~プロローグ~
全長122m。全幅12m。基準排水量3530トン(水上5223トン)(水中6560トン)この水中での排水量は、当時の駆逐艦に匹敵掏るものであり、水中では2400馬力ものパワーを出せた。聞き慣れない平気だが、日本海軍は秘密裏にこの兵器を開発していた。潜水空母それが伊400号と言う兵器に与えられた名前である。2号10型ディーゼルを4基、2軸7700馬力で水上14ノットで、約69000㎞を行ける。油は満タンで1750トンを必要とする。
武装は40口径14㎝単装砲1基、25㎜3連装機3基、25㎜単装機銃1基、53㎝魚雷発射管8門(20本魚雷装備可)と、なっている。発案は、日米開戦時の連合艦隊司令長官山本五十六である。
結局、史実ではこの潜水空母は実戦投入されずに終戦を迎えるのだが、この物語は、知られざるこの伊400号と共に戦争と向き合った男達とその家族の物語である。
伊400号は最大限の機密で守られた日本海軍のトップシークレットな潜水艦であった。この艦の特徴は、潜水艦でありながら航空機を搭載出来る空母の様子を呈した事にあった。
搭載機は晴風型3機とわずかではあるが、世界史上類を見ない潜水空母なる軍艦の開発が、日本海軍の肝入りで行われた。当時の日本海軍は、潜水艦の運用方法を間違っていた。潜水艦は本来防御的なものであり、伊400号も日本海軍の間違った方針の元に、開発された。その為高い技術力のある、軍肝入りの伊400号を上手く活用出来なかった。
日本海軍は高い技術力を持ちながらも、人間搭載型魚雷回天の様なおよそ、非人道的な特攻作戦を繰り返す事になる。
この物語の主人公本山五十八(38)は日本海軍の若き大佐でありながら、当時の日本海軍の潜水艦運用方法に苦言を呈していた人物であった。物語はこの男が海軍兵学校を卒業した所から始まる。