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クラブ勧誘~魔法科編03~


 こんなもんかな。


 この演習を見て御影が思った感想だ。


 確かに、水流の炎魔法、シンリィの『ストック』には少々驚かされたが、いってみればそれだけだった。


 まだまだ最終試験を突破した奥の手があると御影は思ってはいる。


 しかしあまりにも、魔法に対する知識やレベルが低かった。


 舞先生レベルの実力は求めてはいなかったが、最低でも異世界の一般プロ魔法使いレベルはあるのではないかと思っていた。


 若干失望感はあったが、これから教えればいいと考え直し、ひとまず授業が終わるのを待った。


 全員の演習が終わり、先生がこちらの方をみる。


 嫌な予感がしたが、がっしりと今日子に腕を捕まれ、横を見ると、瞳を輝かせていた。


「では、今日のゲストさんでこの演習をやってみたい人はいませんか」


「はいはいいはい、この人がやってみたいといってますですです・・・・・・あががあ、ぎぶぶぶぶ」


 勝手に手を持ち上げた今日子をアイアンクローで黙らせる。


「ではあなたにお願いします」


「はい、分かりました。今日子、貸し一つ追加だからな」


「らじゃじゃら、骨は拾ってあげますですです」


 ため息をこぼし、ちょうどいいかと、開始視点に立つ。


 御影は水流とシンリィを見ると、二人とも興味なさげだった。


 全力はださないが、どきぼをぬいてやるよ。


「演習開始」


 何秒経っても的はでていないように見え、御影の全種類のアロー系魔法が不規則に飛び回っていて、生徒達は怪訝そうに様子を伺っていたが、先生だけは驚いた表情で御影を見ていた。


 それを横目で見ていて、御影は少し落胆する。


 先生は分かっているようだけど、魔法科のSクラスの人間がまさか誰も分かってないとわな。


 故障でも何でもなく、御影は的がでる前に射抜いていた。


 魔法科のクラスの演習時、御影は的がでる前に、微量だが魔法反応を感じていて、魔法反応時でもそこを射抜けば得点になるのではないかと思って実行し、結果成功した。


 御影的に魔力感知は、魔法使いにとって基礎中の基礎、言わば生命線といえるもので、視覚に頼っているようでは三流だと思っている。


 だから、的が出現してから当てているようじゃ、御影は負ける気がしなかった。


 今回御影は、各七級魔法のアロー系しか使わないと決めていたので、二分が経過すると、的がちらほらと出現しはじめ、シンリィや水流はようやく、何をしていたのか分かった。


(「わっちと実力が違いすぎるのじゃ。凄いのじゃ」)


(「くっ、凄いのは認める、けど・・・・・・」)


 シンリィは純粋に、水流は何かにすがろうとするようにまだ認めてないといった表情だった。


 御影はそれを横目で見てラスト十秒、あえて、的を全部出現させた状態にした。


 的は万を越えるぐらい、数えるのもばからしくなるほど的で埋めつくされていた。


 出す予定はなかったけど。炎を極めるとはこういうことだ。


「炎で空間をくらいつくせ、フレアインパクト」


 それを聞いた先生は慌てて演習中の周囲を防壁魔法で囲うが、すでに周囲に被害が及ばないよう秘密裏にフレアインパクトに耐える防壁魔法を展開していた。


 空中が赤色に支配され、水流はただ呆然と上を見上げていた。


 美しい。


 と、同時にすがっていたものがぽっきりと折れた瞬間でもあった。



 演習を終えたあと、得点は非公開であったが、丁度授業は終わり、うるさい今日子に待てと、聞きたそうにしている他の見学者の相手を命じ、かたまっていた水流とシンリィに駆け寄る。


「知ってると思うが、編入試験の時にあった戦闘科の御影友道だ。遠回しな発言は苦手だから、単刀直入に言う。俺のクラブに入らないか。俺だったらもっとお前らを強くしてみせる」


「もしかして、わっちとこの女に言っておるのか」


 ハーフのため、入学してから今まで、こき使う、入れさせてやるからありがたく思え等々の嫌がらせのような勧誘があったが、純粋に誘ってくれて、なおかつ、格上の人物に誘われたことはシンリィや水流にはなかった。


「私には火魔法しか使えない。貴方の様に火を極めることができる?」


「ああ、俺のところにきて訓練に耐えたらな」


「わっちは、いくのじゃ。わっちはシンリィ、よろしく頼むのじゃ」


「私も行く。わたしは水凪水流」


「宜しく頼むな。訓練場所は・・・・・・」


「ちょっと待ちたまえ」


 クラブの活動場所は教えたとき、後ろから呼び止める声が聞こえた。


 振り返ると、黒髪の坊ちゃんがりのキノコ頭に、神経質そうな顔立ち、中肉中背で平凡な身長の男が見下すようにシンリィと水流を見ていた。


「この僕を誘わないで、そこの薄汚いハーフを先に誘うとはどういう了見だ」


 一瞬、何のことを言っているのか分からなかったが、この国が獣人やそのハーフを嫌っているのを思い出し、納得する。


 しかし、目の前の男を誘う事にどう繋がるのか御影には分からなかった。


「というか、お前は誰だ」


「よくぞ聞いてくれた。僕の名前は鳴市透。元魔法科S主席にして魔導王になる男だ。だいだいこの僕を魔導王になるこの僕を誘わずにして誰を誘うというのだ。最も僕は引く手数多な存在で、既に大手の魔法系クラブに入っているが、貴様がどうしてもというのなら、条件次第で掛け持ちで入って張らないこともないが、まぁ僕は優秀な人間だ、僕が入ったらあっという間に貴様を・・・・・・ってどこにいった」


 気付くと透以外誰もいなかった。

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