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出来上がりはどんな形?

 夏樹ちゃんのこと、わたしはどう思ってるのかな。『すき』ではあるけど、その先の気持ちを探そうとすると、頭の中、カラメルみたいになっちゃいそう。

 ……そういえば、わたし、夏樹ちゃんには普通にいられるな。甘えてほしいって思わないわけじゃないけど。……わたしのこと、頼ってくれるのも嬉しかったけど。でも、他の人とは違うの。……そしたら、わたしが上手く恋をできない理由も、夏樹ちゃんにはないんだ。

 そんなこと、いままでどうして気づかなかったんだろう。それだけの話で、なんでちょっとドキドキしちゃってるんだろう。もし、そういう恋人っぽいことするとしても、……うまく思いつかないけど、たぶん、イヤじゃない。

 

「ただいま」

「うん、お、おかえり」

「もー、どうしたの?そんなびっくりして」

「なんでもないよ……」


 なんでもない顔になってるのは分かってる、だって、ほっぺの奥、熱くなっちゃってる。もしも、夏樹ちゃんとほんとうに恋人になったら、なんて。信じられない『もしも』を思い浮かべてたとか、言ったらどうなっちゃうんだろう。


「ねぇ、……やっぱり、困らせちゃってるかな」

「……大丈夫だって言ったでしょ?だから、ね」


 困ってないわけじゃない、けど、これもなんか、イヤじゃないの。ワケわかんないよね。妙に胸の内側がきゅうってするのも、苦しいだけじゃない。そんなものに縁のなかったわたしでも、なんとなく分かっちゃう。『恋』なんて感情、ちゃんと知ってるわけじゃないけど、たぶん、そこに近い、のかな。言い切りたくないけど、でも、そうとしか言いようがないような。


「美咲は優しいよね、……ほんとに」

「そうでもないよ、……多分、夏樹ちゃんにだけだから」

「そう?……ねえ、あのさ」


 胸の奥、なんかちくってする。横目じゃなくて、もっと向かないとって思っちゃう。なんでかな。分からないままに、体を動かす。


「美咲、……あのさ、明日のお昼、ちょっとだけ時間くれる?……話したいこと、あるから」


 ちょっと赤くなったほっぺを隠す夏樹ちゃん、かわいいなって思っちゃう。……でも、言葉はふにゃふにゃじゃなくて、するりとしたアルデンテ。


「うん、いいよ」

「美咲が優しいのに甘えてばっかじゃよくないから、さ」

「もう……、夏樹ちゃんも優しいんだね」

「そんなことないって、……ほら、そろそろみんなできあがるみたいだから」

「……だね」


 答え、出してくれるんだ。どっちなんだろう。気になっちゃって、胸の中でドキドキしてるとこ、もっと熱くなってくる。こっちのほうが、むしろ困っちゃうな。だって、答えを聞くまで、ずっと夏樹ちゃんのことしか浮かびそうにないもん。いつも通りのわたしには、しばらくなれそうにないや。


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