第五試練12
~会議室~
重苦しい雰囲気に包まれていた。
何故なら舞先生に他の四派閥は自分達の命運を託されているからだ。特に学園長派の天音と学園長は顔色が悪い。
敵対して、越えてはならない一線を越えてしまったことは記憶に新しい。
まさに、それで得た利益を、まさかこんな形で百倍返しで、不利益となって自分達に返ってくるとは思いもしなかった。
それは他の派閥も同じで、何を言われるか予想できない。
「どうした。顔色が悪いぞ。『勝負』はまだ決まってはいない。破滅の十二人側が勝つかもしれないぞ」
どの口が言うかと天音は思った。舞先生は御影が負けるなんて毛ほども思っていない。その事を天音は感じたからだ。
その凍てつくような視線は天音達に向けられていた。
御影達が勝った時、学園長派の破滅は確定事項であるかのように。
天音達はただ祈ることしかできなかった。
舞先生は天音達を牽制しつつ、視線を下に移す。
天音が用意した兵を撃退したとの知らせが入った。
これはある意味ウォーミングアップだ。フェリスがどういう動きをするのかと考えると頭が痛いが、この襲撃だけならいささが過剰戦力だ。
本音を言えば、フェリスにはそろそろ退場してもらった方がいいのだが、御影がとの話し合いで、こういう形になった。
それはまぁいいとして、問題は『破滅の十二人』が動くかどうかだ。
舞先生の見立てでは半々と見ている。
このまま何事もなければいいが。
「ん、ここまでは予想通りだね。僕としてはどちらでもいいかな。『どっち』が勝ったところで対して変わらないからね。でも君はあっちが勝たないとまずいでしょ」
とある一室、ユズリアは夜空を眺めながらある人物と連絡を取っていた。
相手の男は笑いながら言った。これはショーだ脚本は俺でどっちが勝ってもおもしろくなりそうだからいいと。『今回』は布石であって結末は変わらない。
男は今回何もする気はない。手配だけして後はノータッチ。傍観者としてどちらが勝つか最後まで観るつもりだ。
「でもあっちとしてみれば、自分に味方してると思ってるんじゃないのかな。貴方の計画も有利になると思うんだけどな」
また男は言った。「おもしろいと思ったからやっただけで、そういう意図はない。それより九月の仕込みの方が重要」だと。
男はユズリアに問いかけた。お前の方は大丈夫かと。
一際、温度が下がる。笑いながら男は言っているが、暗に『失敗すれば命はないと』と声が語っている
ユズリアは何の気負いもなく、淀みもなく、すらすらと、ごく自然に答える。
「もう根回しと仕込みはすんでいるよ。後はあっちが勝った方が、シナリオ通り進みやすくなるけど、どっちが勝っても支障はないよ」
ならいいと男は満足そうに言う。
「いい夜を、ナンバーⅥさん」
そう言ってユズリアは通信をきる。
ワイングラスを掲げる。
「残念だったね御影、今回、君の思惑はハズレだよ、仲間に危険はない。少しの危険はあるけど、あんなに手厚くする必要はなかった。逆にフェリスにいらぬ欲目を与えて逆効果。早々に切り捨てればいいのだけどそれもしない。何か理由があるのかな。すごく興味があるよ。でも今は結末を見届けよう。もし真相に気付かなかったら。待ち受けるのは仲間の死だ。さあ御影、君は真実にたどり着けるかな」




