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死闘!雫対豪

「おらおら、どうした、そんなもんかぁ」


 雫の攻撃を屁とも思わず、豪は怒濤の攻撃を仕掛ける。


 雫はかわしながら攻撃を仕掛けているが、鋼鉄を纏っているかのように、皮膚はおろか薄皮一枚貫けない。


 かたや豪の攻撃を一発もらえば致命傷になりかねない。


 雫の精神力がじりじりと削られる。技を出そうにも豪の攻撃がやまず防戦一方。


 私や玲奈が序列十五席以内に入られるのも派閥のおかげだということはわかっていた。


 十五席以内を決めるトーナメントで勝ち上がったのも運だった。


 戦ったのも傘下の派閥の人達で、明らかに手を抜いていた。


 豪も、対戦が終わった後憎々しげにこちらを見ていたのを今思い出した。


 学園ができてから序列十五席以内に一年が一~三人入るのは毎年だが、実力で入ったものは少ない。


 その位、学園での一年の経験値は高い。


 どうにかして距離を取りたい雫だが、なかなか上手くいかない。


 豪の攻撃は武器を使わず己の肉体のみ。


 同じく武器を持たない人物で、プゥは速度特化に対し、豪は攻撃特化。


 魔闘術と呼ばれるグラップラーの戦闘方法を駆使して豪は戦っている。


 近接戦闘に特化しており、今の間合いでは雫は不利だ。


 悔しいですが、私では勝てません。


 だから、御影の言葉を信じて、博打はせず立ち回っている。


 けっ、優等生が。


 そのことは豪も伝わっていて、面白くない。


 もっと、全力でぎりぎりの戦いをしたかった。


 その上で、豪は雫に勝って殺したかったが。


 しゃぁないか。


 豪は、この戦いを終わらせる決意をする。


「終わりにするぜぇ、爆撃掌」


 魔闘を膨らませ、掌に込め押し出す。


「くっ」


 雫は扇で受け流そうとしたが、重く後方に吹っ飛ばされる。


 何回もバウンドして、受け身もとれず端の方で止まる。


「かはっ」


 雫は血反吐を吐き、顔をしかめ、体の状態を確認する。


 扇を持っていた腕は折れていますね。他は打撲と打ち身程度。


 扇越しでもこの威力で、普通に受けていたら致命的だった。


 腕に手を当て、立ち上がる。


 もはや避けるだけの力も残されていない。


 このまま座して死ぬなら。


 利き手ではない方で扇を持ち、魔力と闘気を出せる限り、全てを一撃にかける。


「はぁ、最初からそうすればいいんだよ」


 豪も、魔闘を出し切るように拳に込める。


 ごめんね、お姉ちゃんここまでみたい。風ちゃん、もう守ってあげられないから、御影さんについていくんだよ。


 御影さん、風ちゃんを宜しくお願いします。


「鳳凰閻熱線!」


 二度目の不死鳥が舞う。全身全霊込めた、鳳凰の周りを魂が纏っているかのように。


「うぉぉぉ、爆撃拳」


 あえて豪は、雫が技を出すまで待っていた。この心躍る様な闘いを。最初からこういうのを待っていたのだ。


 これを凌げば豪の勝ち。


 鳳凰に向かって豪はストレートで殴る。


 両者は拮抗していた。


 バチバチと音が鳴るように、反発しあう。


「あぁぁぁ!!!」


「おぉぉぉぉ!!」


 互いがこの後のことを考えずに。



 そして・・・。






 決着を迎えた。









 夜空は綺麗だった。星がきらきらと輝いていて、真ん丸お月様がちょうど見えた。


 勝ったのは豪だった。


 拳はぼろぼろで腕まで焼かれたが防ぎきった。


 思い残す事だらけだけど、もう体はぴくりと動かない。


「うぉぉぉぉ」


 豪は勝利の雄叫びをあげる。ついてきた仲間に捧げる、誇らしい勝利だ。


 そして、豪は雫に近づく。


 勝者がいれば敗者がいる。


「言いたいことはあるか」


 その言葉は勝者の特権だ。


「地獄で待ってますよ」


「ああ、俺もすぐ行く・・・・・・あばよ」


 豪は雫の顔を足で踏み抜・・・・・・。














「勝手にいくな」









 ぎりぎりの所で御影は間に合った。


 雫に防御魔法をかけ、豪の攻撃から守った。


 そして、一瞬で豪の間合いに入り、蹴りを放ち、吹っ飛ばした後、雫に回復魔法をかける。


 もはや、豪に残された力はない。


 畜生が、


 見れば雫の折れた腕まで治っている。


 あーすまねぇなナーデル、武勇伝は届けられそうにねぇ










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