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独りが好きな回復職  作者: 昼熊
本編
103/145

立つ鳥跡を濁さず

「さて、どうやったら本人だと信じてもらえるのでしょうか」


 体を黒鎖で雁字搦めにされ、逆さ吊りの身動きが取れない状態で左右に揺れながら、ライトは悩んでいる。


「ライトの振りをするのもいい加減にしろ!」


「いや、ですから、本物なのですが。さっきこの体を奪い返したのですよ」


 ファイリと何度目の問答になるのだろうか。ライトは光の神から解放されたと主張しているのだが、三人は全くそれを信じようとしない。


「あくまで、ライトだと言うのなら証拠を見せてみるのだな!」


「証拠と言われましても……では、本人しか知らない情報を語りましょうか」


「いや、体を乗っ取った時に記憶をも奪った可能性がある。それでは信用できない」


 ロッディゲルスはライトを拘束する鎖を緩めようともせず、鋭い目つきでライトの動きを見逃さぬように警戒している。


「じゃあ、どうやって証明したらいいのですか。あ、メイス出させてもらえませんか。メイスの中にいる皆さんなら、私が本物だと証明してくれる筈です」


「どうだか。そうやって、鎖から逃れて武器を手にするつもりでしょ。そうは、いかないわよ」


「そんなことを言われてはどうしようもないのですが」


 イリアンヌも武器を構えたまま、一瞬たりとも気を抜かずにライトの周囲を歩き回っている。三人がライトを睨みつけ、全く隙を見せずに尋問をしているのだが、どちらもこれといった打開策が思いつかずに、同じことを繰り返している。

 ファイリたちもこのままではらちが明かないことは理解しているらしく、視線をライトから離さぬまま、固まって何やら小声で相談をしている。

 暫く、そうしていたが話がまとまったようで、三人はライトを三方から取り囲むと、ファイリが代表して口を開いた。


「じゃあ、偽物では真似できない、ライトらしい発言で俺たちを説得してみろ! 記憶を盗み見た程度では、ライトの捻くれた言い回しは真似できまい!」


「凄く失礼な事を言われている気がするのですが。私らしい発言ですか」


 ライトは頭を悩ませている。自分らしさ……簡単なようで奥深い問題だと真剣に悩んでいるようだ。結構な時間、考えに耽っていたライトは的確な言葉が思いついたようで、自信満々で思い浮かんだ台詞を言い放った。


「暴力は何も生み出しません。人は言葉を交わし想いを伝えられる生き物です。さあ、鎖を解き話し合おうではありませんか。世界はこんなにも愛に満ち溢れているのですから」


「「「偽物だっ!」」」


 間髪入れず、三人の突っ込みが炸裂した。


「今のが駄目だとなると、説得はほぼ不可能ですね」


 ライトは逆さに吊られた状態で目を閉じ、何度も頷いている。


「よくよく考えると、あの、自分の事をわかってない感じが、本物みたいだが?」


「ああいうのを臆面もなく言えるのは、我も確かにライトっぽいと思うが、演技力があるだけかもしれん」


「聖職者っぽい発言が全く似合わないのも、ライトらしいんだけど」


 再び小声で相談し始めた三人だったが、その内容はライトにとって失礼極まりない内容だった。

 ライトは打開策を検討中の三人から目を逸らし、周囲をつぶさに観察する。

 右と後方は木々しかないが、左の奥の方には何もなく視界が開けている。そこには、巨大な大穴の縁があり、ここが虚無の大穴の直ぐ側だということが把握できた。


「光の神が最後の一つと言っていたのは、嘘ではなかったということですか」


 ライトは呟くと頭の中で状況を整理し始める。光の神はライトの体を使い、虚無の大穴に眠る闇の神の欠片をどうにかして復活させ、穴から出たところで三人に見つかり捕まった。と考えるのが妥当なようだと。ライトは結論付ける。


「すみませんが、虚無の大穴に眠る欠片は復活したのでしょうか。それにここで商売をしていた商人さんと観光客はどうなりましたか?」


 ライトの質問を聞いた三人娘は同時に表情を歪め、眉根にしわを寄せた状態で宙づりのライトへ顔を近づける。


「まだしらばっくれるのか。お前がやったことだろ。解放された神の力を用いれば、人間の生贄など必要ない。って自慢げに語っていたのはどこのどいつだ。それとも何だ、貴方のおかげで人々が避難する準備が間に合い、犠牲者が一人も出ませんでした。とでも、言って欲しいのか? ああんっ!」


 息が届く距離まで顔を寄せ、チンピラのように半眼で睨みつけてくるファイリの発言を聞き、ライトは安堵のため息を吐いた。


「誰も亡くなっていないのですね。それを聞いて安心しました」


 心底安心したかのように、表情を崩したライトを見て三人の心が騒ぐ。もしかして、本当のライトなのではないかと、そう思ったその時。


「もう、面倒なので強引にいきます『神力開放』」


 白銀の光を纏ったライトは黒鎖を強引に引き千切ると、不意を突かれ硬直していたイリアンヌを引き寄せて腰に手を回すと、そのまま小脇に抱え反転する。

 一足飛びで並んで立っているロッディゲルス、ファイリの懐に飛び込み、三人をまとめて抱きしめた。


「ラ、ライトこんなところでっ」


「いきなり何をっ」


「いきなり四人でってのは斬新すぎない!?」


 意味不明な事を叫び取り乱している三人へ、メイド長から譲り受けた『神触』を使い、心の中で行われていた出来事の記憶を全て流し込んだ。

 初めは抵抗して暴れていたのだが、頭へ直接、映像を送り込まれることにより、次第に大人しくなっていく。全ての記憶を流し込み終わると、三人は力なくその場に座り込む。


「そんなことが……あったのか。待っていたぜ、ライト」


「無事だと信じていたよ。本当によかった……」


「まったく、相変わらず無茶するわね」


 ファイリはいつものように男性口調でライトの帰還を喜び、ロッディゲルスはライトが本物であるのを確かめるように、腕や肩を擦っている。イリアンヌはライトの胸に拳をぶつけると、満面の笑みを浮かべた。

 そんな三人に、ライトはいつもの薄い笑みではなく心底嬉しそうに微笑むと「ただいま」と告げる。


「「「おかえり!」」」


 声を揃えて返事をする三人をライトは無意識の内にもう一度抱きしめていた。彼女たちは驚いたようだが抵抗する素振りも見せず、目を細め、自らの腕をライトの体へ回した。


「失礼しました。貴方たちが無事なのが本当に嬉しくてつい」


 仲間を二人、操られていたとはいえ手を掛けてしまった事実と後悔が、今もライトの胸中に巣食っている。正気を取り戻したとき、ファイリたちまでこの手で殺めていたら――ライトは目覚めるまで、ずっとその心配をしていた。

 いつもと変わらぬ彼女らの姿を見て、ライトがらしからぬ行動をとってしまったのも無理はない。

 ライトが慌てて手を放すと、三人とも少しだけ残念そうな表情を浮かべるが、他の二人の緩みきった表情を見て、顔と意識を引き締める。


「ま、まあ、嫌じゃなかったから別にいいさ! そっちの事情は理解した。今度はこっちの説明だな」


「ファイリちょっと待ってください。皆さんにも同席してもらいますので」


 ライトは収納袋からメイスを取り出すと、柄を地面に突き刺し、先端がライトの胸当たりの高さになるように調節する。


『イリアンヌ様、ロッディゲルス様。そして、ファイリ様、ご心配をおかけしました』


「メイド長! 馬鹿野郎、心配したんだぞ……無事で、良かった、本当に」


 今にも泣きだしそうな顔を空へと向け、涙がこぼれないように踏ん張っているファイリへ『野郎ではありませんし、無事でもないのですが』と冷静に合の手を入れるメイド長だった。


「ファイリがあんな調子だから、私が説明するわよ」


 イリアンヌがファイリに代わり、説明役を受け継ぐようだ。


「ライトが私たちの前から消えて直ぐに、私たちは虚無の大穴を目指したの。ライトがそこに邪神の欠片が眠っている可能性が高いって言ってからね。マースからナイトシェイド号借りて現地へ向かい、着いて直ぐに紅蓮流の人員と教皇の権限を最大級に利用して、そこに住む人々の一時避難と、虚無の大穴への立ち入り禁止を実行したの」


 そのおかげで被害者がいなかったのかと、ライトは仲間の迅速な行動に、声には出さず胸中で感謝している。


「それでね、ライトの体を盗んだ光の神を目撃した人がいないか聞いて回って、幾つか情報を手に入れたわ。と言っても、目撃談の殆どが光り輝いている男が、大穴の中に傷心自殺でもするかのように飛び込んでいった。って話ばかりだったんだけど」


 光り輝く自分が大穴へ飛び込んでいく。その絵面を想像し、何とも言えない微妙な気分になるライトだった。


「それで、全員を避難させ安全を確保してから、私たちが大穴に潜ろうとしたら空が急に暗くなって、赤く脈打つ巨大な心臓が穴から浮かび上がってきたの! もう何て言うか、生々しくてグロかった!」


 その光景を思い出したらしく、イリアンヌは身を震わせ自分の両肩を抱き締めている。

 現場に同席していたファイリ、ロッディゲルスも思い出してしまったらしく、渋い顔をしている。


「心臓は直ぐに消えたのだけど、暫くしてから光の神が穴から出てきて、私たちが捕獲して尋問を始めたところで、ライトと入れ替わったみたい」


「そうですか。タイミングが悪かったとも良かったとも言えますね」


「だな。じゃあ、改めて今後の方針を考えねえとな」


 目元が赤いファイリが話に割り込んでくる。どうやら、復活したようで平然を装ってはいるが、少し無理をしているらしく、いつもより少しテンションが高いように見える。


『あ、ライトちょっと割り込んでいいかしら。私も挨拶をしておきたいので』


「母さんは初めてだったね。すっかり忘れていましたよ」


 メイスから響いてきた穏やかな女性の話声を聞き、三人は一斉に背筋を伸ばし、身だしなみのチェックを始める。


『初めまして皆さん。ライトから見せられた記憶により知っているとは思いますが、挨拶させてもらいますね。ライトの育ての母であり、死を司る神とも呼ばれています。ライトがいつもお世話になっています。この子が無事に今日まで生きてこられたのは、皆さんのおかげよ。本当にありがとう』


「「「気にしないでください、お義母かあさま!」」」


 三人の声が、予め打ち合わせしていたのではないかと疑われるぐらい、見事に重なった。

 おかあさまという言葉の響きに、何故か背筋に悪寒が走るライト。


「お義母さま、わたくし、ファイリと申します。学生時代からの付き合いで、今も仲良くさせてもらっています」


 いつもの男口調でもなく、かといって教皇モードでもない、可愛らしい声で挨拶をするファイリを、ライトは訝しげに眺めている。


「我、いえ、私はロッディゲルスです。暗闇でライトと共に二人きりで過ごした時間は、誰よりも長いと自負しています」


 それは虚無の大穴の事で、言っていることは間違いではないのだが、知らない人が耳にしたら完全に誤解される言い回しをしている。


「初めまして、イリアンヌと申します。ライトさんとの関係は、目と目があった瞬間に、会い死会う、そんな二人でした」


 これも間違ってはいないのだが、その言い回しは無理やり過ぎませんかね、と突っ込みたくなるライトだった。

 ライトはこういった女性同士の会話に割り込むのは無謀だとわかっているので、彫像のように何も反応せず、身動き一つせずに見守っている。


『皆さん、丁寧なごあいさつありがとうございます。みんな可愛らしいわねー。誰が本命なのかしら。この世界では一夫多妻制が認められているけど、ライトってそういうの嫌いじゃなかった? あーでも、子供の頃とは価値観も変わるわよね。お母さんは、そんなライト嫌いになったりしないから安心して。だから、お母さんにだけ、こそっと一番好きな子教えなさいよ。ほらほらぁ』


 早口で捲し立て、本音を聞きだそうとする死を司る神の話を、ライトは完全に無視して目を閉じ「私は、石、雑踏に転がっている石」と意識をこの世界から遮断しようと無駄な努力をしている。

 一言も言葉を発せず、石に成りきっていたライトだったが周囲から押し寄せる重圧に耐えきれず少しだけ瞼を開くと、そこには期待の眼差しでライトを凝視している、ファイリ、イリアンヌ、ロッディゲルスの三人と、メイスからも熱い眼差しが注がれている気がした。

 ここを無難に乗り切れる策はないかと、懸命に頭を働かせていたライトはあることを思い出し、急に真剣な表情になる。

 雰囲気の変わったライトを前に、浮ついていた心も静まり始めた三人にライトは静かに一言一言を噛みしめるように話しかけた。


「その前に三人に聞いておきたいことがあるのですよ――」


 続く言葉を聞き、三人は顔合わせると目を伏せ静かに語った。







 町外れの巨大な共同墓地には、新しく建てられた墓石がずらりと並んでいる。

 首都を守る戦いで多くの犠牲者を出したことにより、まだ充分すぎる程、土地が余っていたはずの共同墓地が満席となり、近場に新しく墓地が作られている最中らしい。

 ライトたちはその墓地の奥へ奥へと進んでいる。

 今日は珍しく公式行事や式典で着る為の、厳かな刺繍が施された法衣を着こんでいるライトは、真新しい墓石を眺めながら黙々と歩き続ける。墓地の右隅に近くまで進んだライトは、目当ての一際大きな白い墓石と、その近くに建てられた小さな黒い墓石を見つけた。

 墓石と言えば普通は白なのだが、この墓に眠る者が以前から黒色に憧れていたので、身元保証人の特別な計らいにより、黒の墓石となった。


「すみませんが、ここから先は独りで行かせてください」


 振り向くこともせず、背を向けたままそう告げると、ライトはまず巨大な墓石の前に立った。


「ギルドマスター、お久しぶりです。と言うには日が空いていませんね。何とか悪魔を撃退し、首都は守り通せましたよ。ついでに、貴方の敵も取っておきましたので、ご安心ください。あと、事後処理を任せないでください。途中で投げ出したくなりましたよ」


 収納袋の中からワインを二本取り出し、その栓を引き抜いた。そして、二本のワインの中身を墓石へと注いだ。その価値を知る者がいれば驚愕し、勿体ないと叫ぶレベルの高級ワインなのだが、ライトには関係なかった。


「コルクを集めるのが趣味なのですよね。このコルクはここに置いていきますので、コレクションに加えてください。全てが終わったらまた報告に来ますので、その時、ゆっくりと格闘について討論を交わしましょう」


 女性に語り掛けるような内容ではないのだが、ギルドマスターと自分の関係では、これが一番相応しいとライトは思っている。

 イナドナミカイ教で教え込まれた正式な祈りの形は、光の神があれだったことにより意味をなさないことはわかっているのだが、ライトは自然と祈りを捧げていた。

 黙祷を終え、ライトはゆっくりと瞼を開けると次に、少しだけ離れた場所の黒い墓石の前に移動する。

 小さくはあるが立派な造りの墓石の前には、新鮮な花が添えられていた。

 話によるとこの墓石はサンクロスが作らせたものだそうだ。

 最近は毎朝、いつもより早く家を出ているらしいサンクロスが今日も墓に寄ったのだろう。朝露が花にまだ残っている。


「シェイコム君。訪れるのが遅くなって申し訳ありません。皆さんの力添えのおかげで、こうやって自分を取り戻すことができました。操られていたとはいえ、この手で貴方の命を奪った。その事実は一生消えることはありません。きっとシェイコム君は、そんな私を許すと言ってくれるのでしょうね。キミは人懐っこくて、私の様な人間を尊敬してくれていましたから」


 ライトは墓石についた朝露を、頭を撫でるように優しく手で払う。


「私は数多くの魔物の命を奪い、時には人を手にかけて生きてきました。今まで、数え切れない程、多くの死に関わってきた、そんな私が人の死に対して泣くことは許されません。ですが、今日ばかりは少しだけ感傷的になっているようです」


 そう言うと墓石の前で膝を突き、顔を下に向け小さく何かを呟いた。それは、ライトの決意であり、これからやるべき行為の確認でもあった。

 ライトは静かに立ち上がると、二人の墓石に向け深々と頭を下げ、音も立てずにその場を去った。

 続いて、ファイリたちがギルドマスターの墓石にお参りをし、続いてシェイコムの墓にも挨拶をする。今の状況を伝え、シェイコムの敵を取ることを墓前に誓う。

 ファイリが熱心に祈りを捧げる最中、イリアンヌは黒い墓石が濡れていることに気づく。それは、水滴が数粒落ちたような跡で、何かに気づいたイリアンヌが慌てて背後に振り返ると、そこには遠ざかっていくライトの後姿があった。

 いつもは、見ているだけで安心する頼もしい大きな背中が、少し前かがみでいつもより小さく見えた。







 その日から数日、ライトは忙しく首都を駆けまわっていた。

 初めに取り掛かったのは、虚無の大穴でフォールとの死闘を生き残った、数少ない元冒険者たちの所在を調べることだった。紅蓮流の協力を得て住所を知ったライトは、権力者となっていた彼らの元を訪れ、首都復興への人員及び資金援助を取り付けることに成功する。

 次に、イナドナミカイ教団の仮宿舎へと顔を出し、数少ない友人との話し合いと、教団の枢機卿たちとの会合を取りつける。今起こっている事件を全て暴露し、光の神を思う存分罵倒して満足した後に、自分はイナドナミカイ教団を抜けることを宣言した。

 ファイリも教皇の座を降りることを一方的に言い放つと、ライトと共に教団を後にする。

 最後に、マースの仕事場を探し当て、首都防衛戦でのお礼もかねて顔を出しに行った。

 ナイトシェイド号と共に、馬車ギルドへ登録したマースは順調に仕事をこなしているようで、仕事終わりの疲労が溜まった状態であったというのに、満面の笑みを浮かべライトに飛びついてきた。

 これから大きな戦いに臨むこと、今何が起こっているのかをマースに伝えると、


「頭悪いから、良くわからないんだけどさ! ライト兄ちゃんならきっと大丈夫だよ!」


 ライトを信頼し、微塵も心配していない元気な声で励まされ、ライトは黙ってマースの頭を撫で続けていた。

 親しい人への挨拶、身辺整理をすべて終えたライトは、仲間を引き連れ、首都の転送陣で死者の街に一番近い宿場町へと転移する。

 死者の街が崩壊した影響なのだろう、以前立ち寄った時よりも人通りがまばらで、活気も失われている。

 光の神の完全復活を防ぐのなら今すぐにでも、死者の街跡地へ向かうべきなのだが、光の神の性格を知ったライトたちは、急ぐ必要はないと判断した。

 おそらく、我々が来る最高のタイミングで蘇ろうとする筈。場を盛り上げて一人、悦に入る。あれはそういう性格だとライトたちは考えている。

 満場一致で、この町で一番立派な料理店で豪華な食事を楽しみ、ゆっくりと英気を養うことにした。ちゃんとした寝具で眠れるのは今日が最後かもしれないと、皆が覚悟を決める中、夜はただ静かに更けていく。


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