1話
時に退屈な授業を受けていたり昼ご飯を食べた後などに、睡魔を感じることがあるだろう。だんだんと眠くなっていくアレだ。
睡魔とは引きずりこまれるような眠気を魔物に例えていう言葉なんだが、まさに意を射ている。一旦睡魔を感じるとずっと付き纏ってきて、一瞬でも気を許すとそのまま夢の世界へ旅立たせられてしまう。そして気付いたら時間が経っていて板書が消されちゃているものだ。
ここまでが普通の睡魔のお話。僕がこの前体験した睡魔はそんなものじゃなかった。
あれは、今から一週間前のこと。その時僕はちょうど古典の授業を受けていた。古典の先生がそれまたおじいちゃん先生で、しゃべっている言葉はぼそぼそっとしていて聞き取りにくいのだった。元々古典なんて眠くなる授業だし(古典が好きな方はごめんなさい)、授業自体が受ける気を失うようではまして眠くなる。
授業は中頃。僕はなんとか起きていたけれどクラスの半分以上はもうすでに夢の世界へ旅立っていた。そこまでくるとこの古典の先生の眠くさせる技術すごいなーとなるのだがそれはさておき。
何を言っているのか必死に聞き取ろうとしている僕に睡魔がやって来た。
だけど、いつもと違う睡魔だった。普段の睡魔だったらだんだんと眠くなっていくのだが、この時の睡魔は一味違っていた。まるで狼か何かのように、現れたと思ったらあっという間に襲い掛かってきて。
僕は暴力的な睡魔に襲われ眠ってしまった。
時間にしてどれくらい経ったのだろうか。体感で30分だろうか、そのくらい眠っていた。
僕はばちりと目を覚ました。
僕はむくりと上体を起こし、何事もなかったかのようにペンを持ち先生の方を見た。
その時、僕はまだ頭が覚醒していなかった。そのためすぐには気が付かなかった。
僕の目の前の世界が灰色になっていたということ。全ての音が途絶えていたということ。そして誰も身じろぎ一つしなかったということ。
僕は少ししてやっと気が付いた。辺りがおかしいことに。
まだ夢の続きかとその時の僕は思っていた。
そして僕は再び暴力的な睡魔に襲われ、机に突っ伏した。