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クラブ勧誘~魔法科編04~


 透を無視し、シンリィ達と別れ、次に御影達が訪れたのは、そこから二十分ほど離れた寂れた演習場で、無断欠席かは分からないが、十人ほどの生徒達が思い思いに魔法を使い、先生の姿はなかった。


「えととと、ここが例の人物がいる場所すですで、えっととと、あそこにいまうす」


 今日子はノート片手に指さす。


 今日周りたい箇所は六つあり、次のリクエストは、魔法科の一年生で変人と噂の人物がいれば見たかった。


 件の人物は、特徴のない程良く切りそろえられた黒髪に大きな丸眼鏡、身長は百六十五センチ程でひょろっとした体型の男。なにやら興奮した様子で、したにいる二匹のスライムに指示していた。


「今日は調子いいよプニ太郎、そこでパンチだ。今日も可愛いよプニ子、そこで避けてカウンターだ」


 ここは観客スペースなどなく、演習場というか更地で、御影と今日子は近くまで歩み寄った。


「すまない、ちょっと聞きたいことがある」


「えっえっえっえぇぇぇぇ、ぼっ僕に言ってるの」


 後ろから声をかけた御影に男はオーバーリアクション気味に飛び退き、集中力が切れ、使い魔達が姿を消した。


「驚かせてしまってすまないな。俺の名前は御影友道、戦闘科1年H組だ。君が深内守君だね」


「あっ、はい僕の名前は深内守です。えっと、何かご用でしょうか、僕なんか食べてもおいしくありません。友達をいたぶるのもかんべんしてください。なっなぐるのならぼっ僕にしてください」


 遠目ではよく見えなかったが、服の下は青痣がいくつもあり、制服も少し汚れていた。


 まるで昔の自分をみているかのようで、御影は無言で癒魔法と生活魔法のリフレッシュをかけてあげた。


「そんなことはしない、良かったら守君の事を知りたいだけだ」


「あっありがとう。凄い、痛かったのに全然痛くなくなったよ。僕なんかの事でよければ」


 えへへっと、屈託のない表情でで守は笑い、邪魔にならないよう、端っこに移動してから、話し始めた。




 守はこの学校に入った理由は友達を作るためだ。地方の農村で生まれた守は、物心ついた時から他の子供と違っていた。


 当時は気づかなかったが、最近になってようやく分かった。


 男の子ならそこらじゅうを駆け回ったり、喧嘩したり夏は川で泳いだり虫を捕ったり、女の子ならおままごとしたり、馬鹿な男子を注意したり、一緒になって遊んだりするところだが、守はダンジョンにいるモンスターに興味を持ち、村長の家においてあったモンスター図鑑や親に強請って、特殊魔法に分類されるモンスター召還サモンの本を買ってもらい、一生懸命読んでいた。


 気付けばぼっちになっていた。


 普通の小中学校に通っていて、いつも一人。話の合う人もおらず、話しかけられても会話についていけず、学校内では愛想笑いがいたについていた。


 魔法の方は、魔力は人並み以下だったが気にならなかった。


 何故ならモンスター召還魔法に適正があったからだ。


 その時の感動を守は昨日の事のように覚えている。


 学校で行った魔法適正血液検査でモンスター召還の適正があるとわかった瞬間、クラスメイトがいるのにもかからわらずぼろぼろ涙を流し、万歳三唱してぼっちを深めてしまった。


 普通の高校に進学させたかった両親を説得して、名門のこの高校に進学するため勉強を頑張った。


 魔法能力も低く、農民だった守に教えてくれる人もおらず独学では限界があり、筆記で頑張るしかなかった。


 そのかいあってか、最下位クラスだが、魔法科に入学することができ、ダンジョンに潜ることができて、友達もできた。


「相変わらず、人の友達はできなくて、友達はモンスター・・・・・・、さっき見えたと思うけど、スライムのプニ子とプニ太郎、ワイルドウサギのシーちゃんだけですけど」


 ワイルドウサギとは、ランク2の魔物で、歯が鋭い以外は普通の兎と変わらない。


 言葉はたどたどしくてんぱっていたが、自分の従魔の話になると、優しく良い笑顔で話して、本当に大事にしているんだと御影には分かった。


 それはシンリィや水流に欠けている部分で魔法の心理の一つであった。


「自分の魔法は好きか」


分かりきっていたが、御影はその質問をした。


「うん、大好きだよ」


そういって守は嘘偽りなく、太陽のように、純粋に笑い、御影はある決断をした。


「そうか、今日ここに来たのは・・・・・・」



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