あとがき
歴史にもしもはタブーだが、もし日本海軍が伊400号潜水艦クラスの、スペックを誇る戦略ミサイル型潜水艦を、5~10隻持っていたとしたら、日本は米国に勝利していたかもしれない。
あまりのスペックを誇る伊400号潜水艦に、米国は大変驚いたと言う。この潜水艦の情報が漏れてはまずいと、直ぐ様爆沈させたと言うから、戦後の日本人には少し理解し難いと言える。
米国海軍は、伊400号潜水艦のデータを念密かつ入念にとり、それを自国のSLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル)を搭載した原子力潜水艦の開発に活かした。ソ連も負けじと戦略原子力潜水艦を作り、いよいよ世界は破滅へのカウントダウンを始めた。日本は国際社会に復帰すると、自衛隊を発足。
米国の手先として、憲法解釈も曖昧な軍事組織を米国の要請により作った。最低限の装備で冷戦期は共産化を防ぐ防波堤となった。
非核三原則をかかげたが、米国海軍の原潜や原子力空母等の寄港を許すなど、戦争被爆国としての矛盾にさらされる事となる。
潜水空母なる伊400号潜水艦の凄さは、作中でも触れたが、地球の裏側まで行って帰って来れると言う航続距離にある。発案者の山本五十六元帥は、南洋のブーゲンビル島上空にて乗っていた一式陸攻を攻撃され命を落とし、ついには伊400号潜水艦の活躍を見る前に帰らぬ人となった。
今、日米は中国とロシア、特に中国の脅威にさらされている。だが、米国が一番恐れているのは日本が同盟を破棄する事である。有り得ないかもしれないが、激戦を繰り広げた日本軍との戦いは米軍にとっても苦いものである。
朝鮮半島、ベトナム、イラク、アフガニスタン、シリア。米国は世界の警察をかかげたが、今はそう言う国力は衰えている。突っ込んでは行けない所にわざわざ首を突っ込み、荒らすだけ荒らして撤退する。米国がいくら強くてもそのパターンの繰り返しだった。
日本人も米国人も中国人もロシア人も無敵ではない。ロボットで戦い、AIで戦いをする時代にどうやれば、人は殺しあいを止められるのか?私が、この作品で伝えたかった事は、兵器を扱う人間ドラマや葛藤、戦う意思を感じで欲しかったのである。
最後に一つだけ。人は何故戦うのか?何の為に戦うのか?全世界の人々の明確な答えが知りたい。