第五試練04
全くどいつもこいつも。
花は心の中で悪態をつく。
これでライフルが二になった。もう一人もこれじゃあ使い物にならないだろう。少なくとも蓮には。
気になることはあった。胸が動悸する。そんはなずはない、戯れ言だ。天音様に限ってそんな。
誘惑魔法は禁忌魔法に該当する違法魔法だ。
人間を隷属させる事から奴隷魔法とも言われている。洗脳魔法で傀儡にすると命令を聞くが、それだけで、戦闘能力も低下し、その事しか考えられなくなる。対して誘惑魔法は、普段は普通だが、その人物に逆らえなくなり、その人の言うことに拒否できなくなる。まるでそれしか正解がないかのように。洗脳魔法より難易度が高く、好意を持っている相手にしか成功しない。
だが、高確率で成功する方法がある。
花は危険だと感じその思考を停止する。それ以上その事を考えたら、何か大切なものを失う気がした。
「こちらのチームは私です。対戦相手は貴方です」
花が指名したのは、種次のパーティーの教会派の一人。連のパーティで指名できる最後の一人。
花は次の指名まで残っていたら、次は御影か連を指名するつもりだ。
天音様に仇指すものには死を。
「第九試合はくじ引き部位破壊耐久戦です。相手に攻撃することは禁止します。交互にくじを引いてもらい、出た自分の部位を自ら破壊してもらいます。時間内に破壊できない場合やギブアップしたら負けです。受けますか辞退しますか」
指名された貴族派の男は脂汗をかき、選択を迫られていた。
花を見ると、こちらを見据え冷淡な表情だ。
何で俺だけこんな狂ったゲームなんだ。序列七位の教会派の切り札『アイナ・ロワイヤル』なら喜んでやっただろう。あの女は狂っていると同じ派閥ながら思う。博打を何より好み、血と殺戮とスリルと強敵を好む。
普通なら命がいくらあっても足りないが、女はジャアントキリングして全てに勝ってきた。
男は普通の精神の持ち主だ。だから。
「辞退します」
勝つイメージがもてず、全滅したら死ぬ事は分かっていても、自分かわいさに辞退してしまった。
そして中堅パーティーの番になる。
どうすればいいんだ。今回とある人物から依頼を受け、六十人がここ『蟲毒』にやってきた。
なかには自分なんかより及びもつかないほど凄腕の人もいた。
死んでもかなりの金額がもらえ、成功すれば報酬として一生暮らしていけるだけのお金がもらえる。
俺達はクリアできるとは思っていない。借金があって、迷惑をかけている家族のためにお金が欲しくて参加した。
しかし、残っているのは俺達二人だけだ。おかしいと思った。『蟲毒』は人気がない特殊ダンジョンだ。勝てるのは一パーティー、クリア報酬もけちっている。
最初から気付くべきだった。六十人も雇った依頼の難易度を。
依頼はクリア兼とある人物の殺害だ。
その人物の名は御影友道。破滅の十二人ではなく、無名の学園生。
くそっ、何でこんなに化け物なんだ、本人もチームメンバーも。
第二試練の時、御影の仲間を人質にとって、御影を殺る予定だった。それと平行して、第二試練クリアも。
御影達以外は依頼された人物達だった。
実力は似たり寄ったりなので、思いの外部屋で犠牲者が多かったが、相手は学生と餓鬼だ。楽勝だと思った。
しかし気絶させられ起こされたときには第二試練は終わっていた。
ポイントは御影達の圧勝で、辛くもクリアできた。
次の試練で本命パーティーのために御影のパーティーメンバーを道連れにしようとしたが失敗した。
あろう事かそれで実力者達が脱落し、この状況。
御影のメンバーで指名できるのは今日子というかなりの腕の実力者、犬死にするのは目に見えている。
現在指名できる対戦相手は、
破滅の十二人:二十代の男
御影パーティー:白波 今日子
連パーティ:新垣 蓮
花パーティー:由良木 花 クラブ派の男
蓮のパーティーと花のパーティーは全員指名されたのでリセットされた。
そして迷った末指名したのは。