二人で一緒に作ろうか。
仲のいい友達、……っていう段階でもないような気がする。夏樹ちゃんとの関係は。でも、恋人っていう関係ではないよね。方向性が、ちょっと違う感じ。
「その……さ、何か特別にすることってあるかな……?」
『いつも通りいてくれればいいよ、……その、変にからかわれちゃうかもしれないけど』
「まあね、でも、そっちは私より夏樹ちゃんのほうが大変そうかな」
『かもねぇ……、でも告白されるよりは……、美咲なら安心できるし』
周りからみたら、今まででも十分、恋人同士だって言えそうかも。毎日のように、夏樹ちゃんが見つけた二人きりになれる場所で一緒にお弁当を一緒に食べに行ってて、おかずもよく交換してるし。女の子同士ってもともと距離感が近いから、普通にスキンシップだってするわけだし。
恋人であるフリをするだけ、……それなら、そこまで、嫌じゃないかも。一緒にいると落ち着くし、恋とかそういう意味じゃないけど、夏樹ちゃんのことは好きだし。
「そう?……しょうがないなぁ、……甘えていいよ、それくらい」
『ホント!?ありがとう~、こういうの頼れるの美咲しかいないって思ってたもん……』
「もう……、こういうとこ、夏樹ちゃんに憧れてる子が見たらどう思っちゃうかな」
『うぅ……、幻滅されちゃったっていいよ……、告白されなくて済むんだったら』
普段はかっこいいとこばかりなせいで、そのギャップにかわいさを見つけちゃう。私の中にできちゃってる、甘えてほしいって気持ちが沸きあがる。
「あはは、……じゃあ、私がもう誰にも邪魔できないって思えちゃうような恋人になってあげないとね」
『そ、そこまで!?本当にありがとぉ……っ』
電話越しに聞こえる声に、ちょっと涙が混じってるような。今その場にいたら、抱きつかれてそうだな。……夏樹ちゃんを好きな人が知ったら、もっと好きになっちゃうかもな。……普段はアクティブで、ちょっと豪快なとこがあるのに、女の子っぽいとこ、結構持ってるとこ。
「泣かないでよ、……それとも、安心しすぎちゃった?」
『そうかも……、こんなの頼めるの美咲しかいないって思ってたけど、こんなに簡単に受け止めてくれるって思わなかったし、……これだったら、他の子もあきらめてくれるかなって』
「私もちょっと意外だったな、こんなに簡単に受け入れられちゃうのも。それにしても、そんなに苦手だったら、最初から言ってくれたらいいのに」
こんなの頼めるの、私しかいない。そんな言葉で、ちょっとした優越感が沸いてくる。……かわいいな、本当に、……もっと見せてって言ったら、さすがに怒っちゃうよね。
『今思いついちゃったんだもん、しょうがないじゃん、……それより、もういい?』
「うん、じゃあ、また明日ね」
『うん、またねーっ』
夏樹ちゃんの恋人のふり、か。建前だけど、一番近くにいられる立場になるのか。いくらいつも通りでいいって言われても、どうしたって今までの私たちじゃいられなくなっちゃうよね。周りの目も、……もしかしたら、私たちの意識も。