15話
前回から時間が空いて誠にすみませんでした。
黄色の光を持っていたのは、一人の中年の男性だった。どこかで見たことのある顔なんだが・・・
「亘くん、あれは」
「あれは、吹奏楽部の顧問か」
その中年の男は、校内で上位何位かぐらいに熱心に活動している吹奏楽部の顧問をしている。授業は音楽を教えている。吹奏楽部に入っている風華にとって馴染みのある顔だった。
「何なんだろうね、この光は」
「この光は“想いの花”。今思っている光景を見ることのできるものだ」
「そうなんだ」
「試しに、見てみるか」
僕は躊躇うことなく光に手を伸ばした。
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そこは夕暮れで赤く染まっていた。
『はぁ・・・なんでなんだ』
中年のくたびれたような声が響く。
『一昨年もダメ、去年もダメ、今年も期待できない』
その声はだんだんと嘆きへ変わっていく。
『なんとしてでもあの大会で優勝させなければいけないんだ。なんとしてでも』
男は机の上に広げてある何枚かの紙を手に取る。その紙には音符が幾重にも並んでいた。
『そうでなければ私の価値は下がってしまう』
『私はどうしたらいいんだ・・・!』
泣き叫ぶような声が響き渡った。その声と呼応するように外の夕日もその光を失い黒々とした雲に覆われた。
『うああああああああああ!』
叫び声が空から落ちる雷とシンクロして鳴り響いた。
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「「・・・・・・」」
僕と風華さんは互いに押し黙ってしまった。それだけ頭に広がっていた光景が衝撃的だったということだ。
「なぁ、今のって・・・」
「うん」
そう言うなり風華さんは俯いてしまった。自分達の代の吹奏楽部が期待できないと言われてしまったからだろう。
「わかっていたことだから、自分も含めて今の吹奏楽部が力不足だということはわかっていた」
風華さんは涙を浮かべて僕を見つめた。
「でも、それをあんな形で先生に言われたくなかった!」
風華さんは耐え切れなくなったようで僕に抱き着いてきた。僕は戸惑いながらも落ち着くまでそのままにしておいた。
しばらくして。
「ありがと、亘くん」
泣き腫らした目で顔を赤らめた風華さんが僕の目の前にいた。
「どういたしまして。僕に出来ることならなんでもするよ」
「それじゃ、一つ頼んでいい?」
そこにはさっきまで泣いていたとは思えない、いたずらな笑みを浮かべた風華さんがいた。
「あぁ・・・」
僕は力無く答えた。どんな頼み事をされるか戦々恐々としていると。
「肩に寄り添っていい?」
と風華さんは言った。
ちょっとこの小説の方向性に悩みます。どう進めていこうか…アドバイスや感想があったらぜひぜひください。




