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 戦後はどの家庭も、大変だった。金があっても物がない。本山もそんな富裕層の一人であった。米軍の戦闘機があまりにも頻繁に来るものだから、農家は畑仕事が安心して出来ない。それで米や野菜の供給量が需要量に追い付かなくなっていたと言う訳である。

 戦争に負けたことで、日本が貯えて来た基金も全てGHQに没収された。その代わり、日本は全ての経済政策を連合軍に委ねた。ヒロシマ・ナガサキへの原子爆弾の投下を本山が知ったのは、終戦から一年後の事であった。幸いにも親族や友人の被害は無かった。

 本山は、米軍のこうした日本本土への度重なる爆撃に憤りを感じており、こうした理由からスリーサイレントを日本の海上自衛隊に移籍させたと言う経緯があった。

 弱肉強食の世界である事は本山も充分分かっていた。米国海軍第7艦隊に所属するのは仕方無かった。だが、それは悪い事ばかりではなかった。米国人は鬼畜ではないと分かったからである。肌の色も地の境も越えて、敵味方を越えた友情が芽生えていた。

 そんな矢先のニュースであった。GHQが伊400、伊401、伊402の伊400号シリーズの潜水艦の廃棄を決定したと米軍が日本側に通告したと言う。

 「ホワイト中将?どういう事ですか?」

 「まぁ、そういきり立つな。もし仮にこの潜水艦等がソ連や中国に渡ったらどうなる?」

 「それは収集のつかない事になります。」

 「そうだろ?だから、今回は特別な爆弾により日本海軍の亡霊を名実共に、消し去る。」

 「特別な爆弾?」

 「水素爆弾だ。」

 「原子爆弾は使わないんですね?」

 「ああ、使わないんじゃなくて使わないだよ。キャプテン。」

 「アトミックボムが勇気ある戦士の武器だとは思いたくない。」

 「勝てば官軍負ければ地獄。ただ、それだけの話だ。よって、伊400号シリーズに乗っていた350人は口止めを条件に海上自衛隊編入させたのだ。」

 「艦と共に死なせてください。」

 「それは簡単だが、戦後の新組織である海上自衛隊に君は必要不可欠な人材であるはずだ。」

 「明日の午後12:00まで待ってやろう。君が勇者に成るか只の馬鹿なのか、選択は君に委ねるよ。本山大佐。」

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