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来るべく特攻の危機

 ウルシー泊地攻撃作戦から1週間後。本山等伊400号チーム一同は広島県呉市にいた。

 「何ですって!?次の任務は沖縄への海上特攻参加ですって?」

 「いい加減にしてください。伊400号は敵将も恐れる日本海軍最後の切り札なんですよ?」

 本山はマジギレした。日本海軍の誇る最強の潜水艦をムザムザと水上特攻の哨戒に使うなど言語道断である。と、本山は思った訳である。

 「特攻何て馬鹿げてるよな?タニ?」

 「上が決めた事だろ?やるしかねぇんじゃね?」

 「特攻だぞ?まず生きては帰れまい。潜る穴があるなら逃げ出したいよ。」

 「そこは俺も同じだ。魚雷抱えて米軍と御陀仏なんて考えたくもねぇ。」

 「まぁ、そこまで日本軍が追い詰められてるっちゅー話だ。」

 「なぁ、モト?間違っても晴風を特攻に行かせるなよ?」

 「ああ、分かっている。」

 本山も谷山も特攻には断固反対の立場を示していた。

 特攻と一口に言っても、種類は沢山ある。海軍で有名なのは人間搭載型魚雷回天である。回天の最大の欠点は直進しか出来ない事である。その為、訓練中でも多数の事故や死者を出した。

 「海軍は頭がおかしくなったのではないか?」と憂う下士官は多かった。実際問題として、日本陸海軍は兵の命よりも、日本の国体を守る事を優先させていた。1943年10月に海軍は最初の特攻戦死者を出した。これを皮切りに神風特別攻撃隊を編成し、多くの若手士官を特攻と称した自爆攻撃に送り出す事に相成った。

 そんな風潮に対して本山は、悲観的かつ否定的であった。

 「あんな命令を俺は出せない。」

 米国の占領期を除いて、日本は只の一度も外国の支配下に入った事はない。だが、米国と言う世界最強の相手を前にして敗色濃厚となっていた。特攻やむ無し。日本の世論は1億総玉砕も辞さない。市民は竹槍を持ち、来るべく本土決戦に備える有り様であった。

 「山本長官が生きてればなぁ…。」

 「無いものねだりしている場合じゃないよ。」

 「ああ、その様だな。」

 本山は今迫り来る特攻の危機に直面していた。

 

 

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