4話
すいません、遅れました。
そして今日、僕はいろいろ考えた結果一つの結論を出した。
あの暴力的な睡魔によって導かれる世界は、夢や幻覚などではなくて、現実そのものだということ。
数学の先生のハンカチもしかり、隣に座っている人の頬を突いた感覚が今でもリアルに思い出されることしかり。
これが全て現実に起きたことだと僕は結論付けた。
その上で、僕はあの灰色の世界は何なんだろうと考えた。答えはもちろん、仮説でさえ立たない。
僕は心の中に悶々としたものを抱えたまま授業を受けていた。なんとか授業にはついていけていたが、頭の中ではずっとあの世界について考えていた。
午前中の授業が終わり、昼休みの時間になった。
僕はいつも購買でパンを買っている。弁当だった時期もあるが、パンの方が楽に感じるためいつの間にか購買のパンを食べるようになっていた。
そんな僕は購買で買ったパンを片手に友達と二人で屋上へ向かった。
その友達とはこの学校に入学してからの付き合いだ。彼とは初めて会った時に意気投合して以来親友だ。彼が悩みを抱えた時は俺に相談してくれて、俺が悩みを抱えた時は彼に相談する。例えどんな馬鹿げたことでも馬鹿にすることなく接してきた。
そんな彼と昼を共にするということは貴重なことだと思っている。僕も彼も一緒に昼を食べるということは欠かしていない。
「そういえばさ」
互いに昼を食べ終えた後、彼は話を切り出した。
「なんか悩み事でも抱えているのか?」
「なんでそう思った?」
「いや、何となくだな。ここ何日かぼーっとしていることが多いからさ」
「そうかー・・・・・・笑わないで話を聞いてくれるか?」
「おぅ」
僕は彼にあの睡魔とそれによって見える世界について話した。彼は笑いもせずに真摯に話を聞いてくれた。
「夢じゃなくて現実か」
「断言はできないけどそうだと思う」
「うーん、その世界については興味深いけどわからないことだらけだね。不可解だけど問題はないね。むしろ、睡魔の方が問題だよ」
「えっ・・・?」
「だっていきなり睡魔が来るんだろ?今まで学校の中だったからなんとか良かったけれど、これが道路を歩いている時に来たらどうするんだい?一歩間違うと事故起こすだろ」
「あぁ、そうか。そうだな、確かに」
「とりあえず様子見しかできないけど、気をつけろよな。俺も何かあったら助けるから」
「ありがとう、心配してくれて」
当たり前だろ?それが友達っていうもんだ」
「あぁ・・・・・・!?」
僕はあの睡魔がやって来たことを悟った。急に眠気が強くなっていく感じに包まれた。
「やばい、アレが・・・」
「おい、大丈夫か!?」
彼が僕を揺さぶっているのがわかる。だけど、僕は抗らうことができなかった。
そして、睡魔が僕を飲み込んだ。