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私、樹に転生してました。  作者: NAGI提督
第一公演 種【私、木に転生してました……】
5/12

出会い

夜が明けて日が昇る

朝日が穴に差し込み、眩しさを感じる光景を見ながら目を覚まし、目を擦りながら少し違和感を感じる。


「ちょっと狭いし何か私の視線低くなってない?」


そう感じ辺りを見渡そうとした時にふとさっきの行動を思い出し視線を下げる。


「私、今目擦ってなかった…け…?」


そこにあるのだ私の腕が、そして足が、木になる前とは全く違うがしっかりあるのだ。

椅子の様になった木の中で手を開いたり閉じたりする、しっかりと動かしてる感覚はあるし足も木に素足で立ってるような感覚がしっかりする。


「うっ!、うわあぁぁぁぁぁ!?ヘブチ!!」


少しの間フリーズしてようやく感情が追いついたのか、半分パニックになりながら穴から飛び出すが、ほぼ10年振りの手足の動きに慣れず穴から飛び出す勢いのままつまづき、顔面から地面にダイビングする。


痛い、という痛覚を感じつつ落ちた衝撃で少しだけ冷静になれた。もう少し優しい方法で落ち着きたかったなぁ。

地面に転がっている状態から起き上がり、落ち着いてもう一度、今度は目線だけでなく顔ごと下に向けて今の状況についてを確認する。


仕事をしてた頃とは似ても似つかない細くなった腕と脚、鍛えていた為マッシブだった面影を全く見せない胴体

そして鏡がないから分からないが、触れて脳内で立体図面の様にした結果前とは比べ物にならない程に整った顔と、短いが美しい深緑の髪の毛

間違いない、人型の体、それもほとんど人間に近い体つきをしているおそらく13歳くらいの体、だが男女の性別は分からない。胸は無いし生殖器も無い木人形の様な体なのだ。

一度も使う事がなかった我が息子よ、すまんな。


そして何より


「声が出る!!」


声が出せるのだ!!まあ声も前世の低い声では無く、男女の区別がしにくいが綺麗な声になっているのだが。


その時程よく風が吹き、暖かい風を全身で感じる。

『あぁ風がこんなにも心地よい……』

そう感じている時に先程飛び出してきた木の方から

【ガラン…】

と金属が軽くぶつかる様な音が聞こえてくる。


「……!?」


びっくりした、こんな森の中で突然金属音がなるなんて……もしかしてあの鎧かな?

そう思いながらゆっくり音の方へ向かう。やっぱりあの鎧だった。

だがいつもの様にもたれかかってるのでは無く、まるでそこに投げ捨てられたように崩れ落ちていた。


キラリと何かが光るのを見つけた、これは…


「なんだっけ?ロケットペンダントだっけ?」


ダメだ記憶が曖昧すぎて名前を思い出せない、まあいいやロケットペンダントって事にしとこ。


「確かロケットペンダントって中に写真?とか入れるのよね?」


ペンダントを開けようとするが開かない、というか開け方がわからない、開け方分からないしこれ以上はやめとこう。


その後鎧を色々と調べてみたけど中には何も無かった。いや誰かが着てたのは分かるけどまるで中身を丸ごと消えたみたいになっていた。

なにこれ怖っ……しかも右腕の手首から先の鎧無いし、なんか真っ赤な刀身のナイフ私の()に刺してるし。


「……とりあえず持って行こ」


そう今の私は全裸なのだ、森の中だから特に羞恥心は無いが正直人に会いたい、だから森を出るつもりなのだ。

だが例え森から出れたとしても美人(当社比)が全裸で森から出て来るなんて犯罪臭しかしない。あとシンプルに人に見られるのは恥ずかしい。

なので誰のかは分からないが有難く頂戴いたします。


「あっ待って鎧着るの思ったより難し……」

――――――――――――――――――――――――――

おおよそ5時間後


ということなので鎧を着てみたのだがすっごいゴツい。さすがプレートアーマーといったところか。

鎧のサイズは何故かピッタリで慣れてないがそこまで動きにくくはなかった、そして兜もあったがこっちはサイズが合わないし謎の穴が頭部に空いていてよく分からなかった。とりあえず木の穴にペンダントと一緒に置いておくことにしよう。


それと鎧の左腕が握っていた剣、雨ざらしだったのに錆も刃こぼれもしていない完璧な状態、少し持ち手が擦れているが持ちやすくなっているので問題なし。

ナイフも引っこ抜こうとしたが全く抜けない為放置した、特に動きにくく無いし大丈夫でしょ。


とりあえずこれで準備は整った事だしいざ森の外へ出発進行!!


1時後

「……ここ…何処?」


迷子である、おかしいな仕事柄山にはよく入ってたはずなんだけどなぁ……


その時ちょっと遠くから何か固いものがぶつかる音が聞こえてきた。それはまるで何かと戦っているようなそんな音と声。


【がギン!!】

「このやろッ!!」


まだ人間だった頃の私なら怖くて逃げていただろうが久しぶりの人の声に嬉しくなった私は迷わず近づいて行った。

音が近づきそして聞こえなくなる。

恐る恐るその音のなっている場所に出てきて私はとある光景を見た。


私の身長と同じくらいの少し大きめの服を着た男の子が息を切らしながら硬そうな枝を片手に立っていた。

その足元には人間だった頃に見たことが無い様な鹿が横たわっていおり、途端に男の子はこちらを疲れで震える中、枝をこちらに向けて


「森の中に人?誰だお前は!!」


男の子はそう()()()で言い放ったのだ。


to be continued…

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