レシピ作りは楽じゃない?
もう、……それくらいで、真っ赤になっちゃって。そういう私も、ほっぺた熱いや。
「冗談なのはわかってるでしょ、……ちょっとからかってみただけだって」
「そうだけどさ……、一応、『恋人どうし』になっちゃったわけだし……」
「やっぱりごめんね?ちょっと意地悪だったかな」
夏樹ちゃんといると、普段の『お姉ちゃん』でいようとしちゃうわたしはどっか行っちゃう。中学のときから一緒な子はほかにもいるけど、……こんな風になるのは、夏樹ちゃんくらい。
「もー……、他の人が美咲のことお姉ちゃんって言うの信じらんないよ」
「そこまで言うー?……そうだったとしても、こんなとこ、夏樹ちゃんにしか見せてないと思うんだけどなぁ」
「そういうとこだよ、美咲は。……いつも通りでいいって言ったじゃん」
そう言って、わざとらしく視線を逸らす。ほっぺが真っ赤なの、見えちゃってるよ。……いつも通りなんて、やっぱり無理かな。わたしもだし、夏樹ちゃんはもっと。今更、両手で頬杖付いたって、顔真っ赤なの隠せてないし。わたしも、ほっぺがにやけてるのわかっちゃう。同じように両手で頬杖をつくと、顔、すっごく近づく。
「そんな事言ったってさ、やっぱり意識しちゃうよ」
「……美咲も、顔赤いね、そういえば」
「夏樹ちゃんほどじゃないと思うけどなぁ……、こんなんじゃうまくごまかせるかわかんないよ?」
「言わなくていいじゃん、そんなの……」
初々しい、って言っても、ちょっと照れすぎだよ、いくら何でも。フリって言っても、わたしに恋人になってほしいって言ったのは夏樹ちゃんのくせに。……なんて言っても無理か。夏樹ちゃん、恋バナ苦手だもんね。クラスでももちろん、修学旅行でも、寝たふりしてごまかしてたもんね。
「……夏樹ちゃん、かわいいね。憧れてくれてる子がこんなとこ見たら、もっと好きになっちゃうんじゃないかな」
「もー、いじわるしないでって言ってるでしょー?……こんないじわるな美咲とかみたら、幻滅されちゃうのかな」
「大丈夫だって、いじわるするのは夏樹ちゃんにだけだよ?」
「そういう問題じゃないって……っ」
そういうとこ、やっぱりかわいい。そんなだから、意地悪なわたしが出てきちゃうんだよ。
「……にしても、どうしよっか。二人きりでもこんなに変になっちゃうのにさ」
「そうだけど……っ、無理だよ私……」
「……部活のときでももう広まってそうだし、もし恋人だって証拠見せてとか言われちゃったりとかしたら」
「うぅ……ちょっと考えたくないよ……っ」
すごい勢いでお弁当を平らげていく。あんまり急いでも体によくないよ、とは言いつつも、わたしも、つい放った言葉に乱れてる。恋人らしいこと、……とか、する事になっちゃったら。……どうすればいいんだろう、わたし。




