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学期契約とフェリスの無茶ぶり


 翌日、御影は校門前である人物を待っていた。


 正直会いたくない人物であったが決まってしまったものは仕方ないと自分に言い聞かせる。


 事の発端は、昨日まで遡る。




「あなたの学期契約が決まったの。明日放課後校門前に行くの」


「・・・・・・偉く急だな。契約主は誰だ」


 学期契約とは、いわゆるスポット契約で、一回~学期が終わるまでと様々で、普通はその人物契約している契約主と『本人』の了承がなければ駄目だが、御影の場合、フェリスの策略により、御影の契約に関する全てを契約主が決めれることになっていた。


「何で私がそんなこといわなければならないの。いいから明日黙って行くの」


「そんなことも言えないのか。いえば俺が行かないとでも思っているのか。契約する前に行って欲しかったが、決まったものわ仕方ない。だから早く言え」


「下僕のくせに生意気なの。何であんたの了解をいちいちとらなければならないの」


 売り言葉に買い言葉、一触即発の雰囲気だったが、剛我がとりなし、何とか最悪の事態はまのがれた。


「剛我に感謝するの。仕方なしに言うの。・・・・・・なの」


 それは御影にとって最悪のスポット契約だった。


「全くもって、厄介事しかもってこないな」


 相手がどういった意思で契約したか分からないが、フェリスの事だから相当ふっかけたと御影は思っている。


 それでも契約したのだから相当何かいいたいのだと。

















「すみません、待たせてしまったみたいですね」


「いや今来たところだよ藤島玲奈」


 そうスポット契約をしたのは玲奈だった。御影がはめた相手で、カティナ経由からばれてしまった。


 いったい何を言われるか御影には分からなかったが、とりあえず敵対の意志はなさそうだった。


「貴方とは話をしたかった。とりあえずカフェを予約しましたから行きましょう」


 玲奈がここで話す気がないのか歩きだし御影はとりあえず行くことにした。



 お洒落で清潔感のある一番流行のカフェのテラスで向かい合っていた。


「話したい事ってなんだ。いっとくが謝罪はしないぞ」


「それは分かっています。カティナに聞きました。貴方は貴方なりに、仲間のことを思っているんですね。しかし学園全体の事も考えてほしいものです」


 カティナがばらしたときから、今日玲奈と会うことになってから想定していた言葉だった。


「言っておくが、俺の知っていることは絶対に公開はしない。たとえ誰に言われてもな。仲間には一部教えたが、部外者には教える気はない」


 玲奈は、じっと御影の目を見るが、変える気はないと悟る。


「それで引退する人が減るとしてもですか。癒杉先生やフェリスさんは例外なんですか。それとも貴方の言う仲間なんですか」


「それでもだ、仲間は俺が信頼した奴だけだ。舞先生は顧問だからな。フェリスは契約主だ。それについては悪かった、フェリスの奴相当ふっかけただろう」


 あの笑顔からフェリスは相当儲かったのであろう。その事については御影自身も悪く思っており、苦笑い気味に溜息をこぼし、コーヒーを口にする。


「その事についてはいいんです。想定していた額より確かに高かったのですが、これからもっと高くなりそうですし、どうしても話をしたかったんです。カティナが言ったとおりの人物ですね、仲間には厳しくも優しい、絶対に仲間を守る覚悟がある。しかし一度敵と認識すると容赦がない。所で私はどちらですか」


 真摯な視線で玲奈は御影に問いかける。


 眩しいなと御影は思う。


 思いたったら一直線。正しいと思った方向に迷わず進み、汚れを知らない。まるで天使みたいだと。


 だから、御影がなくしたものを持っている玲奈に対し、こう思う。


 若いな・・・・・と。


「さてな。今日話し合いだけじゃないだろう」


 はぐらかした御影に対し、玲奈は少し不満に思ったが、時間も押していたのでメインの話に移る。


「今日限りのスポット契約なのでさすがにそれはないですよ。これからダンジョンに向かいます」


「二人でか?」


「いえ、事務室前で待ち合わせをしています。では行きましょうか。心配しなくてもここは私の奢りですよ」


 顔にででたのか、お金の心配をしていた御影に玲奈はくすりと笑う。


 全く早く金をためないとな。


 御影は頭を掻き、二人はカフェを後にした。


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