思いもしない再会
「教育長って言ってたけど、何をすりゃあ良いんだ?」
「最先任の下士官である君には、おやしおに配属になった新人自衛官候補生と曹候補生にここのルールを叩き込んで欲しい。」
「武蔵坊一佐!?」
「簡単だろ?」
「はい。」
「幹部候補生の方は俺と水野三佐に任せろ。上手く行った暁には、三等海尉にしてやる。」
「って感じで良いですか?田中海将補?」
「君の潜水艦だ。好きにしたまえ。」
「次なる海曹長をまずは育てなくちゃな。」
「はい。」
「頼むぞ、教育長!」
(うわぁ、マジで面倒くせえ。新人下士官と自衛官候補生何人いると思ってんだよ。)
「返事が無いぞ?」
「は、はい。多分に漏れずしっかりと任務遂行致します。(武蔵坊一佐のバックには田中海将補がついてるのか。)」
「本山?お、お前本山ケイジだろ?」
「一等海曹のくせに生意気だな?つーかお前誰?」
「同期のよしみじゃねーか。そう固い事いうなよ。横須賀の武山駐屯地で一緒の部屋だったじゃねーか?」
「平石?お、お前平石リョウマ?」
「正解。ちゃんと覚えているじゃねーの。お前はすぐ潜水艦乗りに成ったが、俺は違う。丘でずっと警務隊の仕事をしていた。」
「退屈だったのか?」
「潜水艦乗りになる夢は捨ててなかった。そんな時に練習潜水艦おやしおの大量募集が決まった。」
「じゃあ俺がこの艦に居る事も?」
「あーあ。ここに来るまでにおやしおの新入りは3人の顔を覚えさせられた。武蔵坊一佐、水野三佐、そして本山海曹長。何かあったら教育長の本山海曹長に聞けと教わっている。幹部候補生も、そう言われているらしい。」
「マジで?つーかお前手伝えよ。」
「こうやって平石リョウマの無駄口に付き合うのも任務って訳だ。」
案の定思ったよりは質問しに来る人間は少なかった。他部隊で鍛えられている証しかと思ったが、逆に少し心配になる所であった。




