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独りが好きな回復職  作者: 昼熊
本編
74/145

古代の施設

 イリアンヌが階段に一歩踏み出した途端、階段側面につけられていた丸いガラス玉が光を放つ。


「え、罠!? そんな感じはしなかったのにっ!」


 姿勢を低くし、何の罠が発動したのか見極めようとしているイリアンヌの肩に、ロッディゲルスが手を置く。


「落ち着け。これは古代の施設によくある自動照明装置だ。ここは古代人の地下施設で間違いなさそうだな。我が先頭に立った方が良さそうだ。代わってもらえるか?」


「そうね。古代の遺跡って初めてなんだけど、全然勝手が違うって噂だもんね。今のも全く原理わかんないし」


 装置が作動したことに気付かなかったイリアンヌは、少し悔しそうな表情を一瞬だけ浮かべるが、素直にロッディゲルスと入れ替わった。


「あの時代の建物は魔道具を惜しみなく使っていて、闇属性が使えなければ起動しないシステムも多く存在する。現代人には難しい仕組みだからな」


 落ち込んでいる様に見えるイリアンヌをフォローするロッディゲルスの姿がある。

 いつの間にか仲良くなった二人の様子に、ライトは暖かい視線を注いでいる。仲良くなった理由が、共通の目的による仲間意識からなのだが、それを知らずに標的は呑気に微笑んでいる。

 三人が階段を下り終えると、そこは大きなホールのような空間になっていた。

 天井は三人の背丈を合わせても届かないぐらい高く、面積もライトが懇意にしていた死者の街の酒場と同等程度はあるだろう。


「普通の遺跡と違って、えらく綺麗ね。真っ白だし、足元もごつごつしてないし」


 よくある遺跡や魔境と違い、人工的に作られたのがよくわかる造りになっている。天井に幾つかの照明魔道具が埋め込まれているようで、外と変わらない光量が頭上から降り注いでいる。


「むこうの、壁付近に三つの扉があるようですが」


 ロッディゲルスが全く警戒せずに進んでいるので、大丈夫だと認識した二人は物珍しそうにホール内部を見回しながら、壁際の扉に近づく。


「赤と黄色と青の扉か。普通に考えるなら、危険度を表しているだろうな。赤が危険。黄色が注意。青が安全。しかし、嫌な予感がするぞ。まだ何の施設なのか見当もつかないが、こういった妙に遊び心がある遺跡は碌なことがない」


 渋面で扉を見ながら唸っているロッディゲルスとは対照的に、イリアンヌは好奇心を抑えきれないようで、三つの扉の前を行ったり来たりを繰り返している。


「聞いたことがあるわ。古代人の遺跡には惜しみなく財力をつぎ込み、半ば趣味で作り上げた遺跡があるという噂を。そういった遺跡は理解不能で危険な罠が目白押しで、入ったが最後二度と出られない……盗賊の間では有名な話よ」


 暗殺者兼盗賊のイリアンヌは自分の肩を抱きしめると、体を震わせる。


「では、余計なことを考えずに安全な青の扉を開ければ良いのでは」


 ライトは鼻をひくつかせて、青の扉をじっと見ている。


「それが妥当だろう。色が引っかけの可能性もあるが、疑っていてはきりがない。少なくとも、ゴーリオンはここを利用しているのだ。正しい道が必ずあるはずだからな」


 ロッディゲルスは青の扉に近寄ると、取っ手も何もない扉に手を当て魔力を注ぎ込むが、何も反応をしない。

 眉をひそめ、もう一度魔力を注ぐが扉はぴくりとも動かない。


「これは、通行するための許可証のような物が必要なようだ。ゴーリオンとやらは、それを所持している可能性が高いな」


「ということは、ここが安全な道であるのは確かなようですね。では、強引に道を切り開きましょうか」


 ライトは扉前で腰を落とすと、右腕を後ろに引きタメをつくる。そして、鋭く息を吸うと、全身の力を一気に開放する。


「ちょっと、待て!」


 ロッディゲルスが制止するより早く、渾身の突きが扉に叩き込まれる。

 手甲と扉が激突し、周波数の高い耳障りな音がホールに充満する。後ろで見守っていた二人は、脳まで貫くような音から逃れるために耳を押さえているが、今更遅すぎる。


「耳がキーンってなってる! 何にも聞こえないぃぃ」


 神聴の影響により通常でも人より耳がいいイリアンヌは、特に被害を受けたようで聴覚が一時的に使い物にならなくなっている。


「凄いですねこの扉。凹むどころか傷一つ付いてませんよ。ふむ、では、次は本気で『上半身強化』『下半身強化』」


 頑丈さに感心して扉の表面を撫でていたライトは少し悔しかったらしく、強化魔法を唱えて本腰を入れる。


「やめんか。こういった古代の施設は防犯性能が高くてな。無理に破壊しようとすると警備用の魔道兵が――」


 ロッディゲルスの説明を遮るように、ホール内に警報が響き渡る。部屋を照らしていた明かりは赤色へと変色し、ライトたちの危機感を煽る。


「え、なに、なに!? 至急情報を求む! って耳聴こえないんだった、私!」


 まだ聴覚が回復していないイリアンヌは状況が理解できずに、右往左往している。

 ライトの鼻が魔物の臭いを捉えることはなかったが、その代わりに鉱物の臭いが足元から漂ってきている。

 ライトが床へ視線を向けると、少し離れた位置の床が三か所丸く穴が開く。

そこから丸く磨き上げられた、人の頭がい骨並の大きさはある鉱石を幾つも並べ、無理やり人型を作ったようなモノが現れる。


「このように魔導兵が現れる」


「これが魔導兵ですか。初対面ですよ」


 魔導兵――冒険者たちにはよく知られている名ではあるが、実際に目撃し生還した冒険者は数少ない。

 全く同じ大きさの丸く磨き上げられた鉱石が連なり、出来の悪い人形と成す古代の兵士。普通の遺跡などでよく見かける土人形ゴーレムと似た存在だと認識されているが、その能力はかなり異なる。

 材質は鉄鉱石なのだが、製造工程が現在とはかなり異なり、硬度を増す為に古代の様々な技法を取り入れられている為、その硬度は鉄とは比べ物にならない。

 また、大きさが統一されており、その丸い球の中には魔石が埋め込まれ、魔法防御力も高められている。


「頑丈な体に、魔力を防ぐ抵抗力。無尽蔵の体力。戦闘のみに特化された人工頭脳。かなり厄介な敵――な筈なのだがな」


 ロッディゲルスの説明が終わるまでに、既に二体の魔導兵が叩き潰されていた。

 ライトが収納袋から取り出したメイスにより、問答無用で二体の魔導兵が圧縮されている。並の一撃なら軽くはじき返す体ではあったが、そんなものはライトの怪力で振るわれた巨大のメイスの前では、何の役にも立たなかった。


「え、何か言いましたか?」


 最後の一体を下から振り上げる一撃で天井に突き刺したライトが振り返る。


「まあ、今更だが魔導兵を倒すには、魔法にしろ物理的な攻撃にしろ、圧倒的な破壊力で叩き潰すしかない」


 魔導兵はその並外れた頑丈さを生かした戦い方を記憶装置に覚えさせている為、防御は捨て攻撃に特化している。イリアンヌが一人で戦った場合、苦戦は必至だが、ライトの馬鹿げた破壊力は相性が良すぎた。

 魔導兵が倒されると警報は鳴りやんだのだが、扉が動くような気配は一切ない。この場を乗り切ったものの振出しに戻っただけである。


「では、今度こそメイスで破壊を」


「待て、同じ過ちを繰り返すな。こうなると他の二つの扉を進むしかなくなったわけだが、黄色を選ぶべきだろうか」


「まあ、普通そうでしょうね。でもさ、これ入口が異なるなら、目的地も別々になるんじゃないの?」


 イリアンヌの素朴な疑問にロッディゲルスは益々悩みを深めてしまう。

 力押しが通用せず、専門分野ではない探索に口を出しても邪魔になるだけだろうと、ライトは壁際を歩きながら室内を観察している。

 床をメイスでぶち抜くという考えが頭をよぎったが、警報装置が鳴り響く同じ流れが目に浮かぶ。

 大人しく扉が設置されていた壁の端まで進むと、そこに壁とは色が違う灰色の大きなガラスのような物が埋め込まれていた。


「すいません。ここに何かあるようです。調べてもらえませんか」


 ライトの呼びかけに反応して、すぐさま二人が駆け寄ってくる。

 やはりこれもロッディゲルスの担当のようで、イリアンヌは一目見た瞬間に肩をすくめて場所を譲った。


「これは、おそらく案内板だな。起動させることにより、ここの施設の全体図が見られるはずだ。だが、これは――なるほど、そういうことか。ライトすまない。その板の左端にある丸い突起物に聖属性の魔力を流してくれないか。これは、闇と聖属性、二つの属性が起動の鍵になっている。我もこっちに闇属性を流す」


 指示通りに半球状の突起物に手を添え、聖属性の魔力を流し込む。すると、ライトが触れている突起物から波紋のように白銀の光が広がる。同様に、ロッディゲルスの方向から流れてきた黒の波紋が中央で混ざり合い、板に灰色の光が灯る。

 光を放つ板に見取り図と古代文字が浮き上がる。


『これは凄い……ライト君。もう少し近づけてもらえないかい』


 メイスの中にいるロジックの魔法使いとしての本能が疼いたらしく、感嘆の声を上げながら熱心に板に浮かぶ文字を読んでいる。


『ふむふむ、ここは何かを監視、研究する施設のようだね。ええと、青の扉は外部までの安全な通路。黄色は身体を鍛える為の強化コースで出口は青の扉と同じだね。赤は、ん? 文字が隠されているな。権限がなければ見られないようだ。危険、関係者以外立ち入り禁止とあるね。間違いないかい、ロッディゲルス君』


「人の身でありながら、失われたはずの古代文字を見事に解読しているな。間違いはない、その通りだ。この図は青と黄色の扉の先を描いている。赤の先は地下へと何層も潜っていくとしか書かれていないようだが」


 三人は赤の扉の先に何があるのか見当はついているが、口には出さなかった。


「赤は後回しにするとして、青が無理なら黄色を進むしかありませんね。強化コースですか。ということは古代人が訓練するためのエリアと考えていいのでしょうか」


「間違ってはいないが、甘く見ないことだ。通路は一本道だが様々な罠や障害物が仕掛けられている。これはただの訓練施設ではないな。魔族になったものが能力を確かめる為に作ったと考えるべきだ」


 見取り図に描かれている記号のようなものが罠を示していると説明してくれるが、残念なことに罠の種類は一切描かれていない。

 ライトたちは一先ず扉前で休憩を取り、各自今後の準備や対策を練る時間を設ける。ロッディゲルスは部屋の隅々を調べ、イリアンヌは武器防具、道具の点検をしている。ライトは一度外に出るが数分後に戻ってきた。


「では、黄色の扉を進みましょう。何処に繋がっているのか知っておきたいですし、中でゴーリオンと遭遇する可能性もあるので、油断はしないようにお願いします」


 二人が頷いたのを確認すると、今度はライトが先頭に立ち扉をくぐる。

 黄色の扉の先は到着地点が見えない長い通路だった。

 傾斜がないように見えるが、緩やかではあるが上り坂になっている。道幅は三人が並んで歩いてもまだまだ余裕があり、戦闘行為を行う場面になっても動きに支障は出なさそうだ。

 遠くの方にはライトの膝あたりの高さがある板状の何かが並び、ライトやイリアンヌには用途が全くわからない障害物が多数取り揃えられている。


「一つ質問なのですが。ここの罠というのは基本床に設置されているのでしょうか」


「断言はできないが、大半の罠は床にあるとみて間違いない。一定の重さが加わると作動するという、普通の迷宮によくある罠と起動条件は同じにしているはずだ。そうでなければ、訓練にならないからな」


「では、もう一つ。一度起動した罠は再び即座に使えるようになるのでしょうか」


「どうだろうな。それは試してみなければ何とも」


「じゃあ、試してみるわね! 『神速』」


 出番がなく、手持無沙汰だったイリアンヌは神速を発動するとまっすぐに通路を走っていく。幾つかの罠を踏み抜いたらしく、落とし穴や壁側面から矢のように鋭く尖った鉄製の棒が発射されるが、全て神速の動きには間に合わず、作動した時にはイリアンヌが通り過ぎた後だ。

 ある程度進むと急停止し、その場でぼーっと立っていたが、ライトたちへ向き直ると再び神速状態で戻ってくる。

 落とし穴は通過してすぐに蓋が閉じ、側面から飛び出してきた鉄の棒は反対側に突き刺さったまま、飛び出し口が塞がっている。

 イリアンヌが同じ場所を走ったにもかかわらず、その罠が再び発動することはなかった。


「一度起動してしまえば、すぐさま発動はしないみたいね。時間を置いたら、復活しそうだけど、直後なら全然大丈夫よ」


「あまり無茶をしないでください。速攻で発生する罠だったら危険すぎます。ですが、その情報を得たのは大きかったですね。一つ対策を思いつきました」


 ライトの浮かべる意味深な笑顔に、ああ、碌なことじゃないなと二人は同時に思う。

 そんな二人の視線を気にも留めず収納袋に手を入れると、中から巨大な一本の丸太を掴み出した。


「あんた、何でそんなもの入れているのよ」


「いえ、さっき外に行って取ってきたものですよ。木がそこら中に生えていましたからね。何本か拝借させていただきました」


 枝と根を適当に取り払った出来立ての丸太を横倒しに置く。丸太が通路の幅より長かったようで、斜めになった状態で引っかかっている。


「少々長いようですね。ロッディゲルス、ここを少し切り取ってもらえますか。破壊は得意なのですが切断する武器を所有していないので」


「それぐらいなら構わんが」


 ライトの意図が掴めずに首を傾げながらも、闇の刃で指定された部分を切り落とした。


「いい感じですね。あと三本ありますので同じ長さに統一してもらえますか」


 次々と取り出される丸太をロッディゲルスは言われた通りに加工していく。結果、道幅より少し短い長さの丸太が四本、ライトたちの足元に転がっている。

 そのうちの二本を収納袋に放り込むと、ライトは足元にしゃがみ込み足元の丸太に手を添える。


「では、時間が惜しいので一気に参りましょう『上半身強化』『下半身強化』」


 ライトは全身の力を込め、丸太を全力で転がした。

 勢いよく床を転がっていく丸太が次々と罠を作動させるが、落とし穴は丸太を落せるほどの幅がなく素通りし、側面からの飛び道具は地面を転がる丸太の上を虚しく通り過ぎていく。


「一応、体部分の罠も調べておきましょうか」


 残りの一本拾い上げると頭上に掲げ、そのまま通路の先を目掛け投げつける。

床を転がる丸太と並行するように上空を飛んでいく丸太は途中、幾つかの罠を起動させるが、巨大な丸太を軽く傷つける程度で勢いもあまり殺されていないようだ。


「はい、ぼーっとしないで今のうちに行きますよ」


 呆気にとられている二人に声を掛け、ライトは駆け出していく。二人も我に返ると慌てて後を追う。

 ライトの力押しが功を奏し、一気に通路の半分まで無傷で駆け抜けることに成功する。先行していた丸太二本は無残にも押しつぶされ、砕け散ってはいるが。


「まさか天井が落ちてくるとは思いませんでしたね。丸太君のおかげで事無きを得ました」


「それも驚いたけどさ、あんたいつもこんな方法で迷宮攻略しているの?」


「そうですね。罠が多そうな場所ではよくやっていますよ。昔から基本独りでしたからね。罠感知も解除もできませんので、ならばいっその事、全部起動させてしまえと。逆転の発想ですよ」


「あんた、地道に罠を解除している、世界中の盗賊に謝れ」


 納得のいかないイリアンヌがライトに突っかかるが、笑みを浮かべたまま受け流している。文句をつけながらも、この手段が有効であるのは確かなので渋々引き下がると、残りの行程も同じ方法でライト一行は突き進む。


「盗賊の存在価値について暫く悩みそうよ……」


 無事に出口付近の扉前までやってこられたのだが、イリアンヌは軽く落ち込んでいる様子で、納得がいかないようだ。ロッディゲルスが優しく肩に手を置き「ライトだからしょうがない」と言い、同情するように軽く頭を振っている。

 出口の扉はロッディゲルスが入口と同様に闇の魔力を流し込むことにより開錠する。

 開いた扉の先は小さな部屋になっており、ライトたちが出てきた扉の隣には青色の扉がある。ライトたちが進んできた通路と、青の扉の通路とここで交わる仕組みになっている。

 扉の対面方向には急勾配の階段がある。


「この先が出口のようですね。誰とも出会わなかったということは、出口で鉢合わせする可能性もありますので、油断なきように」


 今度はライトを先頭に階段を上がっていく。階段はかなりの段数があるようで、イリアンヌが段数を声に出して数えていたのだが、百段を超えてから面倒になったらしく、ライトの背後から声が聞こえなくなった。

 十分程度登り続け、ようやく階段の終わりが見えてくる。階段の上から蓋をするように鉄板のような物が載せられていて、ライトは下からその蓋を押しのける。

 人が通れる程の隙間ができたので、そこから身を乗り出しライトたちは外へと飛び出した。久しぶりに感じる外の空気を胸に吸い込みながら、素早く周囲を見回す。

 そこは見慣れた光景だった。古びた屋敷のような建物に広い庭。

 ライトたちは孤児院の庭の片隅にある雑草が伸び放題の地面から出てきたようだ。


「ここに繋がっているわけですね。孤児院を買い取りたいというのも納得ですよ。孤児院を手に入れれば、人の目を気にせず外壁の外から容易に中に入られるわけですから」


「そういうことか。それは納得したが、敵とも会わなかったな。当初の目的を忘れそうだが、ゴーリオンはどうする」


 ライトは通路を無事通り抜けたことにより、一仕事終えた気分になっていたようで、ぽんっと手を打ち鳴らす。


「ああ、そういえばそうでしたね。相手の目論見がわかったので町中の住処に押し入っても良いのですが、そうすると被害が広まりそうなので、できれば森の中か施設内部でけりをつけたいところです」


「仕方ないわね。なら私がもう一度ゴーリオン見張っておくわ。町から出ていく気配があったら声掛けるから、孤児院で待機しておいて」


 イリアンヌの提案を否定する理由もないので二人は頷き、再び孤児院で世話になることに決め、孤児院へ向かおうとしたのだが、その足はとある人物の一言で動きが止まる。


「あらまあ。そこから出てくるなんて、悪い子ですね。施設内の通路に気付かれてしまいましたか。うーん、どうしましょうか」


 誰もいないはずの孤児院の庭から突如聞こえてきた声に反応し、ライトは背中に備え付けていたメイスを引き抜き構える。イリアンヌは短剣を両手に構え、ロッディゲルスも闇を手に纏わりつかせ発動の準備を整えている。


『母……さん?』


「はいそうですよ、ロジック」


 メイス内部から漏れるロジックの呟きに答え、孤児院の母ファイニーが満面の笑みを浮かべ手を振っている。


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