みんなの料理もみてみたい?
「やっほー、って、どしたの?」
「いやー、二人もようやく白状したかー」
部室に入って夏樹ちゃんが挨拶するなり、にやにやした顔がいくつも。なんとなく、察しちゃった。わたしたちが恋人同士になったっていうの、もう広まっちゃってたんだ。
「もー、あんまりからかわないでよ、……わたしたちだってこんなことになるって思ってなかったんだから、ねぇ?」
「最初からそういう風に見えちゃってたかな……」
「そうっすよ、だって先輩たちすっごく仲よさそうでしたもん」
でも、意外とかじゃなくてようやくって感じになってるのは、夏樹ちゃんの思ってた通りだったかな。恋人がいる人だってけっこう多いし、馴れ初めとか進展みたいなのは気になっちゃうのかな。
「あ、あの……みんなあんまりからかわないであげて?香野ちゃんも朝倉ちゃんもよかったね、大事な人ができて」
「あ、ありがとうございます……」
「茜先輩もすごかったですもんね、だってほら……」
「もー、あの時のことはあんまり言わないでよぉ~」
茜先輩も彼女さんがいて、大事にしあえてるんだなって誰でも分かるくらいラブラブで、時々遊びにきては先輩のお料理食べに来てて。そのたびに顔を真っ赤にしちゃうの、ちょっとかわいいな。
部内でお付き合いしてる人たちもけっこう普通に祝ってくれて、恋が叶うってこんなにおめでたいんだなって感じる。他人事なのは、わたし達のは『ふり』だから。……でも、もしそういう人ができるんだったらって考えたら、……もしかしたら、夏樹ちゃんしかいないかも。あげるだけとかじゃなくて、あげあって、もらいあえる関係になれるのって。
「それで、どこまでしたの?」
「……んもう、やめてよ……っ」
「そういうのしてないんだ、……なんていうか、成り行きって感じだったし」
いい感じの言い訳はしてみたけど、……やっぱり、そういうのもしたほうがいいのかな、『恋人』にみせるには。でも、やっぱり恥ずかしいよ。この前のお昼のときにした話、思い出しちゃう。
「分かるかも、ふたりってなんかもう恋人超えて夫婦って感じするもん」
「ちょっと、もう……からかわないで?」
なんかもう、その先まで想像されちゃってて。……お似合いって思われてるのは都合はいいけど、やっぱり、そんな事言われたら想像しちゃうし、照れちゃうし。
「もう、そこで何してるのかしら?」
まだ、入ったとこでわちゃわちゃしたまんまなの、ようやく思いだす。さくら先生、普段も優しい人だけど、今日は天使みたいに感じる。
……してみたい、のかな。その先のことも。わたしの中に訊いてみても、まだ答えは出してくれない。
ネームドキャラ紹介
野々原茜(From茜さす君に見初むる幸ありて。(https://ncode.syosetu.com/n2860fz/))
12期時空では高校2年生。穏やかで内気な照れ屋さん。
料理部に入る馴れ初めはいずれ書きますユルシテ




