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不正貴族の息子に転生した俺。親の全借金を背負わされた代わりに、辺境伯の名誉と土地だけをもらったので、領地を再興しようと思います。

作者: 天音 楓

 前世では、なんやかんやあって貴族として転生した。

 異世界転生ガチャ大当たりを引いた俺だが、なぜ平民を装い、馬小屋に住んでいるのだろうか。

 それは一週間前の出来事に巻き込まれたからだ。


 市民からの告発で、両親が長年にわたって市民から金を巻き上げていたことが暴かれた。

市民の怒りが爆発したその日、両親は俺を置き去りにして逃げた。いや、子供を置いてくなんてあるかよ、しかも自分の子だぞ。人生いきなり、ハードモードやん。

 親の借金と引き換えに、名ばかりの辺境伯位と荒れた土地が残った。

 名誉なんて、こんな状況じゃ使いものにならない。

 しかし、頼れる味方、リーリャが残ってくれた。

 俺が小さいときから世話をしてくれた、いわゆるメイドだ。

 俺たちはこの2人でリーリャの所持金を貸してもらいながら、生活している。


 他にも、俺は転生した時にスキルを授かっていた。 農業を活性化させるスキルと、相手の思考を読むスキルだ。

 この二つは転生した時にわかったけど、俺には必要ないと思ってた。だけど、今はかなり役立ちそうだ。

 なんで相手の思考を読めるのに、親が自分をおいていくって知らなかったかって?

 このスキルを使うとうるさくて、転生して以来、一度も使ってこなかったんだよ。だからわからなかったってこと。


 明日、トップを誰にするかの市民選挙をするということをリーリャが教えてくれた。

 辺境伯の位を失えば何も残っていない、選挙に出る他になかった。と言っても人前での演説なんかしたことはない。

 何かネタになることがないか街の人の思考を読ませてもらうことにした。


あの人は税金が低い方がいい。

この人は衣食住の保証が欲しい。

また別の人はおっ○いの大きいお姉さんが欲しい。

おっと、余計なものを見た。


まとめると市民ウケがいいのは3つくらいだ。


・食料安定:これは俺のスキルを使えばいい。

・税軽減:なんとかなるだろう。

・安全保障:なんとも言えない。


明日の選挙に向けて早めに寝た。


そして、選挙が始まった。


立候補者A「高貴な私を選べば安泰だ」

立候補者B「税金を上げても街の秩序は守れる」

 俺の他に2人の立候補者がいたがどちらも地位目当てでしか考えていない発言だ。

 実際、頭の中を覗くとその通りだった。

「ルカ・フォルデン君。」

俺の名前が呼ばれた。

「あの不正で噂のフォルデンの息子よ。」

 大衆がざわつく。

 周りからの視線で頭の中が真っ白になった。

「僕は街を復興させたいです!」

 緊張で単純な言葉になってしまった。

 俺の親のせいで行き詰まっていたこの街だからこそ、その言葉は大衆の心を突き抜け、拍手が湧いた。


 さて、本格的に辺境伯になった俺だが、リーリャの他にも側近が必要だ。

 そこで側近を募集することにした。

 募集要項には「本気で街を復興させる者」とだけ書いた。


 100人を超える人が集まったが、俺の目に留まったのはわずか2人だけだった。

 一人は腕っ節が強く、戦いには自信があるらしい。

名はソルシダ。

 もう一人は、頭の回転が速そうで、街の経営や交渉に向いていそうだ。名はハーレン。

 この4人なら、街の復興を十分にやれるかもしれない。

 そしてこの街の名前を復興を願って、リバイラル・アルデンハイムとした。


 言葉だけでは、市民は動かない。

 そうだ、作物を作ろう!

 俺のスキルを持ってすれば、土を掘れば肥沃な土地に。そして、土を掘ると想像する作物の種が勝手に撒かれるのだ。明日になれば収穫できるだろう。


 職がない市民を集めると、俺の両親のせいで生活に行き詰まっていた人1000人ほどの有志が集まった。

 俺が収穫した作物を見て、士気が高まった。

 この街の道を作ってもらいたかったので、鉱山経験がある100人の人には近くの鉱山がレンガの原料となる粘土を取ってきてもらった。

そのほかの人にはこの町を出ていった人の家を取り壊してもらった。

 

 市民の意見を取り入れるため俺は目安箱を置くと、やるべきことがわかってきた。


 1.街の治安を守る

 2.街での商売を活発にする

 3.他の街との外交を結ぶ

 優先順に、ざっとこんなものか。


 まずは街の治安を守るのに警備隊を作る。

これは、戦いができるソルシダに任せよう。


 そして、街の商売か街の経営だな。

これは、頭の回転の速いハーレンに任せよう。


 最後の外交、これは思考を読める俺の役目だな。

だけど、まだ魅力のないこの街と外交を結ぶメリットがない。後回しだな…

 

 屋敷に戻ると、俺の両親が俺の屋敷の前で立っていた。こいつらが言うには俺の土地だから返せとのこと。

 俺は重大なミスを犯していて、国王に辺境伯が変わったことを報告していなかったのだ。

 そう実質、俺のものではなかった。

 

「これ以上文句があるなら、殺します」

 リーリャの短剣が、父の喉元で止まる。

 そして、俺は一歩前に出た。

「俺には、もう帰る場所はある。あんたたちの居場所はない」


 悔しそうな顔をして、何も言い返せなかったのか、何も言わずに夜の街へ消えた。

 

 このあと、国王に正式な辺境伯としての証をもらった。


 ここから二十年、俺は結婚し、子を授かる。

 この街はみんなの「帰る場所」になった。

 完全な復興の話は——また別の物語だ。

ここまで読んでくださってありがとうございます。

もし「この先も見てみたい」と思っていただけたら、評価をもらえると励みになります。


追記

気づいたら、こんなにたくさんの評価やリアクションをいただいていました。本当にありがとうございます。

この物語は連載でも展開していきますので、ぜひそちらも覗いてみてください。


[連載はこちら]

https://ncode.syosetu.com/n5001lp/

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― 新着の感想 ―
借金だけ背負わされて「名誉と土地だけ」っていう最悪の初期条件から、ちゃんと“領地経営もの”として立ち上がっていく導入が良かったです。 特に「帰る場所はある/あんたたちの居場所はない」の一言が刺さりまし…
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