14話
前回と間が空いてしまいましたね・・・
僕と橘さんはしばらくその場で立ち尽くしていた。特に何かしようとは思わなかったし、動く気になれなかった。それと、僕は書かれてあった文章が気になっていた。
「ここは何なんだろうね」
「そうだね、ここがどういう場所なのか見当もつかない」
僕はそう言葉を返した。
「睡魔に誘われて来る灰色の世界・・・現実と夢の狭間・・・」
僕は呟いた。
「ねぇ、夢野くん。いつになったら元に戻れるかな?」
「あぁ、たしかにそうだね」
僕は今だに睡魔がこないことに疑問を抱いた。今までだとそれそろ睡魔が来てもおかしくないのだが。何の音沙汰もなかった。
「とりあえず戻ろうか」
「うん」
僕は橘さんを連れて校庭を後にした。
灰色の世界を特に何も話すことなく歩いていた。
沈黙の中、僕は口を開いた。
「橘さん、気分とか悪くない?」
「大丈夫だよ、ありがとね。・・・それとさっきから私のこと「橘さん」って呼んでるけど、さ」
「何かまずかった?」
「そうじゃないんだけど、さ。何かよそよそしいなーって。だって偶然か、今一緒にいるでしょ?」
「うーん、そう?嫌なら呼び方変えるけど・・・なんて呼べばいいかな?」
「下の名前で呼んで」
「う゛っ・・・」
僕は言葉に詰まった。苗字こそ知っているものの、下の名前の方は記憶にないのだった。
「いやー、あのー、誠に申し訳ないのですが、名前を改めて教えていただけるとありがたいのですが」
「えっ!?私の下の名前知らなかったの?」
「はい、すみません・・・」
「もうっ」
そう言って橘さんは頬を膨らませた。
「私の名前は風華、橘風華よ」
「わかった、風華さん」
僕がそう言うと橘さん、いや風華さんは顔を綻ばせた。
「それでは私は、亘くんって呼ぶね」
「なんか照れ臭いな」
僕はそううそぶいた。
僕と風華さんはそのまま校舎の中に入った。そして廊下を歩いている時に風華さんは言った。
「ねぇ、亘くん。向こうの方に黄色の光が見えるんだけど、何かな?」
「えっ?」
僕は風華さんが指差す方を見た。その先には確かに黄色の光がちろちろと瞬いていた。
僕は風華さんが灰色の世界で色を持つ“想いの花”の蕾を見ることが出来ることに気付いた。僕の中で軽い絶望と諦観が渦巻いていた。結局、風華さんも僕が味わったものを体験してしまうのか。
「行ってみようよ」
「あぁ、いいよ。行こうか」
風華さんに連れられていくようにして僕は黄色の光に近付いていった。
次は、いつ更新できるだろうか・・・
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