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絶望的な戦い


 暗闇から出てきたのは二人の男。


 一人は輝義、もう一人は仮面の男だ。


 玲奈の体が戦うことに拒否反応を示している。


 勝てない。


 そう言っているかのように。


「ごめんね、かわいこちゃん達を殺したくないんだけど、勘弁な」


 輝義が陽気に声をかける。


 それよりももう一人の男から目が離せない。


 離した瞬間、殺されてしまう様な、そんな錯覚に陥る。


「あなた達は」


 玲奈は、御影と約束を守ろうとせめてフェリス達は逃げるよう言おうとしたが。


「おっと、獣人のお嬢ちゃん達も逃げるようなら、そこの怖いお兄ちゃんが先に殺しちゃうよ。この人見かけに違わず。おぉーこわ、じゃあスペシャル大サービスで、俺を倒したら見逃してあげるよ。俺はかわいこちゃんには嘘をついたことがないからね」


 誘導されているとしても、玲奈には従うしかなかった。


 それしかフェリス達を逃がす方法がないから。


「勝てないの、でも相打ちにするの」


「元よりそのつもりです。あなた達は必ず御影さんの元に帰します・・・・・・この命にかけても」


 フェリスの言葉にも、自分の信念を口にする。


 仮面の男と、フェリス達は少し離れる。


 輝義は戦闘態勢に移っているのかいないのかわからなく飄々としていた。


 しかし玲奈はかえって不気味に思う。


 隙だらけのように見えて、動き出すと負けてしまう・・・・・・そんな風に感じた。


「かわいこちゃんとも見つめ合うのも好きだけど、ごめんな君を愛する事はできない。ふっ、罪作りな俺だ」


 輝義は一人芝居を始めだし、大仰に手を広げる。


 頭に響く警報を無視し、今しかないと思い攻める。


 しかし、玲奈は忘れていた。いや、正確にはうっすらと噂を聞いただけで、直接聞いた訳ではない。


 教会派の暗部のエースに奇術師が存在すると。


「はい、終わりっと。いやー、来てくれて助かったよ。せっかくの仕掛けが無駄になるからね」


 玲奈も十分用心して、距離を詰めたつもりだった。


 しかし、何故、体が動かず地面に這い蹲っているのか理解できない。


 毒ではなく、縛られている感じもない。


「かわいこちゃんには特別大サービス、種をあかしてあげるぜ。これはなぁーんだ」


 輝義が手に持っていたのは、青い色した棘のある花だった。


 玲奈はその花に見覚えがある。


 高レベルダンジョンに生えている花『ブルーノーズ』。その棘に弛緩効果があり、刺さると即効性があり、直ぐに体に力が入らなくなる。


 玲奈なら、棘が飛んできても、槍で受けるか回避する。ブルーノーズは特徴的な花で、棘も青色なので直ぐにわかる。


 実力者に分からせない様、成功させるのが奇術師たる所以だ。


 一人芝居をしているときに、玲奈に棘を掠らせた。


「素直すぎるかわいこちゃんは好きだぜぇ、さて、名残惜しいですが、ひと思いに楽にしてあげるぜ」


 ブルーノーズは消え、輝義の手には『レッドノーズ』、正真正銘の猛毒だ。


 せめて相打ちに、フェリスさん達だけでも・・・・・・動け私の体。


 全神経を集中し、槍を掴む。


「はい、さようなら~」


「伸びろ黒千槍」


 余裕の表情の輝義に、諦めず、必死の形相で、最後の最後まで自分の為じゃなく、他人のために戦う玲奈。


 玲奈は防御じゃなく攻撃を選択した。


 相打ちになるチャンスは今しかなかった。



 そして決着は意外な形で終わりを迎える。






















 時間がない。


 既に玲奈の元に向かう時間は残されていない。


 玲奈の肩に設置した小型魔法映像からも結末まで一分もない、絶体絶命の状況。


 仕方ない。


 御影は夜空を見上げる。


 そんなに見たいなら見せてやる。


「虚空よ、空間を繋げ敵を滅せよ。ゲイボルグ(必殺必中の槍)


 虚空の闇が空中に広がり、御影は槍を投げた。










 まじかよ・・・・・・そりゃないぜ御影さんよ。


 玲奈の槍を余裕を持ってかわし、決着をつけるはずだった。


 しかし、輝義の利き手の肩から先は無かった・・・・・・どこからか現れ、閃光より早く突き刺さった槍によって。


 そして、仮面の男の姿はなく、足音が多数。






 はぁ~参ったね、こりゃ、ババを引かされたのを俺ってわけか。

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