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悪役令嬢になりそこねた少女たちの話

女神交代

作者: 水瀬




 嫌に決まってるじゃないですか。

 何で私が、悪役令嬢なんですか?



 世界を救いたいって言った?

 あぁ、確かに言いました。

 言いましたが、ヒロインとして救いたいって言ったんであって、間接的に救いたいって言ったんじゃないです。

 当て馬の悪役令嬢なんて、なんのうまみも無いじゃない。



 はぁ、悪役令嬢も大切な役?

 ばかじゃないの?

 皆に嫌われ、好きな男はトンビされ、精神的に追い詰められ、家族には捨てられ、敵にまで利用され、身も心もボロボロ、苦労のあげくに謝罪の強要、すれば修道院、しなければ奴隷落ちか処刑なんて、救いがないじゃない。

 どこの世界にそれが分かっててやりたいなんて人がいるのよ。

 それやりたい人なんて、Sとか、Мとか……どっちか忘れたけど、そういうせ……とにかく変態でしょ。




 私は絶対嫌。

 もし悪役令嬢にするなら、前世の記憶なんて消してしまって真っ白な状態で、生まれさせてよ。

 自分が生まれながらの悪役だなんて、思い出したら悪事の数々をやってしまった後なんてあり得ないでしょ。




 私、良い人ではないし、好きな男を取られそうになったら絶対ひがむし、こっそり文句をいうだろう自信はあるけど、自分を好きじゃない男が自分を好きだなんて思いこむほど馬鹿じゃない。

 そんな黒歴史がある人生なんて、速効捨ててやる。





 はぁ、記憶は消せない? なんで。

 ……善良な魂だと、どんなにお膳立てしても悪役にならないから?

 ドアマットになった挙げ句、脱落……死亡する?

 まぁ、そうでしょうね。

 普通の精神の少女なら、好きな男に無視されて、目の前でヒロインといちゃつかれたらへこむでしょ。

 死にたくもなるわよ。その後も救いがないし。




 なら、最初から悪い魂を連れてくれば?

 ナチュラルな悪女ならそこらにいっぱいいるじゃない。

 ほら、相談女とか、マウント女とか……ヒドインとか。




 それも駄目? なんで。

 ナチュラルに悪女だとやりすぎる?



 あ、そう。何回かは挑戦したんだ。




 へ、へぇ。

 早い段階でヒロインが消される? ホントに?



 まあ、そうね。

 あの王子にあの家族だもんね。

 自分が一番な人間なら、家族にも、恋人にも見切りつけるのも早いか。

 お金も力もあるもんね。

 かわいいことなんてやってられないわよね。

 次、次って感じ?





 だから私って言われてもねぇ……お願いされても私は無理。

 ぶっちゃけ、ヒロインも無理だけど。





 あぁ、そうだ、今ヒロインやってる子にやってもらえば?

 やけに芝居がかって、やる気まんまんじゃない。





 え? あぁ、そうなんだ、あのヒロイン、前の悪役令嬢なんだ。

 悪役令嬢を頑張ってくれたけど、脱落……魂が疲弊したからヒロインにして修復中って事なのね。




 このままだとこの世界が滅びる?

 まあ、しょうがないんじゃない?




 世界は誰かの犠牲に成り立っているかもしれないけど、犠牲の方向が悪いんだから。



 ……困るって言われてもねぇ。




 あ、そうだ。

 女神さま、アナタが悪役令嬢やればいいじゃない。

 大丈夫。

 女神さまの代わりなら、喜んで私がやってあげるから!






短編を書きたかった……だけです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。


アルファポリスさんにも同時投稿デス。




誤字報告ありがとうございます。

適用させていただきました。

(23/2/7)

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― 新着の感想 ―
[良い点] まあ、そうですよね。 嫌な仕事とわかっていて正論で押し付けるなら、その正論で納得できるあなたがやれば? 当然ですよね。 [気になる点] 願わくば、実は女神の仕事のほうがブラックで、悪役令嬢…
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