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7話


僕が気付くと教室の床に這い付く張っていた。

周りの視線が突き刺さったが、僕は気にしなかった。


僕は軽く微笑みを浮かべながら立ち上がった。

そして僕は重大なことに気付いた。まだ友人の彼と食事中だったことを。



僕は急いで階段を駆け登り、彼が待つ屋上へ走った。彼はパンの入っていたビニール袋を片手に呆然と座っていた。


「どこに行っていたんだ!?」

彼はひどく驚いた表情をしながら問い掛けてきた。それもそのはずだ。僕はいきなり倒れた直後に消え去っていたのだから。僕にしてみれば普通に歩いて移動しただけのことだが、あの世界で起きたことはこっちでは一瞬の出来事なのだから彼が驚くのは仕方ない。

僕は彼の咎めるような視線を受けながら口を開いた。

「“あっち”の世界に行ってたんだ。戻った場所は教室だったんだ」

「・・・・・・まぁ、君がそう言うんだからそうに違いない。だけど今後こういった相手を驚かせるようなことはしないこと。いいな?」

「わかったよ」

「それにしても・・・何があった?」

「それなんだけど・・・・・・」

僕は彼に大まかに先程の話をした。“彼女”と“彼”が実は相思相愛だということを隠して話した。

なぜ、彼にそのことを隠したのかは自分でもよくわからなかった。



「なるほど・・・俺は体験していないから何とも言えないけれど、大変興味深い話だね」

「そうだな」


僕と彼はそのまま互いに何かを話す訳でもなく昼休みが終わるまでそこにいた。




■■■


放課後。僕は早速行動に移した。

僕は人の恋路に分け入るほど野暮な人ではない。元来そういうことは率先して目を逸らしてきた。自分にはできないから。


だけど、今の僕はそうではなかった。一言で言えば、『狂っていた』。あの世界で謎のオルガンに触ってから、ずっと人の心が気になっていた。あの人は今何を“想って”いるのか、この人は今誰のことを考えているのか、知りたくて知りたくて堪らなかった。

まして、あの世界で二人の“想い”を知ってからはそれがどうなっていくのか“見ていたい”という欲望が僕の中を渦巻いていた。全く野暮でおせっかいで、それでいて偽善的なことだ。


僕は“彼”に口答で話があるから空き教室に来てほしいとの旨を伝え、“彼女”には手紙で空き教室に来るように伝えた。

“彼”と“彼女”がそれぞれ空き教室へ向かう中、僕はほくそ笑みながら気付かれないように後を付いて行った。







不定期更新ですので次話はいつになるかわかりませんがよろしくお願いします。

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