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独りが好きな回復職  作者: 昼熊
本編
104/145

決戦前夜

 ライトは夜空を眺めていた。

 闇夜に光る無数の星々も、光の神のいうことを真に受けるのなら、創造神とやらが創った物ということになるのかと、壮大な世界へ想いを馳せていた――わけではなく、暗い場所を見ていると気分が落ちついて、頭が冷静になるという自分の性格を把握したうえでの行動だった。

 皆との食事を終え、宿屋の屋根に上ってから、一時間近くの時が流れている。

 未だに明日の戦いへの対策がまとまらず、今もこうして悩み続けていた。


「ったく、部屋にいないと思ったらこんな場所にいたのね。隣失礼するわよっ」


 ライトの返事も待たず、隣に腰を下ろしたのは、いつもと同じく露出度が高い黒の戦闘服を身に纏ったイリアンヌだった。

 両方黒の衣類の為、その姿は闇に馴染み、お互い気配を自然に殺している為、余程の腕利きでなければ二人の姿を捉えることは不可能だろう。


「どうしたのよ。何か食事中から変だったけど。みんな心配していたわよ……まあ、私も何だけどさ」


 顔を背け照れたように頬を指で掻く、イリアンヌの不器用な励ましに、ライトの無表情が崩れ、顔が少しだけほころぶ。


「いえ、少しだけ明日の事を考えていただけですよ。復活した光の神。人の身でその頂に手が届くのかと」


 ライトの主観ではここにいる全員の力を合わせても、復活した光の神の一割にも及ばないと考えている。特別な贈り物スペシャルギフトがあるとはいえ、それは所詮、光の神の従神から分け与えられた力なのだ。元をただせば力の全ては光の神が与えたモノであり、その力の一部を得たに過ぎない。

 そんな力が光の神に通用するとは思えなかった。

 珍しく弱音を吐いたライトは、隣で聞いている筈のイリアンヌが全く反応しないことに違和感を覚え、振り向くと、そこには眉根を寄せ、口を歪ませ「何言ってんだこいつ」と言わんばかりの馬鹿にした表情のイリアンヌがいた。


「はぁ? 神様に挑むのよ。そんなの当たり前でしょ。普通に勝てるなんて誰も端から思ってないわよ。正面から挑んだら、粉砕、撃滅、喝采が待っているだけでしょうね。ちなみに喝采するのは光の神だから」


「そうですよね。ならば一体どうすれば」


「決まっているじゃないの。あんたらしく戦う! これしかないでしょ。今までの悪魔や強敵との戦いだって、単純な戦力でライトが勝っていた相手なんて殆どいなかったでしょ。それでも、勝ってきたんだから。もっと自分を信じたらどう。勝つ為なら卑怯、嘘、何でもありのライトアンロックでしょ」


 そう言って笑いながら、ライトの胸に拳を突き付けるイリアンヌの屈託のない笑顔を、ライトはじっと見つめていた。


「そうですね。どうも、最近少し無駄に考え過ぎのようです。単純に私らしくいきますよ。ありがとう、イリアンヌ」


「どういたしまして。私も含めてなんだけどさ、みんな、信じているだけなの。ライトなら何かとんでもないことを、してくれるんじゃないかと楽しみにしているのよ。負けたっていいじゃないの。この世界が滅びたところで、自分が死んだらそんなこと関係ないし。だったら、最後までライトらしく光の神をあっと驚かせてやればいいのよ」


 その言葉でライトの胸につかえていた何かが取れ、すっと体が軽くなった気がした。

 ライトは膝に手を当て勢いよく立ち上がると、星明りをバックにイリアンヌへ向き直る。そして、イリアンヌの耳元にそっと唇を近づけると「ありがとう」と囁く。

 顔面を真っ赤に染め、熱の上がった顔でライトを見上げるイリアンヌは、いつもと変わらぬ薄い笑みを浮かべている顔を見て、安堵の息を吐き、同時に自分自身の決意を固める。





 屋根から飛び降り、宿屋の裏側に降り立ったライトは、さっきまで自分のいた屋根の上を眺め、そこにまだ居る筈のイリアンヌへ向けて、小さく頭を下げる。

 このまま、宿屋の入り口に戻り部屋で眠ってもいいのだが、もう少し夜風に当たりたい気分だったので、夜の宿場町を当てもなくぶらつくことにした。

 いつの間にか町外れまで来ていたライトは、少し足を延ばし、近くに見えた高台の上までやってくると腐食の大地、死の峡谷、そして死者の街があった方角へ視線を向ける。


「『神眼』があれば、死者の街が見えたりするのでしょうかね」


「やっぱり、気付かれていたか。いくら『神眼』でも見えねえよ。腐食の大地と死の峡谷との境目辺りなら何とか見えそうだが」


 ライトの背後から姿を現したファイリは、体が触れるギリギリの距離まで近づくと、ライトと同じ方向を見つめる。


「そこまで見えたら充分すぎますよ。どうしたのですか、こんな夜更けに淑女が一人で出歩くなんて」


「ありがとうよ、思ってもいない心配してくれて」


 ふんっ、と鼻を鳴らして、拗ねたように礼を言うファイリ。

 ライトと正反対の白い法衣に身を包んだファイリは、黙っていたら確かに聖女と呼ばれるに相応しい容姿と雰囲気を纏っている。


「よかったのですか、ファイリ」


「何がだよ」


「教皇の座を退いたことですよ」


 ライトが教団を抜けることを宣言したあの日、一緒にいたファイリは、イナドナミカイ教の関係者や信者の前でずっと被り続けていた仮面を投げ捨て、素の自分を出し、啖呵を切って教皇の座を捨ててきたのだ。


「あれか、面白かったよなあれは。みんな、すんげえ驚いていたし」


「確かに滑稽でしたね、あれは」





 あの日、ライトが光の神のしてきたことを暴露し、神を散々こけ下ろしたことに対して、熱心な信者と、神の意向を笠に散々甘い汁を吸ってきた聖職者たちが一斉にライトを罵倒した。

 罵詈雑言が飛び交う中、渦中のライトは欠伸をしながら我関せずと、涼しい顔をしていたのだが、一際豪華な椅子に座らせられていたファイリはそれを黙って見ていられなかった。


「黙れ、貴様ら」


 そう言い放つと席を立ち、ライトの隣に並び、突然の言動に驚き固まっている者たちを鼻で笑い、睥睨する。


「ライトの発言に間違いはない。それは教皇である私が証明しよう。それでは不服か?」


「い、いや、しかし。教皇様のお言葉とはいえ、そのような荒唐無稽な話、信じられるわけが――」


「いい加減にしろ! この無能共が! 貴様らの信じた神はいない! 俺たちが後生大事に崇め奉っていたモノはただのクズだ! 現実を見ろ! それに、枢機卿の面々よ、お前らは知っていたはずだよな。大神殿の地下に何が眠っていたのか! それを知ったうえで、まだ、しらばっくれるのか!」


 怒りと共に吐き出された罵倒の言葉は、恫喝とも取れる勢いだったが、その言葉は全て真実であり、そこにあるのは怒りよりも哀しみの色が濃いことを、ライトだけはわかっていた。





「あれはお見事でしたよ。とても男前でした」


「それは褒め言葉ではないだろ!」


 ファイリが頬を膨らまし睨んでくるが、気を緩めているときの幼く見える顔で、それをやられても迫力がなく、ライトはファイリの頭に手を置いて、優しく撫でた。


「むっ、教皇の頭を許可なく撫でるとは無礼な」


「もう教皇ではないのでしょう?」


「そうだったな。ちなみに勘違いするなよ。俺は自分の意思で教皇の座を降りたのだ。決してお前を庇う為ではない。今は肩の荷が下りて清々している」


 強がっている様子もなく笑う姿が、偽りのない真実だというのを証明している。

 イナドナミカイ教がこれからどういった道を進むのか、それはライトには計り知れないことだが、たぶん、このまま真実を隠し続けていくのだろうと予想はしている。


「さて、夜風も冷たくなってきたことですし、そろそろ宿へ戻りましょうか」


 踵を返し町へ向かおうとしたライトの袖をファイリがぎゅっと掴んでくる。

 俯いて表情は見えないが、その肩は少し震えている様に見えた。


「ファイリ、怖いのですか」


「ああ、怖い。自分が死ぬことは怖くないんだ。ただ、お前が自分の命を軽んじているのが怖いんだ。どうせ、命を捨ててでも光の神を倒すとか思っていないか」


 それは図星だった。

 イリアンヌとの会話で吹っ切れたライトは、この命を捨てる覚悟で戦いに臨むつもりでいた。今までの戦いでもそうだが、ライトは死ぬことを恐ろしいと思ったことが無い。

 死に接することが多く、死者の街で死者である者たちと共に過ごし、死への恐怖というものが完全に薄れている。

 それは痛覚がないというのも大きな影響を与えていた。痛みは死への恐怖を与える。そこが欠如しているライトにとって、死は身近な存在であるが、恐怖の対象ではないのだ。


「いいかライト、よく覚えておけよ。お前が死んだらみんなが、俺が悲しむ。だから、絶対に死ぬな! 殺されても死ぬな!」


「無茶な注文をしますね。ですが、その言葉忘れないでおきますよ」


 イリアンヌとファイリの励ましと助言をしっかりと胸に刻み、もう一度、ファイリの頭を撫でようとしたが、寸前で手を止めた。

 顔を上げたファイリが涙目でライトを睨んでいたからだ。

 頭へと伸びていた手を、ファイリの目元へ移動させ、零れ落ちそうな涙を手ですくった。


「頼まれても死んでやりませんよ。ライトアンロックがファイリに誓いましょう」


「うむ、その誓い……忘れるなよ!」


 屈託なく笑うファイリの顔は、教皇として多くの信者に見せてきた笑顔の何十倍も価値のある、思わず見とれてしまう様な笑顔だった。





 自分の行動を思い返して恥ずかしくなったらしく、一足先に駆け足で町へ帰ったファイリから遅れて、ライトも宿屋の自室へ帰り着いた。

 窓際に備え付けられている机の近くに置いてある椅子を引き寄せ、ライトは背もたれを前にして座り込んだ。

 背もたれの上部に腕を置き、その上に顎を乗せ虚空を見つめる。窓から差し込む星明りで、微かに室内が見える程度の光量が、眠りにつくにはちょうど良い明るさに思える。

 明日のことを考え早めに寝ても良かったのだが、二人との会話で眠気など全く感じないライトは今までの事を思い返していた。


「貴方との付き合いも結構長いですよね。貴方にとっては、長い人生のほんの一瞬かもしれませんが」


「そんなことはない。この数年は今までの人生で最も濃く、実りのある日々だった」


 部屋の片隅に漆黒の渦が現れ、その中からロッディゲルスが出てくる。

 薄闇に浮かぶロッディゲルスの姿に、ライトは思わず息を呑む。そこには、いつもの燕尾服ではなく、上着と下を脱ぎ、燕尾服の中のシャツ一枚で立っているロッディゲルスがいた。

 おそらく寝る前の格好で来ただけだと、ライトは動揺を押し殺し、いつもの笑みを無理に貼り付ける。


「どうしたのですか、こんな夜更け――もう、この台詞はやめておきますか」


「ん? 何のことかはわからんが、何となくライトの様子が気になってきたのだが。どうやら大丈夫の様だな。雰囲気が変わっているぞ」


 やはり、ロッディゲルスもライトの身を案じて来てくれたらしく、自分がとても幸せ者だということに、今更ながら気づくライトだった。


「叱咤激励をいただきましたからね。おかげ様で何とか自分らしさを取り戻せたようです」


「ちっ、出遅れたか」


 床板を悔しそうに蹴りつけるロッディゲルスに苦笑するライト。

 それを見たロッディゲルスが更に不機嫌になる。一見、表情は変わっていないのだが、付き合いの長いライトは、その些細な変化を見逃さなかった。


「拗ねないでください。その気持ちだけで充分嬉しいのですから」


「何だあれか、二人に思う存分、甘えたからもういらぬのか。私と会話することすら、煩わしいのだな」


「どうして、そうなるのですか。何か勘違いしているようですが、何もなかったですよ。会いに来てくださって本当に嬉しいです。機嫌直してください」


 背を向けて不機嫌さを隠そうともしないロッディゲルスへ、ライトは席を立ち歩み寄った。もう少しで手が届く距離まで近づくと、ライトはそこで立ち止まったのだが、背を向けていたロッディゲルスが突然振り返り、ライトの胸に飛び込んできた。


「少しこうしていたら、機嫌が直ると思う。だからライトも、私をぎゅっと抱きしめて」


 常日頃から自分の事を我と言い、あまり女らしさを見せないロッディゲルスの弱々しくも色気のある物言いに、ライトの心臓が一度大きく跳ねる。


「ライト。私に恥をかかさないでくれ。千年も生きてこんな気持ちになったのは初めてなんだ」


 その言葉に全身の力が抜けた一瞬を見逃さなかったロッディゲルスは、ライトと一緒にベッドへ倒れ込んだ。

 ライトの体の上に寝そべるロッディゲルスの体から、火照りと激しく脈打つ心臓の鼓動が、体へと伝わってくる。

 荒い呼吸を繰り返し、緊張した面持ちで顔を近づけてくるロッディゲルスにライトはそっと囁く。


「観客がいますが宜しいので?」


 冷静なライトの言葉にロッディゲルスの動きが凍り付いた。

 ライトは寝転んだ状態のまま、右腕を天井へ向けると『聖光弾』と唱える。

 光り輝く弾が天井付近で停滞し、室内を照らし出す。

 硬直状態のロッディゲルスが、錆びた道具のようにゆっくりと軋みを上げ、辺りを見回すと、天井に逆さまでぶら下がる下着姿のイリアンヌと、自分たちが寝ているベッドの壁際の隙間からネグリジェ姿で枕を抱え、上半身を出しているファイリと目があった。


「何をしているのだ……」


「それはこっちの台詞よ。一番奥手かと思っていたのに、出し抜かれるとは」


「お前ら、夜更けに男の部屋に忍び込むなんて恥を知れっ」


 お互いを牽制するように睨み合う三人から少しでも離れようと、ライトは寝転んだ状態のまま、少しずつ枕の方向へ体をずらしていく。


「えっ」


 ライトは足を掴まれ引っ張られると、再び元の位置へ戻ってきてしまう。足元を見ると、そこには四本の手がライトの足を掴んでいて、力を合わせて引き戻したようだ。

 覆い被さっていたロッディゲルスはベッドの左脇で床に膝をついた状態で、ライトの足を掴んでいる。反対の右側にはファイリがいて同じように足に手を伸ばしている。

 最後のイリアンヌはベッドの足元側にいつの間にか降り立っていて、両足を両手で掴んでいた。

 三人の瞳に宿る危険な光を感じ取ったライトは身の危険を察知し、本気で逃げようと体を起こそうとしたのだが一足遅く、ロッディゲルスの放った黒鎖によって、ベッドへ固定されてしまう。


「今日が最後かも知れねえんだ。俺は譲る気はないぞ」


「我もそうだ、最後のチャンス逃す気はない」


「私だってそうよ。この勝負下着で決める気だったのに」


「すみませんが、私の意思はどうなっているのでしょうか」


「「「ライトは黙って!」」」


 三人から同時に怒鳴られ、その迫力に圧倒されてしまい黙ってしまう。


「この朴念仁には何を言っても無駄だ。それにこのまま放っておいたら、メイド長に取られそうな気がしてならんのだ。もういっそのこと――」


「ここにいる三人で――」


「襲っちゃおうか」


 戦線離脱した筈のメイド長との絡みを『神触』により見せつけられていた三人は、かなり焦っていたようで、三人は顔を見合わせ大きく一度頷くと、手を握り合った。そして、ライトの体へとにじり寄ってくる。


「皆さん少し落ち着きませんか。こういうのは勢いではなく段階を踏んで――」


「そんな時間はないのはわかっているだろ? それとも俺たちが嫌いか」


「我が、私が嫌ならそう言ってくれ。そしたらきっぱりと諦める」


「本心を聞かせて、お願い」


 彼女たちの真剣な思いを受け取ったライトは、惚けたり誤魔化したりするのはやめ、大きく息を吸うと、自分の本心を吐き出そうとした。


「私は――」


『私にも肉体があれば、裸エプロンスカートで参戦しましたのにっ!』


 窓の方向から響いてきた大声により、ライトの告白は遮られる。

 三人が驚いた表情のまま、ゆっくりとライトに顔を向けた。


「そういや、メイス出したままでした。今日は皆さんとも、話をしようと思って窓際にメイスを立てかけていたのですよ」


 すっかり忘れていたライトが苦笑する顔を、三人は呆然と眺めている。

 耳を澄ませば、小さい音量で色気すら感じさせる艶めかしい音楽が、メイスから流れ出ているのを聞き取ることができた。


『ああ、もう、この子、力が落ちているとはいえ、神である私の束縛から逃れたわ! もう少しでライトの孫が見れるチャンスだったのに!』


『ライトォォォォォ! 頼む、一生のお願いだ! 聖霊召喚で俺を呼び出して参加させてくれ!』


『最低っっね、エクス! 大切な妹をあんたなんかに触らせるわけないでしょ! もうちょっとで妹の初体験が見れそうだったのにぃ。しっかし、身内のそういった行為を覗き見するのって、何か背徳感ですっごくドキドキするわね。癖になりそう』


『彼女たちがもう少し幼ければ、見る価値があったのだが……胸だけは合格ラインなのだけど』


『んもう! 死を司る神様、ちゃんと押さえておいてもらわないとぉ。折角の美味しい場面が台無しじゃないの』


 騒ぎ立てるメイスの中の住民。魂が抜けたかのようにベッドの上で跪き、焦点の定まっていない瞳で虚空を見つめ、薄ら笑いを浮かべている三人。ムードのあった曲は、いつの間にかお笑い芸人が舞台で流す、軽薄でノリのいい音楽へと変化している。


「姉さま。覗きは犯罪ですよ!」


『ファイリごめんなさい……でも、夜這いも犯罪ではないのかしらー』


『ロッディゲルスも意外とあれだ、大胆だな。ちょっと感心したぜ! 私に恥をかかせないでくれだったか。かーっ、言われてみてえええ』


「な、何を言っているのか、ま、まったくわからんぞ」


『イリアンヌちゃん。今度、勝負服も作っておくわね。色気むんむんの期待していてっ』


「いらないわよ、そんなの!」


 決戦前夜を緊張と恐怖で迎えるのではなく、馬鹿みたいに騒ぎ合えることをライトは心の底から嬉しく思い、優しく微笑んだ。

 そして、宿屋の女将が騒ぎの収拾に来るまで、愛すべき仲間たちを飽きることなく、ずっと見つめていた。


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