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私、樹に転生してました。  作者: NAGI提督
第一公演 種【私、木に転生してました……】
8/12

出会イ?

肉を食べてから私たちは眠りにつく事にした。

まぁ私は木だから最悪立ったままで寝れるが風雅は普通の人間なので上着を下に敷いたり木にもたれかかったりして頑張って眠っていた。


肌寒い空気の中、目を開けると木々の隙間から光が差し込んでくるのが分かる、あれから一夜開けたのだ。


私は寝にくそうな体制をしている風雅が居ることを確認してから自身の体を見る、人型を手に入れたのは本当は夢だったのではないか?という不安があったからだ。


下を向くとしっかり右手の手首から下がない鎧を着た体があり動かせる、良かった夢じゃなかった……


もう一度風雅の方を見る、相変わらず寝にくそうな体制をしている男の子が見える。

寝ている顔は見た目相応な姿だが中身は22なので違和感がすごい、いや私が言えた立場じゃないな私も同じくらいの見た目に木になってるんだし。


「とりあえず火でも起こしとくか…」


眠気の取れ切ってない体を起こして火をつける準備をする。水がないから破壊したあと自然鎮火するまで放置した昨日の焚き火は完全に灰になっていたが場所もないのでその灰の上に枝を置き火をつける。


ちょっと朝露で湿っていたためつきにくかったが火をつけ、昨日残しておいた肉を再度焼いてその間に今日やる事をまとめていく。


まず第1目標は川を見つける、川があれば水と食えるか分からないが魚を取れて食糧問題を解決できる、それに川の下流には集落が作られやすい。

そこで第2目標の集落、または現地人と接触する事だ。ここが何処なのか、日本人なのかそれとも海外なのか、こんな超常現象が怒っているのだから信じたくはないが異世界の可能性も考えなくてはならない。


大きくこの2つを目標に動かねばならないと考えているうちに風雅が起きた。


「おはよう風雅、しっかり寝れたかい?」


「…おはよう……あんまり良くは寝れなかった……」


まだ寝起きで頭が回ってないのか受け答えがフワフワした状態の風雅に少し固くなった肉を渡す。水はないので頑張って食べてもらわなければ。


最初はゆっくりだったが肉を食べ終わる頃には目が覚めたのか昨日のようにすんなり食べていた。

そして私は先程考えていた目標を風雅に説明しながら火を消して少ない荷物をまとめていた。


「なるほど川を探すのか、だがあてはあるのか?」


風雅はそう聞いてきた。その通りだ、あてもなしに歩き回っても体力を使うだけ、川を見つけるよりも先に脱水症状で死ぬ方が早い。


「可能性だがあてはある、職業柄よく山に入っていたのと木になったからか湿度とかが感覚的に分かる、正直かなり危ない橋だが渡れるか?」


そう、あてはあくまで私の感覚だ。おそらく木になったせいで水を求めて水のある方に行く(伸びる)木の本能的な行動からの感覚だと思う。まだ私も木になって、というか動けるようになって2日目だ、不安の方が圧倒的に大きい。


「こんな状況で危ないからって橋を渡らないなんて出来るわけないだろ?もちろん渡るぞ」


「ありがとう、信じてくれて」


風雅はそう言ってほとんど根拠の無い私を信じてくれた。……決して裏切ってはならない、風雅は私を信じてくれたのだ必ず川を見つけなければ。


――――――――――――――――――――――――――


そうして私達は荷物をまとめる。と言っても荷物は少なく手で持っていくのは私の持ってる剣と風雅の持っているかなり硬い枝だけであるが。


荷物をまとめ、そして昨日捌いた鹿に手を合わせる。生きるためとはいえ命をいただいたのだ、最後に手を合わせて「ご馳走様でした」と言って、私の感覚を信じて森を歩き始めた。


私はこういうけもの道や道無き山を歩くのは慣れていたが風雅は慣れておらず、ゆっくり進んでいった。まあそれでも何度か転けそうになっていたんだけどね。


歩き出して約3時間たった。まだ川は見つからないが道中で食べれそうなリンゴくらいの大きさの木の実を見つけたため、その木の実を持てる数個だけ回収してまた進みだした。


木の実発見からだいたい6時間たった。ゆっくりとはいえ、着実に川に近づいている感覚がしたのだ、だが日も傾き始め森にまた夜がやってそうになっている。

私達はもう一度森の中でキャンプすることにした。

――――――――――――――――――――――――――

キャンプをするために周りのものを軽く片付け、昨日と同じように焚き火の準備をする。少し心に余裕ができたのか私の頭の中にとあるセリフがよぎってきた。


「そういえばこういう事する時に言ってみたいセリフがあったんだよね」


「なんだ?どんなセリフだ?」


「ここをキャンプ地とする」


「水〇どうでしょうじゃねぇか!!」


そんな事を言いながら火を起こして二人で木の実を食べた。木の実はほんのり甘いがピリッとした辛さも感じるラディッシュの酢漬けみたいな味がした。

私はそこそこ好きな味だったが風雅はあまり好きではなかったのか、私より遅く食べていた。


――――――――――――――――――――――――――


次の日、前日よりも手早くあと片付けをして昨日の木の実を齧りながら歩きだした。

歩いている途中、風雅ととある事について話していた。それは体にあるマークについてだ。


昨晩、マークの事を思い出した私はこの体になってから何処にマークがあるのか探していた時、風雅に

「そういえばナギサの目って分かりにくいけどオッドアイだな」

と言われて試しに右目に意識を向けたらあの時使った葉をちょっとだけ操る能力が使えたのだ。


その後、風雅の体を見ていると風雅の右手の甲に私の●とは違い、▼マークがあることを発見した。だが風雅は能力を使えなかった。

そして私の能力で操る葉は私から出ており、使う度に髪の色が深緑から薄くなっていく事も判明した。


それから私は移動の間に能力で軽く葉を操り遊びながら移動して、風雅は自分の能力をどうにか使おうとしているが▼はうんともすんとも言わず、苦戦していた。

――――――――――――――――――――――――――

そしてキャンプ地から歩き始めて約5時間、ついに川を見つけたのだ!!

私は「川だ!!」と操っていた葉をほっぽり出し、見つけた川に向かって走って、川に近づき水を手にすくって見ていた。


しっかり済んでいる水、程よく広い川辺、少し離れたところで跳ねる魚、まさに求めていた完璧な場所だった。


突然走り出した私を追いかけ風雅が追いつき、立ち止まる。日本の都心部ではお目にかかれない程に綺麗な水と美しい自然、その美しき大自然を前に立ち止まってしまったのだ。


「風雅!そんなところで立ち止まってないでこっち来なよ!!」


「!?…あぁ、今行く」


私がそう声をかけると風雅は我に返り、私の方にゆっくり歩いてきて二人で並んで川を見ていた。


「本当にナギサの行く方向に川があったな、すげぇよホント」


「でしょ?半分勘に近い状態だったけどあってよかったよ」


いや本当によかった、風雅から信じてもらって無理でした、なんてなりたくなかったから。


そんなことはさておき、やっとの思いで見つけた川を見て堪能した後、今日のキャンプ地を設営する。と言っても焚き火の用意をするだけなんだけど。


昼食を食べながら焚き火の準備も終わり太陽が真上を通り過ぎて少しした頃、私は鎧を脱ぎ、即席の銛(その辺の枝製)を片手に川に向かっていた。


何故このような事になっているかと言うと、風雅と最後の木の実を食べながら話していた時に戻る。


――――――――――――――――――――――――――

昼食時


「そういえばこのラディッシュみたいな味の木の実もこれで最後だな」


「確かに、どうする?また森に入って探してみる?」


「いや、せっかく川辺にいるんだ、魚でも取って食えばいいだろ」


多分もうこのラディッシュの実(仮称)を食べたくないのだろう、あんまり好きじゃなさそうだったし。


「じゃあ私が取ってくるからこの鎧洗っといて」


そう言って私は風雅の持っていた硬い枝を軽く削って銛にして鎧を風雅に渡し、鎧の下に何も着ていないため、この男か女かも分からない貧相な体を晒せだし川に向かう。

――――――――――――――――――――――――――

理由はこういう感じだ。鎧を渡す時に風雅が「ちょっ!!」とか「重ッ!!」とか言ってたけど気にしない。


そんな風雅の声をよそに私は川に潜り魚を突こうとする。ありゃ?意外と難しい。


魚と格闘して気がつけば夕暮れ時だった、成果は3匹とそこそこな量を採ることが出来た。

そして採った魚を片手に風雅のいる焚き火の方に向かう。途中、何故か風雅がそっぽ向いたりしたが何故だろう?


そんなことはさておき、私が濡れた体を乾かしている間に風雅が採った魚を剣で捌いてくれたようでその日の晩御飯は焼いた魚となった。


水は遊んでいる間に練度が上がった私の能力で葉っぱの器を作って、能力フル活用して焚き火の中で気合いの煮沸をして飲めるようにした。髪の色がほぼ白色になっちゃったけど……


鎧を着て、久しぶりの水と魚も食べ終わり、日も暮れてきたため眠ることとした。今回は能力で葉っぱの敷物を簡易で作ったため風雅も少し寝やすそうだった。


――――――――――――――――――――――――――


そして訪れる人型を手に入れてから3回目の朝、今回は夜明け前だったけど。川が近い分森の中よりも涼しい朝だ。


何故だか私はいつもより少し早く起きる、何か違和感を感じ素早く目が冴える。風雅も今日は早く起きたようだ。


違和感、まるで誰かに見られてるような、見守られているようなそんな違和感


「……なんか変な感覚がする…誰かに見られてるような感じの…」


風雅も感じているのか辺りを見渡しある一点を見る、私も剣を片手に取りまだ太陽の登りゆく川の上流からの視線に気づく。


「……行ってみるぞナギサ」


「私もついて行く」


私が剣を持ち風雅が枝の銛を持ち違和感の方に進む、恐怖はあるがこの状態を放置しておく方が後々怖そうだ。


そして私達はその姿を見る。


首から上が無い4本腕に縦にバックリ開いた大きな顎、4本ある腕の上腕2つは私が仕事の時に使っていたノコギリの様な刃がついておりその腕を掲げている


下腕の2本は何かを受け入れるように、または何かを歓迎するように腕を広げている人ならざる者


徐々に太陽が登り、太陽を背後にした人ならざる者の姿を私達は見た。


「…マジかよ……」


そんな言葉が風雅の口からこぼれ落ちたが無理は無いと思った。


これまでの常識が通用しない人外の化け物を目にした私達は無意識のうちに武器を構えてその場に立ち尽くすしかなかったのだから。


to be continued……

これ風雅視点とかいる人いたりするのかな?

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