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星の奇跡と模擬戦~カティナ対美夜01~


「ちっ、真っ白な灰にならなかったか」


「悪かったな。あの程度ならどうってことない」


 なにも変わってない御影を見て、ちょっとぐらいひよっていると思っていた岬はあてがはずれ、毒をはく。


「まぁいい、約束のブツは」


「ああ、これだ」


 懐から心ダンジョンのクリア報酬、目が覚めたら、眼前に置かれていたドリンク瓶『星の奇跡』

を取り出す。


 きらきらと光っている星型の粒々が入っていることからそう呼ばれていて、これがあるから心ダンジョンに人が行く原因の一つだ。


 星の奇跡はレベルごとに効能が違い。


 レベル1;軽度の怪我や風邪等の軽度の病気を治せる


 レベル2:中度の怪我や熱等やインフルエンザ等の中度の病気を治せる。


 レベル3:重度の怪我や癌等の重度の病気を治せる。


 レベル4:欠損は二十四時間以内、致命傷を受けても死んでいなければ治せる。未確認や現代では対処不可能な病気でも治せる。


 レベル5:過去に欠損した箇所も再生され、呪いも治せる。現段階の最高の状態になる事ができる。


 レベル6:全盛期まで若返り、ありとあらゆる面が最適化される。


 レベル7:仮死状態の人間も治せ、今後ありとあらゆる病気や呪いを無効可できる。


 舞先生でも、これ以上のことは知らず、噂ではレベル8は骨や灰になった人物を生き返らせることができると言われている。


 レベル5以上は国や有力者の管理下に置かれ、一つ持ち帰ればたちまち億万長者になる。だから学園では、授業で口を酸っぱくして心ダンジョンの恐ろしさを伝えてるためあまりいないが、一攫千金を夢見る冒険者が心ダンジョンにいくものが多い。最も堅実な冒険者や一流冒険者はリスクを避け心ダンジョンに行かないが。


 何故ならレベル五十以上に挑戦した大多数がダンジョンに吸収され、クリアした者も、ほとんどトラウマや精神に異常をきたして冒険者を引退し、無事に帰ってきた者など稀だ。


 何の躊躇もなく渡してきた御影に、岬の方が驚かさせられる。


 御影がとってきたレベル二でも二百万円ほどで換金される。たとえ低レベルでも富裕層には人気で常時高値で取り引きされるのだ。


「くっ、貧乏学生のくせに、この岬様を驚かせるなんて生意気な・・・・・・ありがと」


 後半ぼそぼそ喋ってて、聞き取れなかったが、そっぽを向きながら耳まで赤くする岬の姿を見て、これを見ただけでも来たかいがあったと御影は思った。


「約束だしな。また頼むことがあるかもしれないがよろしくな」





 御影がクラブの練習場に着いたのは、昼前だった。


 丁度、カティナと美夜の模擬戦が始まるところで、邪魔しないよう、全員の視線が集まり手だけで挨拶し、種次と風花と、さっききた舞先生がいる場所に移動する。


 仕切り直しで、さっきよりも俄然やる気が出てきた二人。


「今日は勝つ。絶対に」


「はぁ、やってみろ。私がけちらしてやるよ」


 美夜の手には双剣、カティナの手にはバスターソード。


 戦績はカティナの方が勝率で7対3ほどでいいが、ここの所僅差の勝負が多い。


 格好も美夜はランク二十五、『ウイングドック』からとれた皮の服、カティナはランク三十『剛力亀の甲羅』を用いた鎧を着ていた。


 ちなみにクラス毎に着ているものや武器にランク制限があり、Sランクは自分が討伐したものに関しては無制限、もしくは、一学期はランク三十以下の物、美夜のDクラスはランク二十五以下のもの、Hクラスはランク十以下で、0クラスは普段着以外許されていない。


 不公平に思われるかもしれないが、今できる最高の装備で全力で闘う事が、一番伸びると、御影の方針で、クラブ内では練習でも模擬戦でもフル装備で、今では常にそうしている。


 美夜の姿が一瞬のうちに消えた。


 カティナの目をもってしても捉えることはできない。しかし空気を切り裂く音は聞こえた。


 後ろ!。カティナはバスターソードを突き刺し、クリップを強く握りしめ、そこは軸に反転して回し蹴りを放つ。


 美夜は低い体制でそれをかわし。


「頭無花」


 双剣をクロスさせ、首めがけ駆ける。


「爆波!」


 カティナの爆発するような気を放出し、美夜は吹っ飛び、地面に足を蹴り上げ、くるりと着地する。


「ほらっ!いくよ、断壊の拳!」


 カティナがマシンガンのように連撃し、呼応するかのように拳の気が美夜を遅う。


 美夜は、これまでの模擬戦から一発でも当たれば、骨が破壊されるほどの衝撃があると分かっており、軽やかなステップで、でも慎重にかわし、隙を窺う。


 数秒間隔で三十六発放たれるカティナの弾気を、美夜は駆け回り、避け、じりじりと距離を縮める。


 勝利の女神はまだ、どちらにも微笑んでいなかった。



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