次なる目標は大和水上特攻の護衛
「くそ!またジャップか!やるじゃねーか。」
「あの新型潜水艦半端ねぇ。」
「キルジャップス、キルモアジャップス。」
「鬼畜米英。」
汚い言葉が平気で飛び交う世の中など、くそくらえである。伊400号は次から次へと、米主力艦隊へのアウトレンジ戦法で米艦隊の手の届かない場所から魚雷攻撃を繰り返した。
「えぇい!何なんだ!」
「伊400号を探せ!」
「ジャップめ、とんでもない超兵器を作り出したな。」
「本山大佐、もう手持ちの魚雷を撃ち尽くしました。」
「よし、作戦海域から離脱する。反転し横須賀に帰投する。」
「おい、良いのかモト?」
「魚雷がなけりゃあ闘えない。」
「それは正論なんだが…。」
「クルーも疲労困憊だろうしな。旗艦アイオワを撃沈させたし、晴風の弔い合戦はとりあえず目的は達成しただろう。」
こうして、米国本土攻撃を実施した伊400号は5日かけて横須賀に帰投した。クルーには入湯上陸として、二泊三日の外出許可がおりた。地元に帰る者、横須賀でゆっくりする者、家族に逢いに行く者。人それぞれが同じ時間の成約の中でやりたいことをやったのである。いつ死ぬか分からないから。とは言え、任務の事については何も話せなかった。それが潜水艦伊400号に乗っている者の宿命であった。
出港日前日。日本海軍は次なる目標として、伊400号に沖縄への戦艦大和水上特攻の哨戒援護に付くと言うお達しがあった。
「総員に次ぐ。我々は連合艦隊の一員として、戦艦大和を旗艦とする水上特攻部隊の哨戒を任された。総員よろしくお願いする。終わり。」
こうして伊400号は、補給を済ませると同時に連合艦隊と合流した。
「遂に日本もチェックメイトかな、モト?」
「ああ、ホテル大和を航空機の援護無しに突入させるなんて、頭がイカれてるよ。日本海軍も崩壊間近だな。」
「もし海軍がなくなったらどうする?」
「サラリーマンだな。粉骨砕身やらなきゃいかん。」