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倒れる騎士と倒れさせる令嬢 ~甘すぎて毎日尊死してますが、婚約者です~  作者: 秋乃 よなが


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10/22

第十話 同じ班になったら、嫉妬が燃え上がりました


 とある日の朝。玄関前の掲示板には、学院祭の班分け表。生徒たちの『誰と一緒?』『同じ班だったー!』という声が飛び交い、朝からちょっとしたお祭りみたいだ。


 もちろんその集団の中には、ティアラもいる。カティアと並びながら、自分の名前を探していた。


(どんな班になるのかな、緊張しちゃう)


(お嬢様が変な班に放り込まれていないかチェックしなくては)


 そこに遅れてエデルがやって来る。ティアラを見た瞬間ふらついたのが、なんとか耐えた。


「ティ、ティアラ。班分けはもう見たかい?」


「ううん、まだ名前を探しているところです」


「あっ! エデル! 一緒の班ですよ!」


「えっ? 本当?」


 二人して自分の名前を探す。そして同じ班に、二人の名前が書かれているのを確認した。ちなみに同じ班には、補助職として班に任命されたカティアの名前もある。


(……よし。学院長、うまくやってくれたみたいですね)


 カティアの顔にほの暗い笑顔が浮かんだ。決してティアラには見せられない顔だ。


「エデルと一緒の班です! 嬉しい!」


「僕もだよ! ティアラ――」


 喜びすぎて少し跳ねたティアラが可愛すぎる。エデルは幸せ過ぎてほぼ溶けかけるが、いつものように優秀な侍女がそれを支えた。


 学院祭の出し物は、縦横の繋がりを強化するという目的で学年と科が混合で行われる。故にティアラとエデルは一緒に班になれたわけだが、一方で、班分けの結果に打ちひしがれている生徒もいた。


(フローレンス嬢とラシエールが同じ班!? 彼女の笑顔を毎日浴びるだと!?)


 アルノーはティアラと班が分かれたことに絶望していた。そしてその絶望は、エデルへの嫉妬の炎へと変化する。


(まだだ……! 班が違うからといって、僕の恋の障害にはならない……!)


 第一回の班作業は、出し物決めと役割分担を決めることからはじまる。班のテーブルにつくと、ティアラとエデルは自然と並んで座った。


「婚約者同士で同じ班だなんて運がいいね」


「仲良しでうらやましいです」


 班の他の生徒たちも、二人が婚約者であることは知っている。優しく冷やかされながら、和やかな空気で班作業ははじまった。


 そんな中、二人は無自覚でいちゃいちゃする。


 資料を覗き込む距離が自然と近くなり、カティアが咳払いで注意する。エデルは耳まで真っ赤になり、急いで身を引いた。


(おいおい……! 近い、近い!!)


 そんな二人を見てヤキモキしているのが、少し離れたテーブルで班作業をしているアルノーだ。本来なら視界に入らない位置に座っているはずなのに、椅子をずらして視線だけ届く位置にいた。


(フローレンス嬢とあんな近くに……! く! うらやましい!)


 ティアラの笑顔が視界に入るたび、心臓がきゅっと痛む。本人は気づいていないが、彼がティアラを見ていることは、周囲の生徒にはバレバレだった。


「おいフィオレル、椅子をこっちに寄せすぎだぞ」


「……気のせいだろう」


「いや、お前と俺の距離が違いんだよ」


 ティアラがエデルに微笑むたび、アルノーの嫉妬ゲージは上昇する。


 そしてティアラたちの班は、喫茶店で簡単な軽食を出すことに決まった。下書きで描いた看板デザインが可愛いと、ティアラは褒められる。


「このデザイン、エデルも良いと思ってくれますか?」


「もちろん! ティアラはなんでもできるなぁ」


 デレデレと頬が緩むエデルが、ゆっくりと後ろに倒れていく。それを支えるのは、やっぱりカティアの役目だった。


(なぜ! なぜ毎回ラシエールなんだ! それも僕の前で……!)


「なぁ、フィオレル。いい加減こっちに集中しろよ」


(……諦めない、絶対に諦めない……!)


「……だめだ、こりゃ」


 同級生がアルノーの肩をつつく。しかしそれにも気づかないほど、アルノーの神経はティアラとエデルに集中していた。


 同じ班の生徒たちの配慮もあり、装飾に必要な資材を取りに、ティアラとエデルが二人で倉庫へ行くことになった。それだけで二人はうれしそうだ。当然カティアも同行する。


(二人きり……!? 二人きりでどこへ行くんだ……!?)


 しかしアルノーの目に、カティアは映らない。思わずアルノーは二人のあとを追おうと立ち上がったが、流石にそれは同級生に阻止された。


「ティアラ? 大丈夫? 腕は痛くない?」


「もう心配しすぎですよ、エデル。軽いのしか持ってませんから」


 二人が資材を抱えて戻ってくると、班の男子生徒がティアラに声をかけた。


「フローレンスさん、その荷物、俺が運ぶよ」


「まあ、ありがとうございます」


 ティアラが男子生徒に微笑む。それを見たエデルとアルノーは、同時に胸が痛んだ。


(ティ、ティアラが僕以外に微笑んだ……!?)


(あの笑顔は僕に向けられるべきだった……!!)


 今日の班作業が終了し、ティアラは片付けに励んでいる。それを遠目で見ていたアルノーは、また一人、拳を固く握りしめていた。


(……フローレンス嬢。学院祭準備はこれからが本番。僕も、貴方の力になってみせる……!)


 そしてエデルはエデルで、ティアラに謎の宣言をしていた。


「ティアラ! 学院祭では、僕が君を守るから!」


「えっ? 学院祭は平和だと思いますよ?」


 こうして学院祭準備の初日は平和に終わったのだった。――ただし、アルノーの心だけ、大荒れだったけれど。


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