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倒れる騎士と倒れさせる令嬢 ~甘すぎて毎日尊死してますが、婚約者です~  作者: 秋乃 よなが


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20/23

第二十話 噂が広まったら、名物カップルになりました


 模擬試合を経て、『二人は特別な関係』として学院中に広まりはじめていた。


「この前、ラシエール先輩が感動で倒れたって聞いた?」


「しかも原因がフローレンス嬢の甘い一言らしいよ」


「それって、もう恋人じゃない?」


「いや、婚約者だって。でもなんか、可愛い二人って感じでさ……」


 ティアラは廊下を歩きながら、ひそひそとしている声を耳にし、頬を赤らめていた。


「ど、どうしてあんな噂が……」


「当然の結果ですよ、お嬢様。お二人は毎日騒ぎを起こしていますから」


「騒ぎってなに!? そんなつもりないよ!」


「『倒れる婚約者』と『倒れさせる婚約者』がセットで動けば、目立って当然です」


 一方、騎士科の教室では、エデルの周りに生徒たちが集まっていた。


「お前さ、泣きながら倒れたってマジ?」


「フローレンス嬢の甘い言葉で尊死したんだろ?」


「倒れるけど強い騎士って、なんか新しいよな」


「や、やめろよ。あれは、あの……」


「でも可愛くていいじゃん!」


「騎士科の憧れだよ。『好きな子の前だけ弱い強い人』って!」


「や、やめてくれ……!」


 エデルは真っ赤になり、手で顔を覆った。


(やっぱり噂になってる……! でも、ティアラの言葉がうれしすぎたんだ。しかたないだろ……!)


 こうして二人は、学院内で『名物カップル』へとなっていく。


 あるときの中庭では。


「あれが『倒れさせる天使の令嬢』か……」


「たしかに可愛い。笑顔が眩しい」


「破壊力が高いな……」


「え? 破壊力? わたし、武器とか持ってないよ?」


「お嬢様自身が武器です」


 また、あるときの大食堂では。


「婚約者に誇りに思ってますって言ったら倒れたらしいよ!」


「そんなの聞いたら、私でも倒れるー!」


「ラシエール君、あれで『強いのに弱い』のギャップが最高なのよ!」


「私たち、もうあの二人を応援するしかなくない?」


「「「わかるー!!」」」


「……お嬢様、学院中にお二人の味方が爆増しています」


「味方って?」


「『名物カップル』として、です」


(名物って、お祭りじゃないんだから……!?)


 さらに、とある放課後では。


「エデル、大丈夫? 今日こそ倒れないように気を付けてね?」


「う、うん! 心の準備はしてきた……!」


「「「きゃーーーっ!」」」


「見た? あの手を伸ばしそうで伸ばせない距離!」


「ずっとあの微妙な距離! 可愛い!」


「はやく手を繋いじゃえばいいのに!」


「……な、なんか恥ずかしいね、エデル」


(っ!? はにかみ笑顔! 尊……っ、いや、耐える……!」


「お嬢様、ギリギリです。あと一撃でエデル様は倒れます」


「ええ!? 今のも危険なの!?」


 そこへ、アルノーが通りかかった。


「やあ、二人とも。君たちのおかげで学院が賑やかだね」


「フィオレル!」


「君たち二人はもう、すっかり学院の名物だな」


「「め、名物!?」」


「ああ。『倒れるけど強い騎士』と『倒れさせる天使の令嬢』だって。誰もが応援したくなるカップルだ」


 ティアラは真っ赤になって、顔を両手で覆う。エデルは嬉しさと恥ずかしさで、過呼吸になりかけていた。


「エデル様、呼吸が不穏です。しっかりしてください」


「だ、大丈、夫……」


「エデル!? ほんとに倒れ癖がついちゃったの……!?」


「はい、ラシエール尊死」


「……最近倒れる理由が増えて困りますね、本当に」


 学院の名物カップルの噂はいつの間にか完全に定着し、ティアラとエデルの関係は学院文化の一部となっていく。


「フローレンスさん! これ、エデル先輩の涙ふきに使ってください!」


 すれ違う女子生徒が、ティアラにハンカチを渡す。


「フローレンス嬢と手を繋げる日を応援してるぞ!」


 同級生が、エデルに言う。


「あの二人、今日も尊いわあ」


「温かく見守りましょう!」


 教養科の女子生徒たちが微笑む。


「ラシエール。授業中に倒れる際は、事前に知らせるんだぞ?」


 教師までもが、エデルの尊死体質を心配するようになった。


(なんだか恥ずかしいけど……でも、みんなが応援してくれている……)


 学院中の視線を受けながら、ティアラは思う。


(わたしも、エデルと一緒に、少しずつがんばりたいな)


 ティアラが微笑めば、エデルがふらつく。その様子を、学院中が微笑ましく見守っていた。


 こうして学院では――『甘くて尊い名物カップル』が誕生した。倒れる騎士と、倒れさせる令嬢。その可愛さは、日々増すばかりだ。


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