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恋を咲かせる秘密のレシピ。  作者: しっちぃ


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16/17

優しい最後の隠し味。

 両手でしてる頬杖を外して、ちゃんと夏樹ちゃんのほうを向いて。……ほっぺ、熱いままだし、によによしちゃってる顔が見えるけど。


「夏樹ちゃん」

「なぁに?」

「わたしの気持ちなんて、……分かってるくせに」


 声、なんか余裕のある感じ。ちょっといじわるで、ずるい。普段とは違うの、かわいいと思わせてくるとこも。


「でも、聞きたいもん、……だめ?」


 分かってるけど、……言葉、頭に浮かべるたわけで恥ずかしいな。夏樹ちゃん、よく言ってくれたよね。……わたし、まだ言えそうにないのに。もう、その姿はわかってるのに。

 

「わかったから、……隣、いいかな」

「いいけど……」


 向き合って言う勇気、出てきそうにないから。戸惑ったままの夏樹ちゃんの横の席に、持ってるものごと移る。ドキドキは止まらないけど、まっすぐ見られないだけ、ちょっとは落ち着くかも。


「夏樹ちゃん、……」

「何……?」


 横顔も、すらっとしててキレイ。でも、ほっぺ、ちょっと赤くなってる。言われるほうでも、照れちゃうんだね。ふと見せる女の子っぽいとこも、他の人といるときには見なくて、かわいい。

 

「好き、だよ、……わたしも」

「……そっか」


 頭の中で浮かんだ言葉が、そのまま声になる。ブレーキ、もうかからないよ。だって、わたしも、……すき、だもん。夏樹ちゃんとおんなじで。


「全部、先に言われちゃったな、……わたしも、全部同じだったのに」

「へへっ……、普段困らせてばっかだから、お返し」


 くすりと笑うとこも、かわいいのがずるい。わたしといるせいかな、なんてうぬぼれてもいいかな。一回気持ちに素直になったら、もっと先に行きたいって思える。


「もう、……『恋人のふり』に比べたら全然じゃない?」

「それは、……ごめんだけど」

「ふふっ、じゃあ、もうちょっとわがままになっていいかな」

「な、なに……?」


 わたしも、踏み出してみようかな。ほっぺが熱いまま言ってみた言葉に、戸惑ったような声を出す。


「もっと、夏樹ちゃんとドキドキしたいな、……なんて」

「そ、そう、なんだ……」


 恋人同士なんて関係、あまり知らないけど。多分、『すき』ってこういうこと。返ってきた言葉、戸惑ったままみたいな、なんかほっとしてるような。


「……もう、どうかしたの?」

「な、なんにもないって……」


 また、照れ隠ししてる。ほっぺ、ちょっと赤くなってるような。……それに、うつむいちゃって、もう。普段の夏樹ちゃんには思わないのに、今はいくらでも、『かわいい』って気持ちが頭に浮かぶ。


「そんな訳ないくせに、……何思ってたの?」

「だって、わがままになるとか言うから、……キスとか、されちゃうのかなって……っ」

「もしかして、イヤだったりした?」

「そ、そうじゃなくて……っ」


 そうだったらやだなって思ってたこと、思わず言葉に出てきちゃう。わたしの方を向きながら、ほっぺを抑えちゃってる。普段のきれいで頼れるとこはどっか行っちゃって、残ってるのは、うぶでかわいい女の子。


「ちょっとご飯食べちゃったからにおっちゃうかもだし、やっぱ、恥ずかしいし……」

「そんなの、気にならないと思うしさ、……それに」

「………それに?」


 忘れてたいたずら心、ちょっと戻ってきた。今のわたし、さっきの夏樹ちゃんみたい。好きな人の知らないところって、もっと見たくなっちゃうんだな。

 

「好きになる前に恋人同士になっちゃったし、追いつかないとかなって」

「……ずるい、もうちょっと心の準備させてよ」

「わかった」


 水筒に口をつけて、ハンカチで口を拭くのを横目で見て、わたしも、同じようにしてみる。……なんか、ちょっとした儀式みたい、なんて。……まあ、そうか。この先のことしちゃったら、もう、ちゃんとした恋人同士になっちゃうんだ。深く息をして、もう一回、夏樹ちゃんと向き合う。目、もう閉じちゃってる。


「ねえ……」

「……美咲」


 寄りかかってくる体を抱き寄せると、いつもは同じくらいになる頭がちょっと見下ろす位置にくる。……かわいい。……すき。その先は、理屈より先に体が動いてくれる。


「……んっ」

「……っ、」


 ぷるんって、柔らかいぬくもり。実感が遅れてやってきて、慌てて離す。上目づかいしてくる夏樹ちゃんの顔が近くて、ドキドキが止まらなくなる。


「……なっちゃったね」

「そう、だね……」


 恋人同士、なんて言えなくてはぐらかしたのに、気づかれちゃうよね。夏樹ちゃんもわたしも、そんなものができるって思ってなかったのに。わたしたちで、そういう関係になっちゃうなんて。


「いい加減、ご飯食べなきゃ、だよね」

「う、うん」


 預けてくれてた頭が遠ざかるのが、ちょっと寂しいって思っちゃう。いつも通りに戻ろうとして、なんかちょっと、ぎくしゃくしてる。理由は、もう分かってる。だって、今までと変わっちゃったから。向かいにいなくてよかったかも、だって、今はもう、顔なんて見れない。

 ドキドキしたい、なんて、言うんじゃなかったかも。だって、一緒にいるだけでそうなっちゃって、……こんなのがずっと続いたら、胸の中、おかしくなっちゃうよ。

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