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一目惚れ

 「おばちゃん、ライスカレー大盛り2つ頂戴!」

 「いや、俺は並でいいよ…。」

 「なんだよ。タニ、いつも大盛りじゃん?」

 「おばちゃん、並一つと大盛り一つに変更で。」

 「あいよ。ひとみ、これ持って渡してくれ。」

 すると、ひとみと呼ばれた若い女性がおしぼりとお冷やを持ってきた。

 「あんたら、海軍さんの潜水艦乗りだね?」

 「よく分かりましたね。」

 「この臭いは忘れられんよ。亡き旦那も海軍の潜水艦乗りだったからね。」

 「はい、これはサービス。」

 するとひとみが二人にタバコを差し出した。

 「いつも海軍さんには世話になっているからね。気にせず吸っておくれ。」

 「いつもありがとうございます。」

 ドキッと本山はした。どうやらこのひとみと言う娘に恋をしてしまった様だ。一目惚れと言う奴か。

 「ひとみさんは最近入ったのかい?」

 本山は積極的に話しかける。

 「4月に入ったばかりの新人だよ。」

 おばちゃんには聞いてねぇ。

 「新田川(にったかわ)ひとみと申します。」

 「俺は帝国海軍大尉の本山五十八(もとやまいそはち)と申します。」

 「ここのカレーは美味しいでしょ?」

 「嗚呼、絶品だよ。」

 注文したカレーとタバコ1本では時間も大してかからない。

 「おばちゃん、美味しかったよ。」

 「またおいで。」

 「また来て下さい!」

 「おう。」

 「おい、モト。貴様、あのひとみっちゅう看板娘に惚れたろ?」

 「タニにはお見通しだったか。(笑)」

 「応援しているぞ。」

 「俺には許嫁がいるから貴様に譲るよ。」

 「なんだそれ。まぁ、いいや。」

 「やべえ。もうこんな時間。帰隊時刻まで30分切ってるぞ。」

 「走るか。」

 二人は呉の港まで猛ダッシュ。何とか帰隊時刻までに間に合った。

 「次の上陸は半月後か…。」

 ひとみに会えるまでの日数を数えると憂鬱になった。狭くてむさ苦しい潜水艦に戻るのも同じ位憂鬱であった。

 「なぁ、モト?次の上陸は半年後らしい。」

 「正気か?この伊200号潜水艦がそんなに活動出来ないのは、タニ貴様が一番良く分かっている筈だ。」

 「どうやら秘密作戦らしい。と、俺は宮下少佐が言ってたから間違いはない。」

 「まぁ、やむを得んな。」

 ひとみに早く会いたい。それはいつになるのだろうか。本山は不安になった。

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