1.始まりの朝
初投稿です!
「おはようございます、旦那様!」
彼が目を覚ますと、彼の隣からそう聞こえた。
「おはよう、リア。」
彼も挨拶をし、その隣で同じベットに寝ている妻…リアに視線を向ける。リアと目が合うと微笑んで抱きついてきた。
二人が朝からイチャイチャしていると所に、部屋の外から声がかかる。
「魔王様、朝食の準備が終了致しました。」
「あぁ、分かった、ありがとうレイア。」
「いえ、メイドとして当然の仕事をしたまでです。それでは、スリアを呼んできますので、失礼致します。」
メイド達のトップ…メイド統括を仕事とするレイアは、こうして毎日朝食の事を伝えに来る。まぁメイド統括と言っても普通の仕事はメイド長に一任してるから基本的に魔王軍七幹部の一人として活動している。
「じゃあ行きましょう!旦那様!」
そうして、二人はベットから起き上がり、服に着替えて朝食の用意される広間に向かうのだった。
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同時刻。
二つのベッドが置かれた部屋で片方のベッドに寝ていた獣人の青年が目を覚ます。そして、そのまま起き上がるともう一つのベッドへ向かい。そこで寝ている獣人の少年を優しく叩く。
「起きろフォクス、朝だぞ。」
うー、と唸りながら少年は目を覚まし、
「おはよ、ウルス兄さん。」
彼らは、狐と狼の獣人の間に生まれたのが理由で、血の繋がった兄弟だが、兄のウルスは狼の要素を、弟のフォクスは狐の要素を強く引き継いだため、見た目が似ていないのだ。
「お腹空いたから早く朝ごはん食べに行こ!」
フォクスはそういうとベッドから飛び起き、タンスに入った服を取り出し素早く着替え、部屋を出ていった。
「まったく…散らかして…俺も行くか。」
ウルスはそう言うと、フォクスが脱ぎ散らかした寝間着を回収し、無造作にフォクスのベッド置いた。そして彼も着替えて部屋をあとにした。
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少しして、スリア…魔王軍七幹部の一人の人造人間の少女の部屋に着いたレイアは、ノックをして部屋に入る。
「スリア、朝ですよ。起きてください。」
ぷかぷかと宙に浮かぶ大きな羊型のベッドの上で寝ている少女に声をかける。しかし、返事はない。
「スリア、朝ですよ。」
今度は近づいて揺さぶってみた。しかし、宙に浮かんでいるため、本人が揺れることはない。
「ぐっすり寝ていますね…それなら…」
そう言うと、レイアはベッドに乗り、スリアの隣に寝っ転がった。そのままスリアを抱き寄せる。
「はー…ほんっとにスリアったら可愛いわね…ほんとに…食べちゃいたいぐらい…」
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その直後。
「あぁぁぁぁぁ!!!」
レイアとスリアの二人を、別室から自身の魔法で観察していた、これまた魔王軍七幹部の一人…ラビアがその状況を見て発狂する。
「尊いよぉ…本当にこの二人のカプは尊いよぉ…私女の子同士の恋が大好きで本当に良かった…死んでもいい…尊い…」
延々と尊い尊いと繰り返す彼女の元へ一人の男が向かっていた。
コンコンとノックの音が響き、ラビアの部屋が開けられる。
「あのなぁラビア殿、気持ちは分かるがもう少し声を下げたらどうだ?」
その声の元を見たラビアはムスッとした顔で言い返す。
「悪かったね…ねぇ、アマス。あんたも見てく?この尊いの塊を。」
「いや、悪いが遠慮しておこう。そろそろ朝食の時間であるし。ラビア殿もそろそろ向かったらどうかね?それでは拙者はここで。」
そう言うと彼は部屋から出て広間へと向かった。
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時は少し遡り、
「はー…ほんっとにスリアったら可愛いわね…ほんとに…食べちゃいたいぐらい…」
レイアがそう呟くと、抱きしめているスリアがピクリと反応する。レイアがそれに気づき、レイアを見る。
「おねぇちゃん…スリアのこと…食べないよね…?」
スリアは上目遣いで、少し震えながら恐る恐る訊ねる。この瞬間、二人があまりの可愛さに倒れかけた(そもそも一人寝っ転がっているが)がそれはまた別のお話。
「えぇ、食べないわよ。ただの例えよ、それぐらい可愛いってね。さぁ、起きたのなら朝食を食べに行きましょ。」
「…わかった。」
レイアは素早くベッドから降りると、スリアをベッドごと押しながら広間へと向かった。
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