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恋を咲かせる秘密のレシピ。  作者: しっちぃ


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15/15

受け取る気持ちは蜜の味。

 胸の奥も、痛いくらい高鳴ってる。予想はしてなかったわけじゃないけど、それが本当にわたしの前に出てきたとき、どうしたらいいのかわかんなくなっちゃってる。心臓、飛び出そう。


「美咲……?」

 

 こんな不安そうな声、はじめて、かも。ごめんね、答えが欲しいの、夏樹ちゃんのほうだよね。わかってる、けど、今すぐいうべき言葉は見つけられない。


「……嫌だったかな」

「……ううん、そうじゃなくて」

「ねえ、……それじゃあ、何?」


 答え、ちゃんと言えなくてごめんね。……嫌なわけないのに、……たぶん、わたしも同じなのに。ぐちゃぐちゃになってる頭じゃ、分かんなくてもどかしい。余裕のない声が、突き刺さって痛い。


「……夏樹ちゃん」


 言葉、ちゃんと言えそうにない。でも、言わないと悪いよね。だって、恋人のふりをするきっかけも、今も、踏み出してくれたのは夏樹ちゃんだし。


「……美咲?」

「あのね、……わたしも、……おんなじ事思ってたんだ」


 『すき』なんて真っ直ぐなことを言えるわけなくて、遠回りした言葉をつなぐ。まともに顔も見れないや。でも、もう目が離せない。


「……ね」

「恋なんてできないなって思ってのに、……夏樹ちゃんにだったらそんな理由ないなって」

「それ、私も……、美咲はとっくに知ってるでしょ?」

「うん、そうだね……」


 夏樹ちゃんが恋をしたくない理由も、そのことをわたしがとっくに知ってるのも。……その先も、わたしと一緒だったらいいのに。信じきるには、まだ、その気持ち、ちゃんと知らない。


「でも、それだけじゃなくて、……私ね」

「……なに?」


 でも、ちょっとだけ、……うぬぼれじゃなくて、一緒なんだなってわかってくる。だって、夏樹ちゃんのほっぺ、真っ赤になっちゃって。ほっぺが赤いの、移っちゃいそう。


「美咲の優しいとこも、ちょっといじわるなとこも、女の子っぽいとこも、……ちゃんと好きなんだってわかっちゃったの」

「そうなんだ……」

「ね、……美咲は、どうかな」


 ちゃんと、言われちゃったな、全部。……わたしも言わなきゃのに、胸の奥でつっかえちゃって言葉になってくれない。


「わたしも、だよ。……夏樹ちゃん、きれいだし、すっごく引っ張ってくれるのに、乙女なとことか、……かわいくて、キュンってしちゃった……」


 まだ、ちゃんと言えてないのに、でも、それなのに照れてくれて。こういう夏樹ちゃんの女の子っぽいとこ、かわいい。……すき。頭の中には浮かんでるのに、言葉にはなってくれないまま。


「もう……、ちゃんと言ってほしいのにな、美咲にも」


 すねたような声、そういうとこも、かわいい。……もうちょっと、待ってて。

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