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次は何を試そうか?

『どうしよう美咲……っ』


 実家のお店にある食器でも全部割っちゃったのかってくらい、慌ててる電話越しの声は、だれもいない廊下に響きそうなくらい。お悩みごと、相談してくれるのは嬉しいけど、ここまで動揺してたとこは、あんまり見たことないかも。


「もう、どうしたの?」

『帰りさ、ラブレター渡されちゃってさ……、クラスメイトの子で、すっごく真面目な子だし、手紙の中もしっかりしててさー……』

「そっかー……、夏樹ちゃん優しいもんね。わざわざ部活終わるの待ってたのかな、その子も」

『そうかも、言葉だったらすぐごめんねって言えちゃうけど、そういう風に渡されちゃうと後で伝えるのってしんどいって……』


 そういうものなのかな、……まあ、夏樹ちゃんが色恋沙汰と距離を置いちゃう理由が理由だから、しょうがないかもな。……まさか、お肉をいっぱい食べるとこを見られて幻滅されたくないからなんて。そんなので、おかしいって思うはずないのに。なんというか、いっつもかっこいいとこばかり見ちゃうから、恋バナみたいなことをしてるときの乙女心みたいなのに溢れてるような夏樹ちゃんを見れるのは、けっこう役得かも。


「夏樹ちゃんって、すっごく慕われてるね。なんかうらやましいかも」

『美咲もけっこう慕われてるじゃん、むしろそっちのほうがうらやましいよ。恋されちゃうより』

「そうかなぁ……、私もされてみたいけどなぁ」


 頼ってくれるのは嬉しい、けど、……こればっかりは、あんまりうまく乗ってあげられないや。憧れる気持ちはあるけど、私も、恋とかは苦手だ。どうしても、甘えてほしいって気持ちばかり先走るから。私が誰かに甘えるとこ、想像なんてできないや。恋とかって、たぶん、一方的に与えるだけのものじゃないはずだし、……『お姉ちゃん』ってものは、いろいろ無くしちゃうものばかりだな。得たものも、それなりにあるはず……なんだけど。


『それより、どうしよ……、どう言えば断れるかな』

「うーん、……断る理由もないもんね、今空いてるわけだし」

『そうなんだよねぇ……、恋人とか、……せめて好きな人でもいればなぁ~』

「それがいないから、私に相談してるんでしょ?」

『そうだけど……、あっ!』


 何か思いついたような声。こんな夏樹ちゃん、知ってる人なんて私くらいじゃないかな。……かわいい、なんて、普段は思わないのに。


「……どうかした?」

『美咲……、あのさ、私の恋人だって辻褄合わせてほしいの、いい、かな……っ』

「えっと……、ごめん、待って、ちょっと考えさせて……?」

『分かった、……ごめん、無茶言ってるのは分かってるから……』


 そんなこと、頼られてるのは嫌じゃないけど、……ちょっと整理がつかない。電話越しに聞こえる熱っぽい声から、私の頭まで茹だっていきそうな。

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