異世界の村に
「本当にじゃまないが〜?返事ありませんけど〜」
目の前にいる男がそう声をかけて私たちを心配しているように手を振っている。
「あっ、はい大丈夫です」
私はそう返事した。いや初対面の人にこんな風に返事してもいいのか分からないけど。
とりあえず返事をした後、男の方を見た。
青みがかった黒い目に茶色の髪、がっしりした肉体にパッと見ただけでわかる程に材質の違う長袖長ズボン、片手には明らかに片手で持つには大きすぎる伐採斧を持っている。
そして何よりその男は耳が創作でよく見るエルフのように尖っているのだ。
「ほりゃ良かったげん〜ほっちのあんちゃんはじゃまないか〜?」
そう男が風雅に聞いたが風雅は答えなかった、というより理解できないと言うか、分からないと言うか、とりあえず困惑した様な顔をしていた。
「……何を…言ってるん…だ…?この人」
風雅が言葉をこぼしていて気づいた。さっきはなんの迷いもなくこの男と話していたが言語が違う。
外国語は苦手だったからあまり自信は無いけど今この男が喋っている言語が日本語でも英語でもその他の言語でもない聞き覚えのない言語だということが理解できる。
言ってることが理解できて会話を交わせる私の方がおかしいのだ。めちゃくちゃ金沢弁に聞こえるけど……
何故私だけ理解できるんだ?
そんなに事を考えてると、どんどん男の目がキツくなっていく。
ヤバい、何か誤解されている気がする!まぁ森の中で鎧を着込んで剣を持っている人と、銛をいる人がいたら蛮族か何かだと思われかねない!どうにか説明しなければ!!
「あの私達は気がついたらこの森にいて…「もしかしてあんちゃん異人種け〜?」…へ?」
説明しようと声を出した瞬間、私の言葉を遮るように男は声を被せてきた。
異人種?何を言ってるんだ?この男は?
「異人種ならほりゃ言葉も分からんじー〜ほっちのあんちゃん?おあねさん?は言葉わかるがけ〜?」
「えっ、あっはい私は分かります」
私がそう答えると男は「ほうかそうけ」と言いながら持ってる斧を背中に乗せて荷物をまとめ始めた。
「おあねさんが何処の種かは分からんけど異人種のあんちゃんとは話せるんだな〜?」
「はい、話せますけど…」
「ならほっちのあんちゃんに今から村長さんとこ連れていくさかい着いてきてって伝えてたいま〜」
どうやら男は私達を村に連れていってくれるようだ、ここが何処なのか分からないから凄くありがたいお誘いである。
「風雅、この人が今から村に連れていってくれるから着いてきてだって」
「大丈夫なんだろうな?」
「話してた感じ優しそうな人だし大丈夫だと思うよ、それに多分だけど私達がここにいる理由が何かを知ってると思うし」
「う〜ん……仕方ない、他に頼れるものは無いんだ、着いていこう」
少し悩んだ後、風雅はついて行くことに決め、私達は男の後をついて行った。
移動の間に風雅が「そういえばナギサはなんで言葉がわかるんだ?」と聞いてきたが私も「さぁ?」としか答えれなかった。
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男の後ろに着いていき、しばらく森を歩いてると奥の方に緑色の草原が見え始めた。
乾燥しているのか背丈の低い草しか生えていないモンゴルの大草原の様な草原、丘の上から見下ろした風景が目の前にあり、そして上から見た突然現れた村の姿も見えた。
「もうそろそろで村に着く、もうちょっこし歩くわ〜」
男がそう言って進み、私達は男の後をついて行く。
そして村が近づき全貌が見える。
中世の村の様な作りの建物に遠目からでもわかる教会、馬車が見えたりするなど中世にとても近い村。
ただ全てが中世の村という訳ではなく、電球で光る街頭が見えたり村の入口には一昔前の車が止まっていたりとよく創作で見る村とは少し違った。
「おぉ〜」
村の姿に圧倒されていると男が話しかけてきた。
「やっと着いた、ここが俺の住んどる村【ジェロット】だ」
「そういえあ言うとらんかったな、俺の名前は【チョッチル】おゆるっしゅ〜」
男の名前は【チョッチル】、そして村の名前は【ジェロット】と聞き、私達は村の中に入りチョッチルのナビをしてもらいながら、村長さんの所へ向かった。
これが私達がこの場所にきて初めて出会った現地民であり、初めて訪れた集落である。
ちなみに風雅はチョッチルが何を言っているのか分からないため、村の名前もチョッチルという名前も聞き取れなかったので村に入るちょっと前に私が教えるのであった。
to be continued……
投稿が不安定になると言いましたが原因は私の喘息の悪化です。
もし投稿が3、4ヶ月止まった場合察してください。




