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24話

 ■■■


 僕は学校へたどり着いた。


 そこはたしかに僕の知っている学校であり、また僕の知らない学校だった。

 建物自体は僕の知るままで、先生も変わらない。だけど、生徒たちは僕の知らない人たちだった。いや、僕が昨日まで会った生徒たちではないといった方がいいだろう。生徒たちはちょうど僕が2年生に上がった4月の頃のままだった。


 僕が体験してきた月日が現実だったのか夢だったのかはわからない。だけど、今ここにいる人たちはみな4月の頃のものだ。僕はクラスメートと話してそう思った。


 あいつと仲良かったはずなのに。

 あの人はもっとはっちゃけていたはずなのに。




 そして、何より


 風華さんとの関係がやり直しになったのが辛い。




 昨日のままのできたてほやほやの恋人から、ただのクラスメートへ。

 正直、その落差が一番身に応えた。







 ■■■


 次の日。


 結局、これが現実なのか夢なのかわからずじまいだった。

 ただ、一つだけ言えることがあった。


 前に進むしかない。

 いくらこれが夢だとしても、僕が僕であるためには前に進むしかない。


 だから、僕は、


 この世界で、


 風華さんに、


 愛を告げることを、


 誓った。







 ■■■


 放課後。

 僕は風華さんに放課後に教室で待っているように告げた。

 ただのクラスメートである風華さんは疑問に思いながらも僕の言葉をわかってくれたようで教室で待っていてくれた。


 「夢野くん、私に話って何?」


 まるで他人のように話しかける風華さんの言葉が僕の胸に突き刺さったが、僕はそれに構わず風華さんの目を見た。


 「・・・・・・まず、僕の話を聞いてほしい。今から話すことはとても不思議で君からしたら世迷言なのかもしれない。それでも最後まで聞いてほしいんだ」


 僕の言葉に、風華さんは気圧されるようにして小さく頷いた。


 「わかったわ、聞いてあげる」

 「ありがとう」


 僕は僕の身に起きた話を風華さんに伝えた。

 暴力的な睡魔の話。灰色の世界の話。風華さんとの話。

 それはたとえ滑稽で荒唐無稽だとしても、風華さんに伝えたかった。




 「・・・・・・という訳なんだ」

 「そう、そうだったの。正直私には君の妄想のようにしか思えないのだけれど」


 そう言う風華さんの顔はどこかほのかに赤いように思えた。

 僕は風華さんの言葉にふるふると首を振った。



 「別にそれでもいいんだ。君にそう思われても仕方ないと思ってる」

 「それじゃあ、何を?」

 「僕は」


 僕は自分の想いを風華さんへぶつけた。



 「僕は、君のことが、好きなんだ!」




 「!?」


 風華さんは僕の言葉に顔を一気に真っ赤にした。


 「僕は暴力的な睡魔に誘われてあんな体験をした。それは僕にとって紛れもない事実だ。例えそれが夢だったとしても、僕には大切な思い出なんだ。君からすれば僕の妄想かもしれないけど」


 僕は言葉を続けた。


 「僕はその中で君と出会った。君と話をした。君を好きになった。でも、それはその中でも君だった。

 昨日から君を見て、僕は君に一目ぼれをしたんだ。

 僕の知っている君と違った君に」


 僕は深く頭を下げた。


 「僕と、恋人になってください!」










 どれくらい時間が経っただろうか。

 1時間? いや、1分も経っていないんじゃないかな。


 それくらいして、僕は風華さんに抱き付かれた。


 「私も、なんでだか君の姿を見て、きゅんとなっちゃったの。君の話は全部が全部本当だとは思えないけど、何か懐かしい気分がしたわ。どこかで見てきたような、そんな気分」


 風華さんは僕をぎゅっと抱きしめた。


 「私も、あなたのことが好きです。一目ぼれしたの、亘くん」






 春の暖かな光が僕らを照らす。


 僕は不思議な体験をした。


 何とも言えない不思議な体験を。




 暴力的な睡魔に誘われて


 僕は素敵な体験をした。







ようやくこのお話もここで終了です。

読んでいただきありがとうございました。


ここからは少しこの物語の背景を書いていきます。

この物語は1話1000文字程度で構成されていて、プロット無しで、まるで連想ゲームのように話を繋げていくという、私としては初めての試みでした。途中、話が思いつかなくなり更新停止していましたがなんとか終わらせることができました。

今回のテーマは『睡魔』と『夢』です。

私はどうも睡魔に誘われやすい体質でして、そのことからこの物語を書こうと思ったわけです。

様々と伏線を回収しきれていないのですが、それは全て夢のせいです。あいまいな夢の世界では仕方のないのです、と言い訳をしておきます。

この後、二人がどうなっていくかは読者の想像にお任せしますが、一応拙作『亀が好きすぎる魔法使い』の中で大学生となった二人が登場します。私としてはあんな感じだと想像しています。


と、このくらいで筆をおかせてもらいます。

また、別の物語で会いましょう。




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