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独りが好きな回復職  作者: 昼熊
本編
68/145

特訓

 ファイリは思う。何故あんなことを口走ったのか。

 イリアンヌは頭を抱える。張り合うんじゃなかったと。

 ロッディゲルスは諦める。もう、どうにでもなれ。


「はい、皆さん元気がありませんね。ライトアンロック・パワーキャンプはまだ終わっていませんよ。あと十匹」


 次々と湧き出てくるゴブリンをファイリは拳のみで迎え撃っている。

 法衣は返り血と泥に汚れているが、傷は全く見当たらない。支援と攻撃魔法を得意とする後衛職とはいえ、ゴブリン程度なら肉弾戦のみでも問題なく対応できる。


「ラ、ライト。もうそろそろ、限界なんだが」


「大丈夫です。限界だと思ってからがむしろ勝負です。体がきつい状態での筋肉の追い込みが一番効果的ですからね。あと二十いきましょう」


 弱音を吐くファイリにライトは満面の笑みで応える。


「俺は後衛なんだが。肉体よりも魔力を、伸ばす、はぁはぁ、べきじゃ、な、い、の、か」


「短所を無くすより、長所を伸ばすという発想ですね。間違っていないとは思うのですが、せっかく神眼という能力があるのですから、有効利用したほうがいいじゃないですか。相手の筋肉の動きや予備動作を見抜けるなんて、近接戦闘をする者からしてみれば、羨ましい限りですからね」


 よろめきながらも、相手の動きを先読みし、攻撃をいなしカウンター気味に打撃を叩き込む姿がかなり様になってきている。

 ライトは満足そうに頷くと、ファイリが素手で対応するにはまだ少し荷が重い、オーガやトロールを片手間に吹き飛ばしている。


「死ぬっ、死ぬっ、死んじゃうぅぅ」


「こらっ、イリアンヌ暴れるんじゃない。調整が難しいのだから」


 イリアンヌは両腕、両脚、腰に黒い鎖が巻き付いた状態で、ファイリと同様にゴブリンの相手をしている。その鎖を操作しているのはロッディゲルスである。

 体の自由が効かない状態でゴブリンの対応をさせられているイリアンヌは、悲鳴を上げながらも何とか躱している。それによく見ると、イリアンヌは黒い布で目隠しまでされている。


「エセ聖職者! 人でなし! 変質者!」


「はっはっは。イリアンヌは、まだまだ元気ですね。ロッディゲルスは調子どうです」


「そうだな。無駄に爽やかな笑みを浮かべている顔を、殴り飛ばしたいぐらいには元気だ」


 右手の五指から伸びた鎖はイリアンヌに絡みつき、左手から発生した五本の鎖は際限なく現れるゴブリンの頭を貫いている。


「イリアンヌは神速に頼りすぎない戦い方と、神聴を馴染ませること。ロッディゲルスは増大した魔力を操作する力を鍛えてもらいます。ここのゴブリンは無限に湧きますので遠慮なく倒して構いませんよ」


 ライトたちは現在、永遠の迷宮十階にいる。ここは別名ゴブリン村と呼ばれるエリアで現れる敵の殆どがゴブリンという、かなり偏った敵配置となっている。

 筋骨隆々で角の生えた人型の魔物オーガや、異様なまでの回復力が自慢のトロールといった魔物もいるのだが、全体の一割にも満たない。


「皆さん、かなり手馴れてきましたね。もう、ここの戦いは卒業でしょうか」


 その場から一歩も動かずに敵に対応していたライトは、数時間ぶりに一歩前に進んだ。

 すると、足元からカチッという音と共に何かがせり上がってくる。

 それは、四角いタイルのようなもので、ライトが上に載ることにより地面へとめり込んでいたようだ。


「じゃあ、ゴブリンを呼ぶこの無限増殖罠はこれぐらいにしましょうか」


 本来この罠は一度踏むと十匹のゴブリンがやってくるという罠なのだが、それをライトが踏み続けていたせいで、ゴブリンの増殖が止まらなかった。

 三人は残りのゴブリンを吹き飛ばし、ようやく一息つけると、その場にへたりこむ。

 ライトは収納袋の中から綺麗に洗濯されたタオルを取り出し、一人ずつ手渡す。タオルが行き渡ったのを確認すると、今度はよく冷えた果実のジュースを渡す。

 全員が美味しそうに飲み干すのをライトは満足そうに眺めている。そうして三十分の休憩を取ると、ライトはおもむろに立ち上がった。


「皆さん、よく頑張りましたね。では、次の段階へ進みましょう。私も自分の能力を馴染ませないといけませんから」


 そう言って大きく息を吸い込むライトの姿を見た女性陣が止めようとするが、一歩遅く、大きく開けた口からエリア全体に響き渡るような声が放たれる。


『集まれっ!』


 神声を使用した声は、本来なら決して伝わることのない距離まで響いていく。


「おい、今、何をした」


「もうゴブリンでは物足りないだろうと思いまして、このエリア中の魔物を呼んでみることにしました。ゴブリンの上位である、ゴブリンファイター、シャーマン、プリーストにも興味がありますし、ゴブリンキングとかもいるそうですね。楽しみですよ」


「鬼だ、鬼がいる……」


 楽しそうに話すライトから目を逸らし、ぼそりとイリアンヌが呟いた。


「あ、今回は私も参加しますので。そうですね、ハンデとして私も魔法を使わないで戦いましょうか」


「「「ハンデになるかっ!」」」


 思わず三人は同時に突っ込んでしまう。

 三人がここでの特訓をライトに頼んでから迷宮内時間で三日。全員がそのことを後悔していた。





 更に二週間後の永遠の迷宮三十階。


「皆さん、オーガの群れにも対応できるようになってきましたね。立派ですよ」


「「「無限に湧く罠から足をどけろ!」」」


 別名、オーガ村と呼ばれる迷宮三十階で四人は訓練を続けている。

 ゴブリン村と同様にライトが罠で敵を無限に召喚し続け、それを全員で対処するという、お決まりの流れが出来上がっている。

 流石にゴブリンより格上の存在であるオーガ相手には、対ゴブリン戦と同様のハンデは厳しいので、若干戒めを解かれている。


「あーもう、クソったれ! 攻撃魔法ぶちかましてええええっ!」


 ファイリは素手ではなく、キャサリンが製造したメイスと盾を装備し魔法は禁止。


「何も見えないのに、避けてしまえる自分が怖いっ!」


 イリアンヌは鎖の束縛からは解放されたが、目隠しは付けたままで。


「こちらの魔力を強めに、そうなると、左小指の二本目がおろそかになってしまう。ああ、ええと、今度は右薬指のを同時に」


 ロッディゲルスは魔力の操作性を高めるため、指一本から二本の鎖を出し、合計二十の鎖を同時に操っている。

 三人がその状態で戦っているので、ライトも何かしらの枷が必要だと金貨を大量に詰め込んだ透明の箱を掲げながら、敵と戦っている。両腕は塞がれ蹴り技のみで敵を捌いているが問題は無い様に見える。


「限定条件下での戦いって、燃えますよね。手は使えず、この場から動くこともできず、足技限定……訓練とはこうでないとけません」


「お前、実は百八と同類だろ」


 聖霊召喚で再び彼らの前に姿を現し消滅した、筋肉自慢の実験体である百八とライトの姿が重なって見えるファイリだった。


「いえいえ、彼ほどではありませんよ。私は素手にこだわりはありませんし。筋肉については若干共感できる部分もありましたが、まだまだですね」


 背後から忍び寄ってきていたオーガを後ろ蹴りで粉砕しながら、ライトは少し照れたように笑う。


「褒めてねえよ。最近二の腕が太くなってきているんだよな……強くはなりたかったが、何か求めていた強さと違う。聖職者の強みは回復魔法と多彩な防御系魔法を巧みに操ることだったはずなんだが」


「えっ、聖職者の強さとは腕力では?」


「ちげえよっ! それはお前だけだっ!」


 怒鳴りながらも、オーガの頭をメイスで殴りつけ致命傷を与えている。身体強化魔法を使用しているとはいえ、近接戦闘で対応できている自分に若干引き気味のファイリであった。


「うう、光が恋しい……。誰か光を! 暗いのはもう嫌っ」


 最近では戦闘中以外でも目隠しをつけさせられているので、ここ数日、光とは無縁の生活をしているイリアンヌが泣き言をこぼし始めている。そう言いながらも、敵の攻撃は全て避けきっているのは、流石と言うべきだろう。


「ああ、目隠しのことをすっかり忘れていました。イリアンヌさん、もう外してもいいですよ」


「マジでっ! いやっほう! 光が私を待っているわっ」


 喜び勇んで目隠し布の結び目を解き、布を投げ捨てたイリアンヌは顔を上空に向け、目を一気に大きく見開いた。


「ぎゃあああっ! 目がっ、目があああっ!」


 両手で目を抑え、地面を転がりながらも敵の攻撃はちゃっかりと躱している。

 数日、光を見ない生活をし続け暗闇に慣れきった目で、いきなり日光を直視したのだ、こうなるのは目に見えていた。


「後で治癒を掛けますから、暫く我慢していてください。ロッディゲルスも油断しないように。はいそこで、右手で犬を作る」


 急に話を振られたロッディゲルスは慌てて右手の魔力操作に集中する。最近特訓の一つとしてやらされている、鎖を使った編み込みを始める。

 左手の鎖は敵への攻撃と防御を継続し、同時に右の鎖を毛糸に見立てて、精密操作が必要となる犬の造形を開始する。


「ここを、こっちに通して……申し訳ないが君たちは引っ込んでもらえるかい」


 鎖での編み物を邪魔するオーガの全身を鎖が貫く。

 苦戦しながらも何とか編み終わり出来上がった犬のようなものには、脚が六本あった。


「龍は素晴らしい造形をしていたというのに、他のモノはてんでダメですね」


「集中できないからだっ!」


 額に手を当て、わざとらしく残念そうに頭を振るライトを見て集中力が途切れたらしく、犬の造形が更に酷くなり、それはもう魔物と呼ぶに相応しい生き物に変貌している。


「さて、そろそろ恒例のあれやりましょうか」


「「「……好きにしてくれ」」」


 止めることを放棄し、諦めの境地に達している彼女たちは疲れたように呟く。

 ライトの神声によるエリア内の敵呼び込みが開始され、戦いは激しさを増す。雄叫びを上げながら、自暴自棄にも見える特攻をする三人を見て、ライトは満足そうに頷いた。





 迷宮内時間で二ヶ月が過ぎた。

 ライトたち一行は今、永遠の迷宮百階にいる。

 ライト教官による過酷な訓練は終わりを告げ、全力を出せる状態で迷宮の探索を始めていた。


『いやいや、ちょっと待ってくれ。お前ら、百階はまだ早いんじゃないか』


『そうだよ。まだ、訓練を続けるべきだと僕も思うな。基礎って大事だよね』


『そうよそうよ。ここはまだ荷が重すぎるわ』


 メイスから必死になって百階攻略を阻止しようとする声が響いてくる。

 三英雄が必死になって引きとめようとする理由に心当たりがあるファイリたち女性陣は、意地の悪い笑みを浮かべる。


「おや、我々が訓練中に「この程度の敵で苦戦するようじゃ、まだまだだな」とか「あれーまだ四十階なのかい? ごめんごめん。僕たちにとっては遊技場みたいな狩場だからさ」等と散々煽っていた三英雄の方々が何か言っているようだが」


「ロッディ、奇遇ね私も聞こえるわ。でも、まさか、自分たちの踏破階数を超えられそうになっているから、焦っている何てことはないでしょうけどぉ」


「イリアンヌ、そんなことがあるわけがないだろう。格下だと侮っていた相手がたった二ヶ月で、自分たちが何年もかけて進んできた階数を越されてしまうから、妨害しようとしているなんて、あるわけがありませんよね。お姉さま」


『あ、当たり前ですわよ。おほほほほ』


 訓練中に何度も余計な口出しをしてきた三英雄の言動を、ファイリたちは根に持っていたようだ。

 皮肉を返されて、ミミカは軽くキャラが崩壊している。


「じゃあ、あっさりと百階突破しましょうか」


『『やめろおおおっ』』


 ライトは散歩に行くような気軽さで声を掛け、奥へと進んでいく。ファイリ、イリアンヌ、ロッディゲルスの三名も後に続く。

 メイスから流れてくる悲痛な叫び声をバックにライトたちは百階制覇を目指し、突き進んでいく。

 この階層の敵は少数なのだが最低でもAランクはある魔物しかいないので、全力状態のライトたちをもってしても、厳しいものがあると考えていた。

 だが、結果は意外なものだった。楽勝とまではいかないが、苦戦することなく百階の扉を守るボス前に着いてしまう。


『お前ら短期間で強くなりすぎだろ。特別な贈り物スペシャルギフトの効果が凄まじいな。だが、まだだ。ここのボスは初見で勝てるような敵じゃねえぜ』


『そう、多種多様な攻撃方法をもち、強力な外皮に守られている。僕たちもかなり苦戦したからね』


『貴方たちが攻略方法に気づくのは、何回目の戦いになるのかしら』


 何故か上から目線の物言いで三英雄が語り始める。


『俺たちだってこいつには手を焼いたからな。攻略の糸口を掴むまでに最低でも十回はやられる覚悟が必要だぜ。どれだけ相手の情報を引き出すことができるか、それが勝利のコツだ。まあ、どうしてもって言うのなら、少しは教えてやってもいいぜ』


 メイスの中は見えないのだが、ライトには決め顔で胸を仰け反らせて鼻で笑う、エクスの幻影が見えるようだった。

 自信満々で威張っている三英雄の態度に、ライトは呆れて大きな息を吐く。


「百階のボスは光翼竜と言います。元は翼もなく地を這うドラゴンだったのですが、光の神と混沌の邪神との戦い、つまり神々の戦争での活躍が認められ光の神から光の翼を授かったそうです。特徴は魔物でありながら聖属性の攻撃をしてくること。知性が人並みにあること。それに鋼鉄よりも硬い鱗で覆われているので、攻撃が通りにくいですね」


 ライトが扉を守る魔物についての情報を淀みなく語り始める。それもそのはず、ライトは既に百階を制覇している。百階ボスの情報も対策もその身で経験済みだ。


「あと、攻撃方法は聖属性の魔法と、翼から放たれる光る羽のような飛び道具。もちろん、強力な爪と尾による攻撃も注意してください。ある程度、損傷を受けると飛び立った後にブレスを吐きますので、そこが一番厄介かもしれません。三英雄の皆様方、補足説明は必要でしょうか」


『あ、いえ、結構です……』


 消え入りそうな声でエクスが答える。


「後は身をもって体験してください。タイミングや駆け引きは体で覚えるしかありませんから。では、開けますよ」


 巨大な両開きの扉に両手を添えると、ライトは軽く扉を押した。

 勢い良く開いた扉の先には地面が剥き出しの空間がある。壁や天井が見当たらず見渡す先には地平線が見える。空に太陽があるわけではないのだが、外界の昼間と遜色のない光量が上空から降り注いでいる。

 ライトたちの正面方向に小さな山が見える。緑が一切見当たらない土色の山は、距離があるので正確な高さはわからないが、首都にある五階建ての集合住宅や大神殿よりも高いのは確かだった。

 嫌な予感しかしないファイリが神眼を発動させ、じっくりとその小山を観察する。


「ライ、ト……あれが、もしかして」


「はい、光翼竜ですよ」


 ライトの言葉を肯定するかのように小山が揺れると、山の一部が隆起したように見えた。小山の上部が崩れ、長い土色の首が伸びる。体を丸め眠っていた光翼竜は全身を震わすと、その場に立ち上がる。


『あの三人組に続き、このような短期間で新たな挑戦者が現れるとは。人の強さは侮れぬものだ』


 人の言葉を話すには適していない鋭い牙が生え並んだ巨大な口から、流暢な人語が発せられる。


「で、でかすぎるでしょ。ちょっとは遠慮しなさいよ……」


「これは流石に想定外だ」


「え、こんなの私のナイフじゃ蚊に刺されたのと大差ないんじゃ」


 首が痛くなるほど反らし、遥か上空を仰ぎ見ている三人は弱音を漏らす。

 ここまでの体格差は考慮していなかったようで、ライトの馬鹿げた破壊力でもどうにもならないのではないかと、ファイリたちは弱気になっている。


『おおう、すまぬ。お主らと戦うには少々大きすぎるな。調整するとしよう』


 光翼竜が背中から巨大な光る翼を広げると、大きく二度羽ばたく。

 それにより発生した暴風に吹き飛ばされそうになった女性陣が、メイスを地面に突き刺して平然と正面から風を受けているライトの背後に退避し、腰に手を回して懸命に耐えている。

 吹き荒れる風が静まると、小山のような体躯だった光翼竜が全長五メートル程の大きさに、その身を縮めていた。


『これぐらいであれば、お主たちも戦いやすかろう。さあ、挑むが良い。四人の強者共よ! ……ん? もしや、そこにいる巨大なメイスを持った男は……ライトアンロックかっ!』


「はい、そうです。お久しぶりですね」


 光る翼を威嚇するように大きく広げ、牙を剥き出しで唸る光翼竜相手にライトは気軽に挨拶を返す。


『キサマよくも我が前に姿を晒せたなっ! あの屈辱忘れはせんぞおおおっ!』


 猛る光翼竜が怒りの言葉と共に熱い息を吹きかける。

 熱風に煽られ髪が後方へと流される。この状況においてもライトの顔面に張り付いている薄い笑みは剥がれない。


「何のことやらサッパリです。さて、光翼竜さんもやる気満々なようですので、ファイリ、イリアンヌ、ロッディゲルス、皆さんに後はお任せしますね」


 ライトは笑顔のまま後方に下がると、小さく手を振っている。

 四人で向かうつもりだった残りのファイリたちは、呆気にとられた顔でライトを見つめている。


「さあ、ライトアンロック・パワーキャンプの最終試練です。三人で最後の壁を乗り越えてください」


 心底嬉しそうな表情のライトに見送られ、三人は凍りついた表情のまま光翼竜に向き直る。

 そこには、閉じた口から炎が漏れ、目が極限まで吊り上がり、怒りを抑えきれない光翼竜がいる。


『そうか、キサマらはライトアンロックの仲間かっ! ならば遠慮はいらぬな。最大威力の一撃で葬ってくれる!』


 背中に生える一対の光の翼が四枚に分かれ、顔を仰け反らした光翼竜の喉元が徐々に膨らんでいく。大きく開かれた顎の奥には、荒れ狂う炎が見える。その炎が灼熱の渦となり口内から吹き出す。


「お前、いったい何やったんだっ!」


「いやああああっ!」


「ああ、終わった」


 三人の叫びと諦めの声が炎に呑み込まれた。


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