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クラス替え試験終了と夜の始まり


 あらあら、凄いですわね。お姉ちゃん感無量です。


 風花の試合を隠れて見ていた雫は我が事のように喜んでいて小さく拍手する。


 雫にとって、風花の試合はできれば負けてほしいぐらいにしか思ってなかった。


 最も、Gクラスに直接赴き、風花の苦手な相手に極力傷つけないよう依頼し、賭に勝つよう動いた。


 しかし予想以上の風花の成長にそんな事も忘れ見入っていた。


 結果賭に負けたが、風花のかわかっこいい姿に満足していた。


 最善の策で収まれば良かったんでしょうけど。


 雫にとって、前哨戦にすぎない。


 誰も傷つかない雫的大円団は無くなり残るは。


 覚悟してくださいね御影さん。風ちゃんを傷つけた罪、許しませんからね。


 顔は笑顔、でも凄まじい殺気を放ち。


「あらあら私ったら、抑えないといけません・・・・・・大事な風ちゃんの試合をほっぽりだしてどこにいったんでしょうか」


 雫は迸る殺気を抑え、会場を後にした。









「よやふ(良かった~、やったね風花ちゃん)」


「すばらしい試合だったよ風花。僕は信じていたのだよ。全く御影はとうとう現れなかったな」


 プゥは風花の周りを小躍りして、種次は御影の事を皮肉りながらも、顔は穏やかな笑みを浮かべていた。


「呼んだか。おめでとう風花。だが、これで満足するなよ。本当の極地はまだまだ先だ」


「はい、分かってます。目標はまだまだ遠いです。明日からまた頑張ります。そう言えばお姉ちゃん見かけませんでしたか、来てる気配がしたのですけど、いつの間にかいなくなってたので」


 雫にも報告しようと思った風花だが、こういう時いつもなら現れてくれるのに今日に限って現れない事を不思議に思い御影に尋ねる。


「ああ、さっきあったな。今日は忙しいから会えないけど、『あらあら風ちゃんおめでとう。賭には負けちゃいましたけど明日お祝いしましょうね』だそうだ」


「お姉ちゃん」


 風花は暖かい気持ちになる。今まで色々あって遠慮があったけど、明日今まで言えなかった事を言おうと。


「さぁ、行くぞ今日は皆で打ち上げだ」


 一部は言わないまま御影はみんなに促す。


「わ、み、お(わーい、御影さんの奢りだぁー)」


「当然なのだよ。今日風花の試合を最初から見なかった罰なのだよ」


「ありがとうございます御影さん。普段行けない場所に行っちゃいましょうか」


「ははは、お手柔らかに頼むよ」


 御影は乾いた笑い声をあげ、財布の中身を心配しながら会場を後にした。






「へっへっへっ、どうしようっすかね、話そうか迷っているうちにみんな行ってしまったぜぇー」


 陰から話す機会をうかがっていた三下は、とうとう話せずじまいで見送った。


 言わなくちゃいけないと分かってはいた。さしもの御影でも・・・・・・をやられたらピンチに陥ると三下は思っている。


 豪は確かに三下の兄貴分で尊敬する人物だ。しかし、元0クラスの面々も決して敵対しているわけではなく、二回クラブを辞めた後でも、普通に接してくれていた。


 ごますりが得意でお調子者の三下を嫌う人物も多く裏切られたら尚更だ。そういう風に接してくれる人物達は三下にとって心地良い。


 だから迷う。言わないまま豪の策で0クラスの面々を窮地にさせるか、言って豪の顔に泥を塗るか。


 三下が苦悩する中・・・・・・夜を迎えた。













 雲一つない、夜空に星が煌めき、大きな満月が空高くで主張している。そんな深夜十一時、御影は倉庫街の路地で人を待っていた。

 動きやすいカジュアルな服装で手には、虚空庫からだした愛槍を持っていた。

 突如御影が動き出し、死角から飛んできた物を弾く。







「ずいぶんな挨拶だな・・・・・・二階堂雫」


 暗闇から出てきたのは、雫だった。


 そう、御影は半分しか皆に伝えていない。もう半分はこの待ち合わせだった。


「あらあら、弾かれちゃいましたか。御影さん貴方は風チャンに危険を与える異物です。よってお姉ちゃんである私が・・・・・・排除します」


 もはや雫は、殺気を隠そうとせず臨戦態勢で、両手合わせてに六つの扇子を挟んでいる。



 こうして、長い夜が始まった。

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