表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/14

二人で一緒に作ろうか。

 仲のいい友達、……っていう段階でもないような気がする。夏樹ちゃんとの関係は。でも、恋人っていう関係ではないよね。方向性が、ちょっと違う感じ。


「その……さ、何か特別にすることってあるかな……?」

『いつも通りいてくれればいいよ、……その、変にからかわれちゃうかもしれないけど』

「まあね、でも、そっちは私より夏樹ちゃんのほうが大変そうかな」

『かもねぇ……、でも告白されるよりは……、美咲なら安心できるし』


 周りからみたら、今まででも十分、恋人同士だって言えそうかも。毎日のように、夏樹ちゃんが見つけた二人きりになれる場所で一緒にお弁当を一緒に食べに行ってて、おかずもよく交換してるし。女の子同士ってもともと距離感が近いから、普通にスキンシップだってするわけだし。

 恋人であるフリをするだけ、……それなら、そこまで、嫌じゃないかも。一緒にいると落ち着くし、恋とかそういう意味じゃないけど、夏樹ちゃんのことは好きだし。


「そう?……しょうがないなぁ、……甘えていいよ、それくらい」

『ホント!?ありがとう~、こういうの頼れるの美咲しかいないって思ってたもん……』

「もう……、こういうとこ、夏樹ちゃんに憧れてる子が見たらどう思っちゃうかな」

『うぅ……、幻滅されちゃったっていいよ……、告白されなくて済むんだったら』


 普段はかっこいいとこばかりなせいで、そのギャップにかわいさを見つけちゃう。私の中にできちゃってる、甘えてほしいって気持ちが沸きあがる。


「あはは、……じゃあ、私がもう誰にも邪魔できないって思えちゃうような恋人になってあげないとね」

『そ、そこまで!?本当にありがとぉ……っ』


 電話越しに聞こえる声に、ちょっと涙が混じってるような。今その場にいたら、抱きつかれてそうだな。……夏樹ちゃんを好きな人が知ったら、もっと好きになっちゃうかもな。……普段はアクティブで、ちょっと豪快なとこがあるのに、女の子っぽいとこ、結構持ってるとこ。


「泣かないでよ、……それとも、安心しすぎちゃった?」

『そうかも……、こんなの頼めるの美咲しかいないって思ってたけど、こんなに簡単に受け止めてくれるって思わなかったし、……これだったら、他の子もあきらめてくれるかなって』

「私もちょっと意外だったな、こんなに簡単に受け入れられちゃうのも。それにしても、そんなに苦手だったら、最初から言ってくれたらいいのに」


 こんなの頼めるの、私しかいない。そんな言葉で、ちょっとした優越感が沸いてくる。……かわいいな、本当に、……もっと見せてって言ったら、さすがに怒っちゃうよね。


『今思いついちゃったんだもん、しょうがないじゃん、……それより、もういい?』

「うん、じゃあ、また明日ね」

『うん、またねーっ』


 夏樹ちゃんの恋人のふり、か。建前だけど、一番近くにいられる立場になるのか。いくらいつも通りでいいって言われても、どうしたって今までの私たちじゃいられなくなっちゃうよね。周りの目も、……もしかしたら、私たちの意識も。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ