まずはレシピ探しから?
「……やっぱり、もう噂になっちゃってるみたいだね」
「そうだねぇ……、でも、美咲だって言ったら納得されちゃった。今まで付き合ってなかったのかって言われたし、どんなことしたのって」
二人きりのお昼ご飯、あの時はもう昨日のことなのに、まだ新しい関係に戸惑ってばかり。……私たちは『ふり』なのは最初から知ってるんだから、こんなとこまで本物っぽくしなくたっていいのに。
「私も、……毎日こんなことしてるから、しょうがないのかな、……あきらめてくれるなら、夏樹ちゃんも嬉しいでしょ?」
「それはそうだけどさ……、ようやく恋バナから逃げられると思ったら、今度はどういうことしたか訊かれちゃうわけでしょ?」
「そんなこと言われても、一緒にするのなんて、お昼ご飯とお料理くらいだもんね」
「もっとそういう……、いちゃいちゃみたいなのした事ないのとか言われたちゃったよね……」
それ以外は、普通のスキンシップくらいしかしないし、お料理とかだって、友達同士でも普通にすることだし。……だからって、本当にしちゃうのは気が引けるよね。たぶん、夏樹ちゃんだって、『はじめて』だし。
「最初のほうはまだ恥ずかしいって言えばいいけど、だんだんそうも言ってられなくなるよね……」
「それまでに飽きてくれればいいんだけど、私たちじゃそうもいかないからなぁ……」
人気者って自覚はあるけど、今はそれを持て余し気味。普段はいい想いもしてるけど、こういうことになっちゃうと悩み事は尽きなくなる。
「……もしかしたら、今まで通りでいいって言えなくなっちゃうかもね、そうなっちゃったらごめんね?」
「そんなことになんなきゃいいけど、そうなっちゃったら私も付き合うよ」
「いいのっ!?本当に美咲は優しいなぁ……」
「いいよ、私も恋人がいるってことにしたほうがいいことあるかもだしさ、慕われてるのは嬉しいけど」
「ならいいんだけど……」
頼られるの、やっぱり嬉しいや。でも、やっぱり、……そういうこと、することになったらって考えると、ちょっともやもやしちゃう。恋人同士でするようないちゃいちゃって、中身は知ってるけど、……本当にするときのこと、想像なんてできないや。
「ちょっと、それいい?」
「いいけど、いつもと変わんないよ?」
相変わらず男の子みたいな夏樹ちゃんのお弁当の、毎日お昼に乗っかってるステーキを一切れつまむ。考えるの疲れちゃったから、おいしいもの食べてちょっと休ませて。
「それがいいの、……でも、もうあんな事言えないな、夏樹ちゃんのお嫁さんになるとか」
「もー、そんなの蒸し返さないでよーっ」
ぱたぱたと腕を振る、目の前の顔は真っ赤に茹で上がっちゃってる。ちょっと、いじわるしすぎちゃったかな、ごめんね。でも、そんなとこを見ちゃうと、つい笑っちゃうや。
「ごめんって、……でも最初に言い出したの夏樹ちゃんでしょ?」
「そうだけどぉ……」
夏樹ちゃんの、なんかかわいらしいとこ。恋人同士じゃないけど、……なんか特別な感じ。




