第5艦隊旗艦ホワイト・エッジ
「晴風1号機より入電。米第5艦隊を確認。」
遂に伊400号によるウルシー泊地攻撃が遂行される。本山は再度総員に戦闘配置を発令した。
「空母がおるぞ。」
谷山は水雷長として、敵空母に狙いを定めた。幸い敵の潜水艦部隊はいなかった。
一方、敵将ウィリアム・ハルゼーは、伊400号の動きを正確に把握していた。
「各自、敵潜水艦に充分注意されたし。」
いつものハルゼーではない。キルジャップス・キルモアジャップスの勢いが影を潜めていたからだ。
「あの潜水艦はジャップの秘密兵器だ。絶対に交戦はするな。」
ハルゼーは、伊400号の事を密かに知っていた。
「潜水空母、それが伊400号だ。」
「では、先ほどの3機の国籍不明機は、その潜水空母から発進された航空機だと?」
「恐らくその可能性が高い。」
「米国海軍としては、黙って見過ごす訳にはいかない存在だな。」
「長い事海軍にいるが、伊400号の様な艦にあったのは初めてだ。それに、あの3機の偵察機魚雷を持ってる。注意されたし。」
「ソナーに反応あり!」
「来たか…ジャップめ。」
一方、伊400号では…。
「敵勢力圏内に入った。魚雷発射用意。敵空母の土手っ腹に魚雷ぶちこんだれ!テーッ!」
遂に伊400号から一発の酸素魚雷が、ウルシー泊地に停泊している敵空母に向けて発射された。発射された魚雷は空母の左舷に命中した。
「ドゴスコーン!!」
「艦長、命中しました!」
「喜ぶのはまだ早い。もう一発とどめにおみまいしてやれ。」
「次弾発射用意。」
「テーッ!」
これであの空母は大破する。多くの米兵が海に投げ出された。結局、沈没した空母にはハルゼーが居ない事が分かった。しかし、ウルシー泊地にはまだ、沢山の第5艦隊所属艦艇が存在していた。これは本山の想定内であった。
ハルゼーは、第5艦隊旗艦ホワイト・エッジにいる事が分かった。本山の狙いはこの艦艇であった。この船がどれか晴風を使って位置を特定した。ハルゼーの息の根を止めれば、第5艦隊の指揮命令系統はむちゃくちゃになる。
とは言え、第5艦隊の全ての艦艇を落とせるだけの魚雷数はなく、ホワイト・エッジだけを狙うのは当然の作戦と言えた。晴風の魚雷もあるが、晴風はそろそろ燃料が無くなりかけていた…。