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エンティティ  作者: ザババ
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青天霹靂

初めまして、ザババです。

今回初めての小説のようなものを投稿させていただきました。あまり本を読む習慣もなく、こういったものを書く勉強をしてきたわけでもないので読み辛い箇所が数多くあると思いますが良ければ読んでやってください。

 僕は。

 僕は恵まれている。そう思っている。

 優しい両親に育てられ、優しい友人に居て、恋人なんかは居たことはないが幸せだった。

 勉学はほどほどに、友人とほどほどに騒ぎ、ごく普通の平凡な人生を歩んでいた。

 これからも、平凡に生き平凡な家族を作り天寿を全うして家族に見送られ生涯に幕を閉じるのだと思っていた。

 だから、

 僕はその瞬間、心の片隅で実はわくわくしていたのかもしれない。

 その日、平凡だったはずの僕の人生が一瞬で崩れ去っていくのを目の当たりにしたその瞬間に。


 既に日は沈み、校内には誰の気配もなくなっていた。

 先生からの頼み事が重なり帰るのがすっかり遅くなってしまった燎はせっせと帰りの支度をしていた。

 すると、誰も居なくなった筈の学校の体育館から物音が聞こえてきた。なにか、金属がぶつかり合うような音が。燎は普段なら気にせず帰る所をその日に限って何故か見に行くことにする。

 扉の隙間から中の様子を見る。そこには、見覚えのある女性がいた。

 後ろ姿で顔は見えないが、黒髪ポニーテールで何より特徴的な、両腕に包帯が巻いてあるのが見える。

 あれは、隣のクラスの…「一条(いちじょう)かがり」隣のクラスということもあって話したことはない。が、それは自身に限ったことではなく、誰ともつるまない・笑っているのも話しているところを見たこともない・夜、散歩をしていると一条さんらしき人が成人男性と商店街の裏路地に消えていくのを見た。といろんな噂がある不思議ちゃんとして有名だ。なぜか腕に包帯を常に巻いているから尚のこと近寄りづらいのだろう。

 そんな子がこんな時間まで何をしているのだろう。何やらもう一人奥に見える。こちらは一条さんの倍くらいある巨体だ。あんな大きな生徒がこの学校にいただろうか?と不思議に思う。2人が向かい合って何をしているのかは見えない。あまり気は乗らないが、早く帰るように呼びかけようと扉を開ける。

「お~い!こんな時間まで何してんだー!さっさとかえ」

 体育館に燎の声が響き渡った瞬間、二つの視線がこちらを向く。同時に、奥にいた巨体の方がこちらに飛び掛かってくるのが見えた。片手に、大鎌の様なものを持ちながら……

 何もわからないが、死を覚悟した。だが次の瞬間、飛び掛かってくる巨体に赤い鎖のようなものが巻き付いて燎のいる方向とは真逆の方向へ投げ飛ばされていった。轟音を立てながらステージに叩きつけられている。

 その光景に呆気に取られていると、突如一条さんに腕をつかまれる。

「走って」

 その一言だけを僕に告げ腕を引っ張り強引に連れていかれる。僕も年頃の高校生なので正直、幾ら不思議ちゃんと言えど可愛い女の子に腕を掴まれ共に走ることに悪い気はしない。自分が殺されそうになった直後でなければどれだけ嬉しかったことか。

 体感では30分くらい走った気がするが本当は一分やそこらだろう。科学室までは体育館からそこまで遠くないから。一呼吸おいて一条さんが話しかけてきた。

「なんでまだ学校に残っているの」

 そんなことを言われても…僕は答える。

「日直の仕事と先生にいろいろ頼まれごとをしてそれをこなしてたらこんな時間になってただけだよ。」

 何だか責められている気がしたが別にやましいことをしていた訳じゃないから正直に答えた。

「なんで体育館に来たの」

 また責められている気がする。

「誰も居ないと思ってたけど物音がしたから、注意も兼ねて見に行ったんだよ」

 また正直に答える。

「そう…私のミスね。ごめんなさい、貴方を巻き込んでしまった。」

 正直、驚いた。確かに唯の噂で、変なイメージしか持っていなかったが話してみたら普通の女の子ではないか。先ほどの体育館での光景を見なかったことにすれば。

「あの、一条さん。さっきのアレは一体…?見間違えじゃなければ僕は多分あの巨体に殺されそうだったし、一条さんはあの巨体を鎖みたいなのを使って投げ飛ばしてたよね?」

 自分で思い返して驚いている。自分が見た光景にもだが、殺されそうになっていたにも関わらず今は恐怖より好奇心が勝っていることに。

「よく…見てるのね。それじゃあ誤魔化しても無駄そう。ごめんなさい、詳しいことは後で話すわ。今はさっきのヤツを倒すのが先決だから」

 ごもっともだ。彼女の冷静さを見るに、慣れている感じがする。

「分かった…あの、僕に何か出来ることってある?」

 自分でも何を言っているのかと思った。

「ないわ。何処かに隠れていて。終わったら呼びにくるから。」

 即答だった。まぁ、当たり前だ。

「わ、分かった。」

 そう言って僕は科学室の外に繋がる玄関から外に出て、近くの草むらに隠れて様子を伺うことにした。

 それからものの数秒後に何かの気配が科学室に近づいてくるのを感じた。さっきのデカいやつだ。

 鈍い音が聞こえ少し震えた。あの巨体が科学室のドアを蹴破った音だった。改めてみると本当にデカい。2mはあるアレを比較的小柄な一条さんが投げ飛ばしたと思うと驚きだ。

「さっきの小僧はどうした。逃がしたのか?いや、お前達は俺達の存在を公に出来ない。一般人に見られて逃がすわけがないな。何処かに隠れたか」

 バレてる…かといって動くわけにもいかない。取り敢えず大人しく身を潜める。

「まぁいい。さっさとお前を殺してあの小僧も刻んでやるか」

 恐ろしいことを言いやがる…

「口数が多いわね。怖いの?貴方じゃ私に勝てない」

 これまた恐ろしいことに一条さんが相手を煽る煽る。だけど、一条さんの言葉がハッタリじゃないことはすぐに分かった。

 開始数秒で一条さんが体格を生かした動きで相手を翻弄し圧倒してるのが分かった。対して、相手は部屋の大きさがあってないのもあってか一条さんの動きについていけてない。

 だが、相手の巨体も見せかけじゃない。驚くほどタフだ。お互い、一撃を決められずにいる。

 そんな膠着状態が続く中、巨漢が腕から放った黒い靄の様なものが一条さんに直撃する。

「くっ!」

 飛ばされるが華麗な受け身で着地する。が、次の瞬間には巨漢の大鎌が一条さんに向けて振りかぶられている。咄嗟に何処からか現れた剣で鎌を防ぐ。更に吹き飛ばされる一条さん。一条さんを追う巨漢。

 そして、鍔迫り合いになる二人。こうなったら体格で圧倒的に勝る巨漢に一条さんはパワー負けしてしまう!

 そう思うと、こんな草むらに隠れていられるか!という感情に襲われた。だが、そこは理性との闘い。「僕なんかが行って何が出来る!隠れてろと言われたじゃないか!」という理性と、「そうは言っても同年代の女の子が一人で戦っているのを唯見ている訳にはいかない!」という感情が燎の中で鬩ぎ合う。

 そして、男としての感情が勝ってしまった。僕は、草むらから飛び出し窓枠を乗り越え科学室に侵入。巨漢の注意を引くために叫ぶ。

「おい!デカブツ!!」

 今思えばこれが間違いだった。いや、人として男として困っている人を見過ごせなかっただけなのだからこの行動は間違いじゃない。ただ、タイミングが悪かったのだと。僕は思い出す度、自分にそう言い聞かせている。

 なぜならこの時、僕はその行動に一心不乱で二人の状況をよく見ていなかったのだ。気付いた時、既に一条さんは培ってきた技術で相手の鎌を弾き不利な鍔迫り合いから脱していたのだ。ここまでは良かった。

 僕が巨漢の注意を引くため叫んだとき、一条さんが一番驚いて、コチラをギョッとした目で見ていた。

 対する巨漢は、鎌を弾かれ態勢を崩しながらも次の攻撃の準備をしていた様で、注意を引いたのは間違いないのだけどそれと同時に先程一条さんを吹き飛ばしていた黒い靄を今度は僕目掛けて放ってきた。

 その瞬間確信した。終わった、と。だがそうはならなかった。

 何故なら、僕に驚いていたのとほぼ同時にこちらに走ってきていたのだ。一条さんは気付いていたんだ。鎌を弾いた直後、既に相手が次の攻撃の準備をしていた事に。そして相手が僕に向かって攻撃するのよりもコンマ早くこちらに飛び込んできたのだ。

 あぁ、本当に。間が悪かったんだ……

「ぐ、あぁっ!」

 一条さんが黒い靄に吹き飛ばされる。今度は、態勢が悪すぎた。先程の様な華麗な受け身は取れず、壁に思いきり打ち付けられる。

 打ち所が悪かったのか、気を失ってしまった。それだけでなく一条さんの横たわっている床に血が広がっていくのが見えた。その赤い海はどんどんと広がっていく。

「あ……あぁ…そんな!一条さん!しっかりして!ごめん…そんなつもりじゃ…ごめ…ん…」

 視界が霞む。倒れた一条さんを抱きかかえながら気が遠くなっていくのを感じる。僕のせいで一条さんが、人が死んでしまう。そのショックに心が押し潰されていく…

 そこで、奏多かなた燎の意識は途切れる。

 ・

 ・

 ・

 ・

 それからどれだけの時間が経ったのかはわからない。

 ただ、目が覚めた時ここが何処かは割とすぐに分かった。

「ここは….病、院?」

 強い消毒液の匂いで僕は嫌でも覚醒した。


改めまして?ザババです。

今回は、拙僧の拙作を読んでくださってありがとうございます。

拙い文章でさぞ読みずらかったことこの上ないかと思います。お疲れ様でございました。

何かご感想などあればコメントに書いてくだされば幸いです。賛美も詰責も続きを考える励みになると思います。

またよろしくお願い致します。

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