇の魔力だが、魔力の強さとしては今まで戦ってきた上位悪魔には劣る。だが、あれ程までの魔力を放出しているというのに、一向に魔力が衰える気配がありゃしねえ。どうなっているんだアイツ」


 魔力を隠すことなく周囲に撒き散らしている上位悪魔の思惑が掴めず、ファイリは頭を悩ませている。あれ程の魔力を放出し続ければ、いくら上位悪魔と言えど魔力量が空になってもおかしくはない。なのに、放出量は減るどころか序盤より多く吹き出ている。


「異様に回復力が高いか、無尽蔵に近い魔力を保有しているというところでしょうか」


 メイド長は表情を変えず、頬に人差し指を当て小首を傾げている。


「考えたくはないが、そうみたいだな。って、おいおい。更に魔力の放出量が上がりやがった。やばいぞこれは。周辺の魔物たちへ闇の魔力が補充されてやがる!」


 上位悪魔から闇の魔力を受け取り、更に強化された魔物たちがイナドナミカイ教団の戦士たちを蹂躙し始める。

 防御に徹していた布陣があらゆる箇所から崩壊し始め、何とか凌いで入るものの完全に崩されるのは時間の問題と言える。


「精鋭部隊を呼び戻せ! シェイコムとサンクロスも忘れずに声を掛けろ! 我らで敵陣を貫き、中央部にいる親玉に直接攻撃を仕掛ける!」


「「「「御意」」」」


 メイドたちが恭しく頭を下げると、そのまま後方へと下がり姿を消した。

 ファイリが大きく息を吐くと、ただ一人残っていたメイド長が心配する表情を浮かべ、そっと声を掛ける。


「ライト様を待たずに宜しいのでしょうか」


「ライトを待っていたら、こっちが壊滅している。それにアイツばかりに美味しいところを譲るのは癪だしな」


「本当に素直ではありませんね。あ、それとも絶体絶命の危機に、白馬に乗って颯爽と現れるライト様に期待されているので?」


「ば、馬鹿! そ、そんなわけ、あるわけがわけわけないわけだ!」


 慌てて否定をするが、何を言っているのか自分でもわからなくなっている。取り乱すファイリを、メイド長は口元を押えながら、目元を緩ませ楽しそうに眺めている。


「そうですよね。教皇ともあろうお方が、一人の聖職者に肩入れするわけがありませんわ。これは失礼いたしました。私は助けに来てくれると信じていますが。助けてもらった際には、熱い抱擁からの情熱的な接吻という流れで迫ろうかと」


「そ、それはやめるべきだ! あれだ、ライトはそういうの嫌うからな! 普通に礼を言うだけで良いだろう。うん、そうだ、うん」


 必死に反論するファイリをからかい続けるメイド長。それは連絡を伝え終わり、メイドたちが報告に戻ってくるまで続くのであった。





 激しい攻防戦が繰り広げられている前線は今にも崩壊寸前だった。

 鉄壁の守りを有するイナドナミカイ教の一団は、傷つきながらも首の皮一枚で何とか持ちこたえている。だが、治癒を行う魔力が尽きかけている状況では、戦線が崩壊するのも時間の問題だった。


「これ以上はもちません! 指示をっ」


「このままでは盾が破壊されてしまいます!」


「神よ我に力を与えたまえ!」


 ただの兵士であればとっくの昔に前衛は崩れていた筈だ。何故、彼らは耐えることが出来たのか。それは、自ら治癒が使える回復力の高さだけではなく、聖職者としての信仰心が彼らを支えていたのが大きい。

 死が目前に迫った状態でも、大半の者が我を見失わずに懸命に耐えている。


「よく耐えてくれました。皆さん、我らに道を開けてください!」


 剣戟と叫び声が響き渡る戦場に女性の凛とした声が響く。騒音が充満している空間だというのに、前衛の聖騎士たちは不思議とその女性の声を聞き取ることが出来た。

 盾を構えた状態のまま後方へ振り向いた彼らが目にしたのは、汚れ一つない純白の法衣に包まれた、美しくも神々しい教皇ファイリの姿だった。


「我らは敵中央部に存在する、この群れの統率者を倒します! 皆さんは守りを固め生き残ることに集中してください。後は我々が何とかします、ご安心を!」


 自信に満ち溢れた力強い発言に、ギリギリで踏ん張っていた教団員の戦意が戻り始める。


「教皇様だけに危ない橋を渡らせるのではない! 皆の者、道を作れ!」


「うおおおっ! この命に代えてもっ!」


「押し込めーっ!」


 原形を留めていない盾ごと魔物へ体当たりする教団員たち。横に広がっていた陣形はいつの間にか、矢印のような陣形へと変化していた。その矢印が敵中央部に突き刺さり、真っ直ぐ縦に伸びていた教皇精鋭部隊が先端から突出する。


「皆さんの奮闘、無駄にはしません! 突撃!」


 ファイリの号令により精鋭部隊が、上位悪魔の前に立ち塞がるスケルトンの群れを蹴散らしていく。上位悪魔の近くにいる黒く変色しているスケルトンは低ランクとは呼べぬ強さを保持していたが、能力の高い精鋭部隊が勢いづいている今、力と数により一気にねじ伏せる事に成功する。


「あの、髪の長い女が悪魔の様だ! 見た目に騙されるな行くぞっ!」


 精鋭部隊の中でも中堅どころの四名が半円状に取り囲むと、同時に攻撃を仕掛ける。

 髪が長すぎて顔が見えない上位悪魔は、俯いたまま何かをずっと呟いている。精鋭部隊の隊員たちの目には、微動だにしないまま四方からの繰り出された剣を避けもせず、突き刺されたように見えた。


「……がはっ」


「何、だ、と」


 剣を突き刺したはずの隊員の動きが止まり、その背からは黒く先端が尖った錐の様な何かが無数に飛び出している。


「あれは、髪の毛か。上位悪魔を中心として距離を置き、円形に陣を張れ! あれは私が倒す! 敵を近づけさせるな」 


 神眼で瞬時に相手の攻撃方法を見抜くと、精鋭部隊に指示を出す。彼らはファイリの気性の荒さもある程度知っているので、教皇らしからぬ口調で命令されても疑問には思わず、素早く隊形を整える。


「お初にお目にかかります。私はイナドナミカイ教の教皇ファイリと申します」


「メイド長です」


 教皇らしく包容力がありながらも、威厳を感じさせる態度で上位悪魔に挨拶をする。来なくていいと釘を刺されたにも関わらず、ついてきたメイド長がスカートを摘み軽く頭を下げる。

 それに対し、上位悪魔からの返答はなかったのだが、何かを呟き続ける声だけが流れてくる。


「申し訳ありません。声が小さすぎて聞こえないのですが」


 そこで初めて相手に動きがあった。俯いていた顔をゆっくりとファイリに向ける。

 顔を覆っている前髪の一部が分かれ、そこから大きく見開かれた片目が覗いている。眼球は赤く充血し、微かに見える口の端が忙しなく動き続けている。


「……ね。……ね。この……が」


「すみません、もう少し大きな声でお願いします」


「がああああああああああっ! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! このあばずれがっ! 男に媚を売っていい気になるなっ! 男なんか糞以下のゴミだ!」


 唐突に絶叫を上げ、ファイリを罵倒し始める。

 髪を振り乱し唾を撒き散らす姿は正気とは思えず、ファイリもその不気味さと迫力に一歩後退してしまう。


「いい気になるな! 男をはべらせて調子に乗んな! くそがっ! 運よく美人に産まれただけの癖に、呪われろ! 死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね――」


 闇の魔力の噴出が更に勢いを増す。

 呪いの言葉を吐き続ける上位悪魔に対し、メイド長は一歩前に踏み出す。


「失敬な! 教皇様はこう見えて奥手で、いい年して恋人ができたこともない、妄想が趣味な悲しいお一人様なのですよ!」


「死ね、死ね、死ね、死……」


 急に黙り込むと同時に、闇の放出量が激減する。


「おい、メイド長、お前」


「教皇様は黙っていてくださいませ。闇の魔力というのは負の感情と聞きました。ならば、その力となる妬みや恨みの心をなくさせれば良いのです。ここは私にお任せください」


 教皇にギリギリ届く声量で囁くと、メイド長は正面から上位悪魔を見据える。


「それによくご覧くださいませ、この貧相でなだらかな胸部を! これでも見栄を張って詰め物した結果なのですよ!」


 上位悪魔はじっとファイリの胸元を見つめると、次に自分の胸元へと視線を移した。両手で抱えている黒い布が邪魔で良く見えないらしく、黒い布を少し前にだし胸元を確認する。そこには立派な双丘がある。

 上位悪魔が正面を向くと同時に、闇の魔力放出が完全に止まる。


「おい、どういうことだ、おい。お前もなに魔力止めてんだ……」


「無様……くすっ」


「てめえ、死にたいようだな」


 今度はファイリが魔力を放出させ胸の前で指を鳴らしながら、声を殺して笑い続けている上位悪魔へ歩み寄っていく。

 周囲で見守っていた精鋭部隊たちは目を逸らし、できるだけ距離を空けようと円形の陣を大きく広げていく。上位悪魔からの魔力の供給が無くなり、弱体化している魔物たちはいとも簡単に押し出されていく。


「寄るな……胸が吸い取られる」


「はっ、その無駄にでかい胸、使い道なんぞ無いくせに」


「そっちのは……胸ではなく大胸筋」


「俺は恋人ができないとは違う。興味がないだけだ」


「モテない女……みんな、そう言う」


 黙って見つめ合う二人が、ほぼ同時に攻撃を仕掛けた。

 束ねられた長髪が上下からファイリの顔面を挟み込むように迫ってくる。その黒髪に両手から放たれた聖光弾を当て相殺する。

 弾かれた髪が空中で解け、一本一本の髪の毛となりあらゆる角度からファイリの全身を狙ってくる。黒で埋め尽くされた視界の中で冷静に『聖域』を唱えると、その全てを完璧に防いで見せた。


「てめえ、やるじゃねえか」


「あ、あ、あ、あ……やっぱり、ダメ。アナタハ教皇。光ノ神ヲ信ジル愚者……許スコトハデキナイ」


 感情のこもっていない静かな声で話していた上位悪魔の様子が一変する。人ではない別のナニかが言葉ではなく音を流しているかのような、無機質な声で話し始める。

 収まっていた闇の放出が再び始まるが、それが周囲に流れるわけではなく全身を濃く覆っていく。霧状の魔力の放出ではなく濃厚な圧縮された闇の魔力が、上位悪魔の体に貼り付くように漂っている。


「私ハ、イミャル。光ノ神ヲ呪イ、邪神ヲ崇メル女」


 淡々と話す、イミャルと名乗る女をファイリは神眼で分析する。

 全身に闇を纏いあらゆる攻撃に対しての防御力が上がっている。特に髪が厄介なようだ。闇の魔力が染み込み、威力と強度が格段に跳ね上がっている。


「あの方は、躁うつ病なのでしょうか。口調と雰囲気がころころと変わりすぎなのですが」


「どうだろうな。病気以前に正気ではないのだろうよ。しかし、これはやばいか。メイド長、ここから離れろ……と言っても無駄だよな」


「聞くまでもないことです」


 隣に立つメイド長にダメで元々言ってみたのだが、瞬時に拒否される。

 永遠の迷宮で一年に渡り鍛え上げてきたが、一人で上位悪魔を倒せると思い込める程、ファイリは自信過剰ではない。

 ならば、ファイリの取るべき行動は一つしかなかった。


「屈辱だが、ライトたちが戻ってくるまで、耐えてみせるか」


「そうですね。ライト様ならきっと」


 二人は方針を決めると腹をくくり、イミャルと向かい合う。

 強大な闇を前に、どれだけ持ち堪えられるかはわからないが、絶望などしてはいない。心の底から信じられる人がいる。

 その人と再び会う為に、死んでやる気など微塵もないファイリは詠唱を始める。

 メイド長はスカートの中に隠していた鞭を取り出すと、地面を一度叩く。

 その音を合図に両者が動き、光と闇を象徴する二人の熾烈な戦いの幕が開いた。



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