開幕準備
あれからかなりの月日がたった。厳密に言えば5年ほどたった。
ここまでの5年間、自分の体がどうなっているのか、何故目が見えなかったり手足の感覚がなかったりするのか。
ずーっと考えていたが答えは見つからなかった。
いや本当に見つからなかった、手がかりの1つや2つ分かるかな〜って思うかもしれないがほんとに何も分からなかった。
おそらくあの時の木の下敷きになってから何かあったのだろうという事と今、たっている状態ということ。
全く体が動かず、触れている感覚と温度の感覚が何となくわかるということ。
それと肌寒い感覚が強くなってきたら強烈な眠気が襲ってきて、気がついて起きた頃には暖かくなっているという現象くらい。それだけだった。
最初はどうすればいいのか、とか考えていたが
2年をすぎた辺りから進展が無さすぎて先が見えず、半ば考える事を放棄していた。
それと足元?付近にあったもたれかかられている感覚は今もずっと残っているが特に進展は無い。
何時になったらこの無の状態が終わるんだ、と思いながら過ごしていた。
そんなある日のことだった。
目の前に何か眩しいものが降り注いでくる。
『………ん?……えっ……嘘…』
見える…光が見える、太陽の光が!!
『光だ!!…太陽だ!!青空も雲もしっかり見える!!』
涙が出そうになった。もしかしたらもう二度と見ることの出来ないかもしれない、そう思っていた太陽がしっかりと見えるのだ。
興奮が収まらないまま空を見つめ、ふと気がついた。
『そういえばなんで太陽が?病室じゃないのか?』
辺りを見渡す、するとそこには病室じゃ絶対に見ることの無いものが見えたのだ。
『…草原?……奥の方に木も見える…まさかここは……』
『森の中…なのか?…』
恐る恐る下に目を向ける、今自分がどうなっているのか、何故森の中にいるのか、その理由がわかるかもしれない、そんな確証のない考えが目線を下に向けた。
そして目を向けた先にあったのはとんでもない物だった。
『木の…幹?…』
思考が一瞬止まりつつも、直ぐに全身の確認を開始した。そして気づいた。
『私、木になってる…』
『とっ、とりあえず!!、情報、うん情報を整理しよう』
まずは情報の整理だ、さっきからあまりにも一つ一つが大きい情報がぶちまけられている。整理しければ何も分からないままだ。
それから私は長い時間をかけて情報を整理した。
かけた時間の半分程は今我が身に降り掛かっている状況を飲み込む時間だった。
そしてわかったのは以下の通りだ。
視界が復活した。
視力以外の五感は感覚以外復活していない。
今いる所は屋外であり、森の中である。
360°何処でも見れるようになった。
そして私の体が木になっている。
なぜが体?幹?に●のマークがある。
大雑把に分けるとこんな風に分けれた。
…頭がおかしくなりそうだ。なんだよ木になってるって、全くもって訳が分からないよ…
しかも何回みても種類が分からない、これでも2年は林業していたはずなのに全く分からなかった。
わかったことは今、私がなっている木はメタセコイアの様な木の幹を持ち、トチノキの様な葉だがカエデの様に3枚のづつ生えているおそらく常緑広葉樹、だが正直見たことの無い木だった。
そしてこのマークなに!?、ほんとにわかんないんだけど…
とりあえず、ここまでの情報から鑑みて今の私の状況は
『私…木に転生してました……』
と言った所だろう。はぁ、これからどうすればいいんだろう……
渚がそんな事を考えて内心ため息をついている時
【カラン…】
という固いものが硬いものに当たった音がしていた。
だが目が見えるだけで音が聞こえない渚は気づくことは出来なかった。
to be continued…