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知ダンジョン:レベル四十九


 皆黙ったままだ。理解してない人もいるが、ほとんどのものが分かっていた。


 知ダンジョンレベル四十九がどういったダンジョンかを。


「へっへっへっ、知ダンジョンレベル四十九だかなんだかしらないけどな~、あの御影っすよ、そんなに心配することないっすよ」


 この空気に耐えきれなかったのか、三下が脳天気な発言をする。


 舞先生は眼で種次に説明してやれといった視線を送る。


 その視線にあらがえるはずはなく、仕方なくといった雰囲気で種次は説明する。


「レベル四十代のダンジョンは他のレベル帯のダンジョンと比べ致死性の罠が多くレベル六十台のダンジョンをクリアしているものでもクリアは難しいとされているのだよ。でも御影の実力ならクリアはそう難しくないのだよ・・・・・・知のダンジョン以外ならね。御影は戦闘、罠の解除、魔法とオールラウンダーでも頭脳は普通なのだよ。僕と知のダンジョンと行ったときも御影自身はダンジョンの謎は解けなかったのだよ。そして知のダンジョンレベル四十九、生還率一%、数々の頭脳自慢を屠ってきた通称『キューブ』をクリアするのは絶対不可能なのだよ」


 種次が分析した唯一の欠点、自分が勝っているもの、それは頭脳。


 戦略や、戦闘におけるものの頭脳では負けているが総合的な頭脳では、一歩も二歩も種次が勝っていた。


 御影は確かに圧倒的な戦闘能力を有しているが、誰だって欠点は存在する。舞先生と種次以外他の人には知られていないと思われる欠点。


 だから、御影は敵に対しては悟られないようにしていた。


 しかし・・・・・・。


「でもよぉ、御影ならもしかしたらってこともありえるんじゃないのかぁー」


 訴えるようにオーバーアクションで三下は希望的観測を口にする。


「不可能なのだよ。キューブはそんなに甘くはない。内部はひし形の部屋が千以上、その一部屋に転送されるのだよ。一部屋に扉は四つ。扉の前にはそれぞれ問題が表示され、一時間毎に問題が変わるのだよ。難易度はその方面の学者が何とか解けるレベル。一問でも間違えると、致死性の罠が発動する。おそらく御影では一問もクリアできないのだよ」


 ようやくことの重大さが分かったのか三下は青ざめる・・・・・・が閃いたかのように鼻息荒く天下を取ったかのように声高に発言する。


「へっへっへっ、いいこと思いついたぜぇー、眼鏡や癒杉先生が助けに行ったらいーじゃんかよぉー」


 三下の気分は名探偵が真実を解き明かしたが如く、晴れ晴れとしていいる。


 ボルはおーと拍手していたが、他は依然として険しい表情のままだ。


「レベル四十台は五十年前、あまりの致死率から、入場制限がかかっているのだよ。特にキューブは厳正な審査をくぐりぬけ、各国毎に月一パーティーと条約で決められているのだよ」


 助けられるのならこんなに深刻になっていない。三下が閃いた作戦など、とっくに思いついている。


 その上で、良い作戦が考えつかない。


 舞先生のコネを駆使しても最低でも一ヶ月近くかかる。


 すなわち。


「んだぁー、御影が死ぬだす。どうするっぺよ」


 ボルが頭を抱え、ようやく全体に事の重大性が理解できた。


 それを確認した後、舞先生が口を開く。


「分かったか、現在の置かれている状況を。私の怒りを理解したか。正直に言おう、御影がいるからこの顧問を引き受けた。御影がいないこのクラブに価値はない。もし、御影が帰ってこなければ瞬く間に蹂躙され潰れるであろう」


「いやいやいや、俺達も結構強くなったっすよ」


 珍しく三下の意見に同意したのか、美夜やカティナも頷き、ほかのクラブメンバーもおのおのが不満げな表情だ。


 元0クラスメンバーは二ヶ月、練習場の遅延魔法で体感だと半年ほどの地獄の練習にくらいついてきた。


 実力も何十倍も成長した。まだ上位三十席以上には入れないが、そこそこの実力はあるのではないかと。


 そろいもそろっておごりがすぎるぞ。滑稽だ実に滑稽すぎる。思わず殺したくなるほどに。


 舞先生は冷笑し、クラブメンバー達を見回し、かっと見開く。


 それだけで、全員が立っていられなくなり頭を押さえ、蹲る。


 全員が鞭で頭を突き刺され死ぬ幻視。


「貴様等はずいぶん偉くなったな。私や御影から見たら貴様等など卵から成長した雛に過ぎない。二年三年には、貴様等より上などごまんといる。一年でも御影の様に隠れている実力者はいる。身の程を知れ。そこで貴様等には動いてもらうぞ・・・・・・いいな」


 拒否権はなく、それじゃなくても、ここにいる全員が御影は助けようと思っている。


 そして、御影を救うため舞先生達は動き出した。


 御影がダンジョンに入って四時間後の出来事。



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