プロローグ
俺はあまり電脳ゲームには手を出していなかった、最先端のものはどんなトラブルに巻き込まれるかわかったもんじゃないからだ
だが友達があまりも絶賛するし、もうすでに電脳革命が起きてから第3世代に突入する
さすがの俺も時代に取り残された気分になった
そろそろ安全性も確保されただろうと思い、散々悩んだ挙げ句、それに必要な製品を一括購入した
まず無線で脳にアクセスしてくれる端末 ”電脳マジカルインターフェイス”
トーラス充電方式、OMS(Omnidirectional Mutual System) Dr.ナノ搭載
良くわからんが高性能らしい
今回体験するソフト ”とんがり帽子のお戯れ ~魔女っ子AIちゃんの箱庭~”
ジャンルは魔法系ファンタジーで、新作で最先端技術が織り込まれている
人工知能が俺の脳波を測定して勝手に世界とストーリーを作ってくれるらしい、ワクワクがとまらんぞ!
生命維持装置 ”おまかせインキュベーター ~行ってらっしゃいませご主人様~”
電脳ゲーム仕様に特化した製品らしい
そして今日、電脳ゲームについての情報を調べていたら、家の中に宅配アナウンスが入った
「お届け物が到着しました、大型製品のため運搬補助を必要とします」
家の前に出ると、コンテナ仕様の自動運転車が止まっていた
俺は、認証を済ませると急いで特化型AI”箱B”を起動して部屋に搬入した
おまかせインキュベーターが俺のベッドの隣に鎮座した
俺はもう待ちきれなかったのだが、ここは慎重にいつも通り夕食をたべ、歯を磨き、
風呂はシャワーで済ませ、トイレを済ませ、パジャマに着替えた
そしてそれぞれの機器の認証とペアリングを済ませ、
専用のハイテクな繊維でできたオムツに履き替えて生命維持装置に乗り込んだ
電脳マジカルインターフェイスを設置して起動させた
「生命維持装置が体をスキャンしています、、、」
「スキャン完了、動作確認テストを行います、、、」
テスト用の空間に放り出される
真っ白な空間だ
目の前に立体的な ”エターナル・どどんぱ” という社名が現れた
そしてりんごの木が現れた
俺は近づいていき、一つだけなっているりんごを採って食べた
「うん、フレッシュ!」
「てか、すげぇ!」
「全ての動作確認が正常に完了しました、、、」
映画のように暗くフェードアウトしていく
次はソフトの方の設定が続く
「今からゲームに関する設定を行います、質問には音声でお応えください、また設定の仕方によっては一度ストーリーを開始した後の再設定は不可能になる場合があるので、ご注意ください」
「記憶維持レベルを設定します」
「ゲーム内で現実の記憶を持ち込みますか?0~9の数値でお応えください、全く持ち込まない場合は0、全て持ち込む場合は9とお応えください」
「9で」
「警告、ゲーム内で現実の記憶を全て持ち込んだ場合、ストーリー性を損なう可能性があります、宜しいですか?」
「じゃあ2」
「警告、あなたのアイデンティティが保持されるギリギリのラインですが宜しいですか?」
「じゃあ3」
「3に設定されました」
「続いて時間圧縮率の設定をします」
「1~9の数値でお応えください、1が最大圧縮、仮想世界で1日が現実世界での1時間となります、5で非圧縮、現実世界と同じになります、9で仮想世界で1時間が現実世界での1日となります」
「え、何これ!浦島太郎もあり得るじゃん!こえー!でもそれなら1だよな、1で」
「1」
「1に設定されました」
「続いてAI補正についての設定をします」
「オンかオフでお応えください、オンの場合AIがゲーム中データを収集して補正をかけます、オフの場合テンプレートのAIの能力を維持します」
「オフで」
「警告、AI補正をオフにした場合、本作品の魅力の大部分が損なわれてしまいます、オンに設定することをおすすめします、オンに設定しますか?」
「オ、オンで」
「オンに設定されました」
「続いてストーリーの傾向についての設定をします」
「シリアス、スタンダード、コミカル、この3つからお選びください」
「コミカルー!」
「コミカルに設定されました」
「続いて死亡時の動作設定を行います」
「ストーリーの中で死亡してしまった場合、復活を可能にしますか、はいかいいえでお応えください」
「はい」
「はいに設定されました」
「死亡までの記憶は復活後も保持しますか?」
「はい」
「警告、死亡時の記憶を保持した場合、ストーリー性を損なう可能性があります、宜しいですか?」
「はい」
「はいに設定されました」
「続いてステータス設定に入ります」
「性別を設定します、男性、女性、その他からお選びください」
「その他って?女の子にもなりたいが、幼女とちちくりあいたいので、男性!」
「男性に設定します、宜しいですか」
「は、はい」
「男性に設定されました」
「本ストーリーは卑猥な表現に対して制限を掛けますか?」
「いいえ!」
「本ストーリーは卑猥な表現に対して制限を掛けますか?」
「え?聞こえなかったのかな?いいえ!」
「警告!卑猥な表現に対して制限を掛けない場合、ストーリー性を酷く酷く損なう可能性があります、宜しいですか?」
「え?絶体にいいえ!」
「本ストーリーは残酷な表現に対して制限を掛けますか?」
「さっきのちゃんと設定されただろうな、スルーじゃないよな!」
「本ストーリーは残酷な表現に対して制限を掛けますか?」
「、、、」
「いいえ」
「いいえに設定されました」
「ステータス設定、魔女っ子AIちゃんおまかせモードを利用しますか?」
「なんだこれ、おまかせもいいけど、やっぱり自分で決めたいよな、いいえ」
「警告、ステータス設定に偶然性が見られない場合、ストーリー性を損なう可能性があります、宜しいですか?」
「構わん!」
「では詳細なステータス設定に入ります」
「髪の毛の渦の中心から数えて1本めの髪の成長率を1~9の数値でお応えください、1にした場合一日の髪の毛の渦の中心から数えて1本めの髪の成長率は0.1ミリです」
「、、、」
「、、、」
「、、、」
「わかったよ!利用すりゃいんだろ、利用すりゃ!」
「ステータス設定、魔女っ子AIちゃんおまかせモードを利用しますか?」
「はい!!」
「はいに設定されました」
「全ての設定が完了しました、ご苦労様でした」
そして俺の意識は消えていった